8話 命名、そしてフルプレート
本日もよろしくお願いします!!
産院にて嫁様が、
「息子ちゃんに名前つけたから、出生届出してきて〜」
息子の命名は嫁様に一任していた。産んでくれるのだから
喜んでその権利、差し出そうではないか。
出生届は、産まれてから2週間以内が基本である。なので迅速に行動する。役所へ行き、当該部署を聞き、窓口へ向かう。嫁様から賜った名は、『伊織』
セヤマイオリ。
それが息子の名前だ。
滞りなく出生届を出し、間もなく退院の嫁様と、産婦人科でディナー、最近はこんなサービスもあるんだな…
退院したら、しばらく嫁様は息子ちゃんと共に実家に滞在するらしい。
寂しい…
しばし、独身貴族である。寂しさを紛らわせるためにゴブリン殲滅戦をやろうとココロに誓う。
さて、ハルタ君も、探索者証をとり、自分の装備を作り、二人でダンジョンに潜る日となった訳だが……
アメフト風重戦士… そう呼べるフルプレートに巨大なメイスを装備したナニかが目の前に居た…
「ハルタ君忙しいんちゃうん?」
「いやー、若いもんにしばらく任せて、出張みたいなもんです〜」
大丈夫なのか?山猫造形工房!?社員のブチキレる様子が目に浮かぶぞ!?
うん、ヨソの会社のことだ心配しても仕方ねぇ…
ただ、俺の取引先のひとつなので、未来永劫あり続けて欲しいと願う。
「とりあえず一層から行こか?ゴブリン相手やけど殺れそう?」
フルフェイスヘルメットの下で凶暴に嗤う様が見えたようだが、気にしたら負けだ。
「あんな、小鬼相手にキズひとつ負いませんよ〜」
とのこと、全然舐めてなくてこの発言である、頼りになる。
とりあえず、ゴブリンの魔石を20個ほどハルタ君のメイスに喰わせる。
「まぁ、コレでゴブリンに負けることはないと思うけど、何の属性で作ったん?コレ?」
「ふふふ、ソレはコレからのお楽しみっすよ〜」
怖っ、ヤバイ奴をダンジョンに連れてきたかもしれん…
一層をうろつくことしばし、ソロのゴブリンに遭遇。
「よし、丁度ええな」
「行きますか、初陣です!」
フルプレートの重さを感じさせぬ猛烈な低空のダッシュ!
まるで疾風の様な、そういや学生時代アメフトやってたって言ってたな……
アスリートだから基礎が違う。
強烈なショルダータックルで、ゴブリンが弾け飛ぶ!
壁のシミに変わりそのまま光に還る……
「メイス要らんがな⁉」
思い切りツッコんだ。スゲえよ、アメフト部のショルダータックル!しかも棘付き!軽トラよりも遥かに威力が高い。
「初討伐おめでとうやな!」
「ありがとうございます〜…お〜?なんか声が聞こえます〜」
「しっかり聞いときや、それなりに重要やから」
「ほう…ほーう……ステータスオープン!」
「どんなスキル出た?」
「創造、突進、筋トレ効率アップ、強運 みたいです〜」
やっぱり、生き様にくっついてくる感じか、スゲえな突進って…イノシシやないねんから。
よし!ここからが本番。
「ハルタ君、今から俺、変身するから!周りからクソほどゴブリン集まってくるから油断するなよ!危ないときはフォローするけど!」
「わかりました〜」
まぁフルプレートだし、ゴブリンごときからダメージもらうとも思えんが…
「ほな、行くで!…変身!!」
いつもの高揚感とともに、俺は、俺様へと姿を変える。
流れ出すテーマ曲!
「俺様の歌を聴けぇ!!!!」
周囲から一斉に津波のようにゴブリンが来る。
ハルタ君が片側の群れに突進してゆく。正にイノシシの如く!当たった端からゴブリンが光に還る!すんげぇなアイツ!よし、負けてられん。
更に歌い、ゴブリンのヘイトを集め、俺様を中心に渦を巻くゴブリン共。スライム樹脂で改造したホブゴブリンの剣が唸りをあげる!火と風のスライム樹脂で剣の峰と柄を強化して来た。故に、属性攻撃も載せられる。
まずは、ジェットエンジンをイメージして剣の峰から加速するように炎が噴き出す!
「おぉらああああああああっ!!!!」
大剣によるジェット加速回転斬り!集まったゴブリン共を焼きながら、吹き散らして、更に外側を巻き込み、光の渦に還してゆく。
更に歌い、ゴブリン共を集める。ハルタ君の安定感もスゲえよ。まるで不安感がない。タックルで吹き飛ばしつつ、たまにメイス、土属性を発動させて叩き潰している タンクにしてダメージリーダーだな。たまにメイスで筋トレしてるし余裕だなありゃ。
と、暴れ回ってると、静かになった、ボーナスタイムだ。
曲がり角からホブゴブリンがやってくる。
「ハルタ君!行けそうか?!」
黙して頷くフルプレートフットボーラー、マジでハンパねえ。
まぁ、いつでも入れる体勢で観戦するか。
あちこちトゲのついたフルプレートが猛然とホブゴブリンに突進して行く。車の衝突でしか聞いたことないような音がダンジョンに響く!跳ね飛ばされたのはホブゴブリン!
そのまま倒れているホブゴブリンに振り上げたメイスが岩を纏い付け、振り下ろされる!
ホブゴブリンのアタマは、あっさり肩の間に埋まりこんだ。そして、いつものように光に還る。
そして、俺様の変身が解ける。
落ちてた魔石はスライム樹脂製の鎖分銅で回収する、正に自動回収装置!
分銅部分を、柔らかい粘着性のある樹脂にしてあるおかげでペタペタくっつくのだ。攻撃しながら回収した分もあるので今回のリザルトは……
ゴブリンの魔石(小)120
ゴブリンナイフ(NR)5
ホブゴブリンの魔石(中)1
ホブゴブリンの剣(NR)1
と、なった。ゴブリンナイフ多いな!ハルタ君の強運のせいか?
ゴブリンの魔石は山分け、ホブゴブリン関係とゴブリンナイフはハルタ君に。
「や〜、これはええナイフじゃないですか〜造型用にみんなに配ります〜」
「マジか、山猫造形工房恐ろしいな!発泡スチロール削るのにダンジョンアイテム使うとか!」
まぁ、材料屋感覚やスーパーの精肉コーナー感覚で、ダンジョンに潜る俺が言えた義理じゃないか。
ついでに二人パーティだし、二層のオークの上位種にも挑戦できるか?
「ハルタ君?二層のオーク狩り行く?」
「肉が手に入るんですよね?行きましょう!」
殺る気満々だった。とりあえずおにぎり食べてカロリー補給、ペットボトルで水分補給後に二層の入り口へ
今日は、肉祭だ!
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