5-8 プリンセスの娘、誘拐の謎⑧
ということから、この店を使って、無事にやり取りが終わったかと思えたが、実務計子に見破られ、2人のメイドも、その姿が暴かれてしまった。
すると、泣きながら、メイドの1人が、ポケットから、何かを取りだして、マリアの方に駆け寄っていった。
実務は、その瞬間、その行動を見破ったのだが、
「しまった!知るのが遅かったわ!」
そのメイドは、取り出した瓶の蓋を開けると、その中身をマリアに浴びせた。
その途端、
「ぎゃーーあーーっ!!」
それは、メイドが隠し持っていた硫酸入りの瓶であった。倒れて転げ回るマリア。
そのメイドは、泣きながら、ため息をついていた。
「すべて、お嬢様がいけないのよ。こんなことのために、こんなことのために、、、私たちを、、、こんなことのためになんて、、、。」
それは、昨晩のことであった。
取引の前日、やっと、この日だけは、宮殿に戻り、泊まることを許された2人のメイドは、寝ようとして、自分の部屋に戻ろうとすると、別室からプリンセスとマリアの話し声が聞こえてきた。
聞き耳を立てていると、
「お母さん、まさか、こんなにうまく、ことが進むなんて、思わなかったわ。これで、その奇跡の水を飲んで、今度こそジェミニを好きにさせてみせるから、今にみててね。」
「マリア、あなたって、結構悪がしこいのね。本当に、これは、2人だけの秘密よ。他に漏れたら大変なことになるからね。よく覚えときなさいよ。」
な、何ですって、そんなことのために、私たち2人は、怖い思いをして、こんな悪いことをさせられていたなんて、悔しくてたまらないわ。お嬢様には、絶対に、目にものみせてやるわ。絶対に、このままではおかない。
そして、夜のうちに、硫酸を持ち出して、準備していたのである。
硫酸を浴びて、その顔は、ブスブスと音を立てている。その苦痛のあまり、立ち上がれないマリア。
すると、その痛みは、想像を絶するものであるのだが、ゆっくりと起き上がると、その顔は、三分の一は、焼けただれており、もはや治療などしても、元の美貌に戻るのは、不可能と思われた。
だが、マリアは、苦しみの絶頂の中、その野望の気持ちで、その苦しみを乗り越えながら、
「あんたたち!ただで済むと思わないで!こんなことをして、あとでこのままでは済ませない!しかし、この水があることを忘れていたでしょう!私が、今、これを飲んで、これまで以上に、最高に美しい顔を手にしたら、その後の、あんたたち、ただではおかないから!」
マリアは、そう叫ぶと、瓶の蓋を開けて、ぐいっと、その水を飲み干した。




