4-5. あばかれたカタリーナの秘密⑤
これには、半年以上前のこと。
琥珀の翼では、天元森麗奈と天元森香織がいなくなってから、かなりの年月がたっていた。そのせいで、難しい仕事の依頼は、主理である天元森光がこなさなければならなかった。
そんなある日。都内で仕事をこなしたのち、食事をとるために、たまたま入った食堂。食事をしていると、正面に置いてあるテレビから、ファッションモデルがでていて、話題になっていた。そのモデルは、大変な事故にあったが、九死に一生を得て、すべての記憶を失ったが、今では、人気絶頂の話題の人であった。それこそが、カタリーナ、元の、群青香織、現在名の片野山玲子であった。
すると、そのテレビを、何気なく観ていた主理は、隣りで食事していた女性たちの会話の内容に、思わず聞き耳をたてた。
「あっ、この子よ、前にうちの施設で、少しの間、働いていた子に、そっくりなのよ。ところが、この子、事故で奇跡的に助かったんだけど、実は、その同じ事故で亡くなったのが、私の知ってる子で、2人は、なんと、うり二つだったのよ。それがね、ただ似てるなんてもんじゃないの。だって、よく見たら、ホクロの数や位置までもおんなじ。そんなことってある?あのね、ちょっと言葉は悪いけど、気持ち悪いくらいなのよ。
それでね、さらに、驚いたのが、名前ね。このモデルさん、カタリーナっていうんだけど、その亡くなった、知ってる子が、固井梨奈っていうのよ。こんな偶然ある?」
そう話していたのは、佐藤こずえ、その人であった。
それを聞いていた主理は、思った。
うそでしょう、そんなこと、双子でもありえない。えっ、しかし、あれだけは、あれを使うなら、ありえると。しかし、名前が、さらに、不思議すぎるわ。これは、何かある。それも、私と無関係ではない、何かが、絶対に。
その後、1か月後、介護施設では、あるイベントが行われていた。高齢者たちに無料マッサージのイベントであって、皆、盛り上がっていた。多くの高齢者たちが肩こりや腰痛など、女性のマッサージ師から受けていて、皆、とても喜んでいた。
すると、施設の代表である佐藤こずえは、無料で来てくれた女性のマッサージ師に声をかけた。
「鈴木さん、今日は、わざわざありがとうございました。皆さん、とても喜んでくれて、とてもよかったです。それも、すべて無料だなんて、せめて施設からのお礼はしたいわ。」
「そんなこと、いいんですよ。そういえば、せっかくなので、佐藤さんにも、マッサージをしてあげたいの。かまわないかしら。」
「ありがとうございます。でも、私は、まだ若いから、そこまでではなくて、大丈夫だけど、せっかくなので、お願いしようかしら。」
「そうね。そうしたら、手のひらのマッサージしてあげますよ。消化器系とか整っていいんですよ。」
「あら、ありがとうございます。じゃあ、お願いします。」
手のひらのマッサージを始めながら、
「そうそう、前に、こちらにいた固井さんのこと、びっくりしちゃったわ。亡くなったって、言ってたわね。」
「そうなのよ。本当に驚いちゃったわ。」
その後、ひとしきり、世間話を楽しげに続けた。
「あら、ごめんなさい。私、話しに夢中になっちゃって。」
「大丈夫。じゃあ、私、これで失礼しますね。それから、お礼とかは、本当に、けっこうですので、、、。」
「なんだか、本当に申し訳ないわ。本当にありがとうございました。」
「それじゃ、失礼します。」
そう言うと、女性は、車に乗り込んで、帰っていった。そして、しばらく、車を走らせると、そっと、マスクを外した。
そこには、施設の代表、佐藤こずえの顔があった。
「この顔なら、もう怪しまれずに、会うことができるわ。今にみてなさい。これまで、いつも、この主理を出し抜こうとしてきた罰を、たっぷり与えてあげるわ。」




