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5-6 プリンセスの娘、誘拐の謎⑥

 そして、いよいよ、取り引きの日、その指定された場所と時間、夜7時に、オービスと、コスメ、プリンセスに、そして、実務からの指名で、カタリーナとレナリタの2人という、なぜか、実務計子から指定された琥珀こはくつばさのメンバー2人が、どんな意味を持つのかは、最初は、犯人が大男2人であることが写っていたので、そのせいなのかもしれない。しかし、はっきりしたことはわからなかったのだが、この2人が、実は、今回の現場で、非常に重要な役目を果たすことになるのだった。


 その店「ミラクレープ」のある通りを歩いていく5人。店の前に着くと、店内には灯りがついている。オービスがゆっくりと、扉を開けると、普通にさっきまで営業していたような店内である。テーブルも座席もあり、外側の受付からは、クレープがテイクアウトで購入できて、店内ではクレープや軽食が楽しめるようになっていて、しかし、店内には誰もいない。すると、男の声がした。


「約束通り、よくきたな。奥まで入ってこい。」


 このまま、奥に入っていく5人。


 そこには、椅子に座って縛られているプリンセスの娘、マリア。口には、さるぐつわをかまされている。その両側には、30代くらいの屈強くっきょうな大男が2人。1人は、ナイフをマリアに向けている。


「約束のものは、持っているか!」


 ナイフを持った男が叫ぶ。


すると、オービスは、バッグから、瓶を取り出して、目の前にかかげた。

「ほら、この通り、「美と命の水」よ。人質をこちらに放して。」

「そうはいかない。水をこちらにもらったら、店からでていけ。そのまま帰ってもらう。娘は、あとから解放するぞ、必ず解放するから、信じて、その瓶をおいていけ。」


 そして、ゆっくりと、瓶を男の方に持っていくオービス。


すると、

「こっちまで、くるな!下において!」


 前の床におくと、サッと後ろに戻るオービス。すると、ナイフを持っていない方の男は、その瓶を、あわててつかんで、後ずさる。男は、ちょっとだけ安心したような感じで、


「皆、出ていって!早く!早く、出ていくのだ!」


 その焦っているような口調を聞いて、5人は、店をあとにした。

すると、数分も立たずに、実務は言った。


「いいわ!すぐに戻るわよ!皆、急いで!」


 その発言に驚くプリンセス、

「い、いや、だめよ!今、戻ったら、娘の命が、危ないかもしれないわ!」


すると、実務は、自信ありげに、

「絶対に大丈夫!娘さんは、大丈夫よ!急ぐわよ!」


5人は、再び、店内に入って、奥に急いだ。


すると、そこには、縄をほどかれて嬉しそうな表情で、立ち上がり瓶をつかんでいるマリアの姿があり、その両側には呆然としている男2人。すると、それをみた実務は、叫んだ。

「やっぱりね!カタリーナ!レナリタ!打ち合わせ通りに、たのむわね!」


すると、2人、

「わかったわ!」


 そこにいる2人の男に、それぞれ飛びつく2人。すると、たくみに上体を下げて、前転をしながら、男たちの背後に回り、斜め後ろから、2人の男の、左足内側のくるぶしの辺りを狙い、グッと手で押し込んだ。そこまでの動作は、この2人でなければ、決してできなかったであろう。


すると、


【プッ、シューーーーーッ!】


 と変な音を立てながら、2人の男の、その大きな身体が縮んでいく。それは、モデル体型の女子の身体へと変化しながら、そして、同時に、その顔も小さくなり、その顔は、どうみても、10代後半から20才くらいの可愛い女子の顔に変わっていった。


「あああっ、もどっちゃったあ。どうしよう。私たち、頼まれただけなんです。ごめんなさい。」


 なんと、犯人役の2人の男の正体は、プリンセスの元にいるメイド2人だったのであった。


 焦るマリアは、そこにいるプリンセスの方を見ようとするが、思わず、プリンセスは、顔を背けた。


すると、実務は、

「やっぱり、犯人は、身内で、娘が首謀者ね。やっぱり、そうだったのね。この2人を元に戻すためのスイッチは、内側のくるぶしにあったんだけど、スイッチを切るのは、カタリーナとレナリタにしか、できなかったのよ。」


 実は、マリアは、犯人役に、誰か別の男性を雇うことも考えていたのだが、やはり実在する人間では、いつか絶対に知られてしまう。そこで、メイド2人の姿を変える方法を探し出した。そして、それを使えば、絶対にばれることはないから、頼みたいと、改めてもう一度2人のメイドに話をした。


