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2-13 その名は、アイフ13

 その後、この事件が大きく報道され、医療倫理や価値観に関する社会的な議論が巻き起こる中で、美警察本部長の記者会見が行われた。


「本日は、多くのメディア関係者の皆様、お忙しい中、お集まり頂きまして、ありがとうございます。私は、美警察本部長の、アンナ・カイザーと申します。


 この度は、DS235番通り、フィレナクロス近くにおいて、大型バスと乗用車が正面衝突した事故の際、その場にたまたま居合わせた医者であった女性が、被害者2名の女性に対して行なった手当ての対応について、賛否両論の反応が世間で非常に話題となっていました。


 片や、死を目前とし、重症を負った女性と、片や、美貌の女性が顔にやけどを負っているという状況の2人の女性、さて、どちらの手当てを優先すべきかという問題でした。それは、まず一見、どちらが時間がないかという見方があります。片や、死を目前としている女性、片や、顔にやけどを負った女性、なお、このやけどの女性は、美の極みの称号の方であったようです。皆さんは、これをどのように捉えていきますか。


 我が国は、これまでの歴史の上、女性の美貌をこの国の最大の誇りとして、それにより、国が成り立っており、この国の国民の女性の美貌をその命と引き換えにして、消え去るまで、最も美しい姿で生涯を過ごすという、他国では考えられないことになっております。その美貌の価値は、他国とは比べようもないほど重要なことであり、そのことから、現在でも国が実在することまで疑われることも珍しくない上、他方では、奇跡の女性の国、とか、宝石の女性の国、などと呼ばれています。


 そして、その価値を、国の最大の宝として、崇め、そのために、我々、美警察本部まで作られたという事実がある限り、その価値を軽視するような事象に対して、それを見逃すわけにはいかないのであります。それから、これが世の中の一般常識であること、その、人の命よりも女性の美貌が尊ばれる世の中が、昔から変わらず、現代までも受け継がれている世であることは、誰もが承知していることであります。


 また、それは、古来より、私たち、コトールルミナス人は、それを常識として捉えております。他国の価値判断の上ならいざ知らず、我が国は、他国とは価値判断が異なることを変わらずに受け入れて、生体的にも女性たちが生涯に渡り、美貌を保てることに感謝してほしいと、私、美警察本部長として、改めて、国民の皆さんにご理解願いたい。これは、今、改めて申し上げることではなく、変わらずにご理解をと、これまでと変わらずに、ということを強くご理解をお願いしたいと、さらに申し上げることであります。


 以上、コトールルミナス人として、国の最も重要な事柄を管理する立場である、その代表として、改めてのご理解とご承知願う次第であります。ご清聴頂きまして、ありがとうございました。」


 この、美警察本部長の記者会見は、他の医師たちも、改めて、美顔を優先する治療を強いられることを再認識され、この点については、さらに上からの圧力を感じざるをえず、医療現場に大きな影響を及ぼすこととなったのであった。

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