55話 ハイオークとオークの肉屋
遅くなってごめんなさい!!
本日も宜しくお願いします!
読んでくれてありがとうございます!
新しい朝が来た。
ナムサンダーのいなくなった久宝寺ダンジョンにもはや恐怖はない。
あのイベントも本気で殺しに来ていたわけではないだろうとは思う。
ただ本気でやらないといつか死ぬんじゃないかなぁ…とは思っていたので、ジョージとしっかり修行できて良かったと思おう。結果オーライ。
あの地獄のような、それでもちょっと楽しかった日々。
いつか懐かしく思う時が来るだろう。知らんけど。
久宝寺ダンジョン受付でカイちゃんに挨拶。
「おはよーさんでございます!!」
「はい!おはよーございます!!本日はどちらまで?」
「パーソナルイベントもクリアしたし、少しずつこのダンジョンの奥を目指そうかなと!」
「11層がホブゴブリンからのゴブリン王国でしたよね?じゃあ、次はハイオークがうろつく階層ってことですかね?」
「今のところはそう予測してる。ノルマクリアで出てくるのが何かはわからんけど…よそのデータとかない?」
「ハイオークの更に上位種…ですか。順当に行けばオークジェネラル…更にレアなら、オークブッチャーですね」
「ブッチャーて…?肉屋さんか?」
「です!レアドロップでオークの肉切り包丁を落とします。切りつけたら肉ドロップ確定の、食料調達人御用達のアイテムです!」
「肉…さよか、頑張る価値アリ……やな!?」
「私のボーナス査定のために頑張ってくださいね!!!!」
「おー、テキトーにやってくるわ!!」
「はーい!では!本日も」
「「ご安全に!」」
朝のご挨拶を済ませてダンジョンへ、ポータルを抜けてさらに奥へ…。
12層へと続く階段を降りると、空気が一変した。
11層のゴブリン王国とはまるで違う、むせ返るような獣臭と血の匂い。
いや、知ってるニオイやぞ……コレ………!?
「うわっ…豚骨臭っ!!九州の豚骨ラーメン屋の匂いやコレ!!!!」
思わず鼻を押さえる。ヨダレ出そう。
壁には無数の引っかき傷。ここは明らかに「狩場」だった。
最初のハイオークと遭遇したのは、階段を降りて2分後。
体長2メートルを超える巨体。3層シークレットボスでいつも狩ってきた奴が、ノシノシと歩いておる………。
手には粗雑な戦斧を握っている。
「ブモォォォッ!!」
「おっしゃ!いっちょ行くで!!変身!!!!」
ジョージとの修行の成果を試す時が来た。
地面からいつものエフェクトがファーっと上がる。
俺から俺様へと姿が変わる!
「俺様の歌を聴けええええ!!!!!!!!!」
いつものイントロが流れる!!
テーマ曲のオトコの中のオトコが、ダンジョンを震わせる!
あたりの敵意が爆上がりしていく!!
だが、今日はその次がある!!
「フォームチェンジ!!サンダーストームフォーム!!!!!!!!!!」
紫電と蒼い嵐のエフェクトを巻き起こし、姿が変化してゆく!
コバンが無駄で派手にこだわったエフェクトが全身をつつみこむ!
無駄なくせに、カッコいいから良し!!
稲妻と暴風を纏う、蒼いプロテクター!
武器は避雷針のような金属質の槍。トンチキクソ坊主ことナムサンダーの電光説破ダイナモを模した三つ巴のエンブレムが装飾されている。
足元に雷を集め、磁場を生み出し稲妻のように加速する!
その様はまさにレールガン!!!!
まずは一体目!!!!
ハイオークの横薙ぎを神速で踏み込んで回避!
脳内ジョージの檄が響く!!「KIAI(気合い)!!!!」って!
懐に入って連撃。急所を的確に突く。最初の1体が光に変わる頃、俺様の周りに群がって来ているハイオーク!!
暗灰色の雷雲が、俺様の頭上に塊を形成する!
行くぜ!!槍のダイナモが急速回転をはじめる。
そこを中心に稲妻が収束してゆく!すべて演出用のエフェクトである!!
タイミングを合わせて俺様が叫ぶ!!!!
「電 光 説 破!!!!!!!!」
近くに寄ってきていたハイオークを巻き込んで稲妻が奔る!
恐怖など微塵もない。
負ける要素がない。
「10体…20体…50体…」
全身に雷を纏い、ハイオークを吹き飛ばしながらカウントを続けて進む。
やがて………。
「128体目ッ!!」
128体目のキリのハイオークを倒した瞬間…………。
フロアに静寂が訪れる………。
遠くから地響きが聴こえる。
現れたのは、他のハイオークの1.5倍はある巨体。
全身に無数の傷跡。右手には巨大な肉切り包丁。そして頭にはコック帽……。
めっちゃ邪悪な見た目のエース◯ックのキャラクターやな………コレは。ブタブタ子ブタのテーマが聴こえるわ!
左手には鉄の鎖につながれた成人男性サイズの肉塊をぶら下げている。
こいつが、オークブッチャーか。
「ブモォォォォォォォォッ!!!」
咆哮と同時に肉切り包丁が振り下ろされる。
床が砕け、石片が飛び散る。
「えっらいパワーやな!?せやけどな…!!ジョージより!ナムサンダーより!!!!遅いわ!!」
ナムサンダーの超速に比べたら全然見える。
ジョージの容赦ない連撃に比べたらまだまだ捌ける!
包丁の軌道を読んで、回避!
カウンターで斬りつける。
「お?硬っ!?」
皮膚が異常に硬い。普通の攻撃じゃダメージが通らんか?
ブッチャーの包丁が横薙ぎに振られる。
避けきれん!
咄嗟に槍で受け流す。
それでも、衝撃で体が吹っ飛ぶが、コバンのクッションでノーダメ!!
「やるやんか!!!!」
ブッチャーの包丁が振り下ろされる瞬間、踏み込んで懐へ。
肘の関節部分を狙って、雷撃!!
「ブギィィッ!?」
右腕がだらりと下がる。包丁を取り落とす。
ブッチャーが左手の肉塊を叩きつけてくる。
回避しながら接近。膝裏を斬りつつ雷撃。
「ブモォォォッ!!」
バランスを崩したブッチャーにトドメの一撃。
「そろそろ、トドメ刺させてもらうで!?」
全身に稲妻が生き物のように纏い絡みつき、槍先へと集まる!
「 電 光 説 破!!!!」
ズガァン!!!!!!バリバリバリ!!!!!!!
3メートルほどの巨体が崩れ落ちる。
オークブッチャーが光の奔流へと変わる。
あとにはいつものよりも高級そうな肉の包み紙に入った肉と宝箱が残されている。
一応横に回り込んで宝箱を開ける。罠対策だ。
わなはかかっていなかった。
なんか血まみれやけどきらめく肉切り包丁が姿を見せる。
「やった…!」
変身が解ける。異常なハイテンションから解き放たれると同時に、とんでもない空腹感でヘタり込む。
だが、闘いを終えた達成感があった。
「ジョージ…ナムサンダー…おおきにや…」
あの地獄の修行とパーソナルイベントがあったからこそ、今の自分がいる。
「父?ご飯。」
と、コバンが収納から取り出した、おにぎりをもしゃつき、お茶を飲む。
そして禍々しくも美しい肉切り包丁を手に取る。
これで斬った獲物は確実に肉をドロップするという代物だ。
「よっしゃ、今日はこのぐらいにしといたろ!!!」
そう呟いて、帰還の準備を始めた。
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