 まさに、一見、犯罪まがいのことをしなければならないのは、心が痛むけど、この方法を使えば、絶対にばれることはないので、ぜひ協力してほしいと、もう一度2人を納得させた。


 そして、メイドの1人、メルマは、連絡係で、もう1人のメイド、ミルマは、人質を逃げないように閉じ込めて、見張っておく係である。


 しかし、2人は、どうみても、18才のか弱そうな女の子なので、その点について、マリアは、とっておきのものを用意した。変身スーツである。


 これは、ある国で極秘に開発されたものの最新型の変身スーツCM250で、例えば、金融機関などで多額の現金などを輸送する際に、それを気弱そうな人が運ぶのでは、いかにも狙ってくださいと言っているようなものだ。そこで、そんな時のためにも開発されたのが、このスーツである。これは、男子が着るベストのようなもので、どんな人でも、男女にかかわらず、それを着用すると、見た目が屈強くっきょうな体型の強面こわもての顔の30代男性に変身するという。しかし、これは、まだ市場に出回ってないもので、極秘で入手した。


 その特殊スーツを2着入手して、メイド2人に着用させ、起動すると、みるみるうちに、まるでレスラーのような2人の大男に姿が変わった。その上で、念のため、首から顔全部を覆うマスクをして、顔がわからないようにして、とどめは、スーツに付属している特別製ボイスチェンジャーである。いかにも、30代男性のしゃがれた声になって、元の女の子の印象は微塵も残らないという犯人の出来上がりであった。そして、すべて終わったら、そのスーツを脱いで処分すれば、その犯人はどこにも存在しないのである。


「なかなか、いいじゃない。怖い怖い。これで、まさかこの2人の中身が可愛いメイドだなんて、夢にも思わないわよ。」


 それを着用した2人をみたマリアは、満足そうだった。すると、その自分たちの姿を鏡でみた2人は、

「うわー、恥ずかしいわ。私たち、こんな怖いおじさんになるなんて。」


すると、マリアは、思わず、

「あなたたち、そんな顔で、そのしゃべり方やめなさいよ。気持ち悪いわ。もっと、怖そうなしゃべり方してよ。声が怖そうになっても、しゃべり方は、本人任せだからね。気をつけなさいよ。わかった。」

「お、おう、、、、わかりました、ぜ。」

「ほらあ、あとで、私がセリフの原稿作っておくから、練習しなさいよ。」

「はーい。」

「ほらっ、もう!」

というわけで、あとから、どんなに探しても、犯人は、どこにも存在しない人物になったのである。


 しかし、最初の脅迫の連絡があった時、それを録音した音声データを確認のために、イミリア共和国のプリンセスから送ってもらったコスメは、実務計子に、その解析を頼んでいた。


すると、

「コスメ、この声は、機械的に加工された声で、現在世界中のボイスチェンジャーを調べたのですが、それは、どれにも該当しないのです。さらに、調べてみます。」


そして、その後、

「実は、この声は、最近開発された変身スーツCM250に付属されているボイスチェンジャーの音声ですね。ということは、犯人は、見た目が屈強くっきょうな体型の強面こわもての顔の30代男性に間違いないでしょう。ということは、その中身はまったく別人なので、あるいは、犯人は、必ずしも男性でない可能性もありますね。」


そして、実務から思わぬ発言が続けられた。

「実は、最初に、事務所に、プリンセスが初めて誘拐されたことを伝えにきた時、私、近くで何気なく聞いていたのですが、その言葉の口調や感情の表し方から感じたのですが、あまり不安な気持ちが感じられなかったのです。普通、自分の娘が誘拐されたなら、あんなに淡々と話すことはできないのです。ということは、本当は、誘拐などされていないのではないかと感じました。もしかしたら、実際には、誘拐自体が行われていないのか、そして、プリンセスの娘は、誘拐されているふりをしているのかもしれない。


 つまり、今回の誘拐事件は、イミリア共和国のプリンセスが、コトールルミナス国の「美と命の水」を手に入れたくて、考え出した狂言ではないのかと思われます。


しかし、その目的までは、わかりかねますが。


 ただ、犯人が、変身スーツCM250を着用して、別の人物になりすましているのだとしたら、今回、人質のプリンセスの娘と、「美と命の水」を交換する時は、カタリーナとレナリタの2人の付き添いが、どうしても必要になりますね。オービスと同行させて下さい。あ、それと、私も行きます。」


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