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3-11 ダイヤモンドは、誰の手に11

 クラリスは、うれしかった。


 もちろん、勝てたのもうれしいけど、3組目の対決がなくなってよかったわ。私がでないで済んだからね。別にでてもよかったけど、私、つい本気になっちゃったかもしれないからね。おっと、所長さんの美の中枢に入れたコスメのイメージを消しておかないとね。これで、よし、と。


 いよいよ、コスメたちは、最終決勝へ進んでいった。


 ひと休みしているフランソワ高木は、なんだか心配そうな顔をしていた。


それをみたコスメとオービスとクラリスは、コーヒーを持って、声をかけた。


「所長さん!」

「やあ、3人とも、どうしましたか。」


すると、コスメから、

「どうもこうもないわよ、所長さん。そんな神妙な顔して。これ、コーヒーを、どうぞ。」

「ありがとうございます。実は、コスメさんたちの対戦相手のことを考えていたんです。」

「ああ、あの3人ね。でも、大丈夫ですよ。私たちのチームは、もう勝てるのは、オービスしかいないもの。ここまで来ただけ、上出来だわ。」

「そうですよね。しかし、残念ですが、私もそう思います。誰がだめだとか、そういうことではなくて、あの3人が、特別すぎるのです。そういうことですね。しかし、私が思うには、オービスには、負けても仕方ないけれども、極限まで力をだして頑張ってもらって、あの3人の本当の力をもう少し引き出させて、少しでも見せてもらいたい。」

「そうなんですか。どう?オービス!」


 うーん、という表情のオービス。

「わかりました、所長さん。それでは、最初から、ちょっと飛ばしていきますね。」

「ありがとう、オービス。これで、さっきまで、あの3人から感じられなかった、オーラではない何かを、つかむことができるチャンスかもしれない。」


 そして、いよいよ、最終対決の第1組目の開始時間がやってきた。

「それでは、最終対決、決勝戦、第1組目の開始となります、チームML、そして、チームBRから、それぞれ1人ずつ測定器にお進みください。


   それでは、対決、スタートします!」


 すると、スタートの掛け声と共に、オービスは、これまでにない攻撃に出た。驚くフランソワ高木所長。そして、コスメも、クラリスも驚いている。


 それは、スッと、立ち上がったポーズのまま、そのまま、微動だにしないオービス。それは、顔だけに、集中しているのだ。それに、様々に、表情を変えることもしない。普通の表情で、顔のみをアピールしている。


 すると、チームBRの相手は、思った。


 なるほど、そういうことね。自分と同じ立ち位置で、顔だけで勝負したい、とそう言っているのね。わかったわ。こちらも、全く同じやり方で受けて立ってあげる。特に、表情を変えずに、その美貌のありのままということで勝負したいのね。それに応えるのが、礼儀ってものね。


 オービスは、このコンペティションが、基本的には、1番の美人を導き出したいという主催者の趣旨を踏まえて、その顔の美人度だけで、真っ向勝負に出たのである。


 それは、華やかな衣装であるとか、魅力を引き出すためのポーズであるとか、付加価値のような、その魅力を増すための様々な方法はいらない。自分の持つオーラの放出だけを以って、その容姿の美人度をあげていき、その容姿のみで、勝負しようと、相手に無言で申し入れたのである。これは、オービスが、今の対戦相手が、あくまでも、正々堂々と勝負にでていることを知って、その上での申し出であった。それから、たぶん、この対戦の仕方によって、さきほど、相手チームが顔だけで圧勝した対戦をより以上にパワーアップした対戦とすることで、謎のオーラをさらに、その威力を引き出させることができるかもしれないと、オービスは、思ったからであった。


 フランソワ高木は、驚くとともに、両者の、この対決に対して、互いに敬意をはらって、お互いを尊重している姿を見て、これほどまでに、悪意や邪心などが一切ない、純粋な対決は、珍しいと感じていた。2人の、信じられないほどの美貌は、皆に静かに見守られている。それにしても、2人の輝く美人顔は、コスメたちも改めて感心してみていた。所長の心にも、さきほどまでの勝負とは、全く違う雰囲気の、正統派な対決。


 しかし、もはや、これは対決ではなくて、自分たちの美人顔を周囲に、披露している、ただのお披露目のようなものに感じられて、対決である緊迫感よりも、両者の平和的な幸せな空気が圧倒的に感じられていた。こんな、ピュアな対決が、これまであっただろうか。いや、これは、もはや対決ではなかった。


 すると、フランソワ高木は、これまでのような疲れ切って判断をしていたことはどこかに消え去っていき、終始冷静な心持ちで、両者の美しさにふれて、しかし、そのせいか、両者のその、どこまでも純粋に美しい容姿を堪能していた。


 そこで、フランソワ高木は、測定器の電源をオフにした。もはや、機械の測定など不要であり、数値での判断などは、あまりにも不粋だと判断したからであった。そして、むしろ、この2人の美しさをみるこの場には、あまりにも、ぶち壊しになると思ったからなのである。


 そして、時間はすぎていく。しかし、ここで、2人の美しさに、冷静に、冷静に感じているほどに、両者の美しさの差は、どんどん開いていく。それは、まさに、チームBRの女性は、フランソワ高木がオーラではないと感じていたエネルギーがその容姿の美をさらに強めていき、オービスのオーラによる美しさは、置いていかれるかのように徐々に遅れをとっているように感じられ、ここまでは、今までの対決の中では、所要時間の30分をギリギリまで要するという、意外にもオービスも健闘した対決となったが、そこで結果は出てしまった。


「チームBRの勝利です!」


 そう告げた、フランソワ高木。


 コスメたちは、思わずため息をついた。実際には、誰も気づいていなかったのだが、完敗であった。しかし、負けたにもかかわらず、喪失感や敗北感などは、一切感じられなかった。とても、美しい幕切れであった。そして、訳の分からない、一瞬の間があったあと、会場の人々から、拍手が巻き起こった。感動の拍手であった。


 この、ギリギリまでの時間を使い切るほどの接戦をしていたことは、オービスは、フランソワ高木にも絶賛されるべきものであったのだが、実は、クラリスにはわかっていた。


 このような正々堂々とした、正統な対決を挑んできたオービスに対して、チームBRの相手は、それに敬意を評したことに合わせて、互いの美しさを少しでも長く、皆に堪能してもらいたいという気持ちから、実力を抑えながら、その勝敗を最後まで伸ばしていたのであった。


 実は、本来ならば、開始から、1分で結果が終わってもおかしくない実力の差があったのだ。しかし、それは、クラリス以外には、誰にもわからない。このやり方まで、相手チームは、巧妙であり、そこまでも力の差があったのである。チームBRは、チームMLの態度などを尊重した上での配慮をした結果なのであった。


 すると、クラリスは、思わず、つぶやいた。


 恐ろしいまでの実力の差よ。そもそも、これまでの多くのチームと比べるべきレベルではないからね。それに、よほど、優勝しなければならない使命を負ってきているんだわ。この人たちからは、金儲けに走っているような邪心のある欲は感じられない。それほど、優勝を求められているなんて、きっと、お金ではない、別の意味があるに違いないわ。


 すると、進行役から、


「只今、決勝戦の第1組目は、チームBRの勝利となりました。続く、第2組目は、これより休憩ののち、30分後に行ないます。」


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