11話 アレ?俺なんかやっちゃいました?
本日も宜しくお願いします!
読んでくれてありがとうございます!
新しい朝が来た、希望の朝だ、喜びに胸を開け青空仰げ!
今日の予定は、スキルの聞き取り調査、後のダンジョンアタックとなるだろう。
先延ばしにしてもなにもいいことは無さそうなので朝イチからダンジョン前の買取所、通称冒険者ギルドに9時ジャストに顔を出す。いつものおねーさん(名札には "カイ" と印字されている)に、声をかける。
「おはようございます〜」
向こうも慌てることなく、笑顔で応じてくれる。
「おはようございます!セヤマさん とりあえず応接室にご案内しますね〜」
人が少ないと言うか、いつもヒトのいない過疎ダンジョンだけに、他の買取おねーさんから奇異の視線をもらってるような?
いつものカイさんに案内されて、応接室へ。
ゴチャゴチャしてなくて少し落ち着かない、そんな感じの応接室である。
で、カイさんだが、いきなり土下座に近い形になってる…。なんで!?
「申し訳ございませんでした!昨日セヤマさんたちに隠密でついて行きました!!勝手な行動謝罪いたします!!!!」
眼の前のテーブルに額をゴン!と打ち付けて謝罪される。
色んな事情もあるだろうからまずは話を聞いてみようそれから怒るかなだめるか決めようと思う。
「まぁ…顔をあげてくれ、そのままだと話もできんから」
赤くなったおでこをあげながらカイさんは笑顔である…。
コイツ…反省はしてないな、ええ根性しとる。
「じゃあ、はじめましょう!本日聴き取り調査の担当をさせてもらう甲斐トリコです!まずはあの怪人に変身するスキルから聞かせてもらいたいです!」
名前を聞いて吹き出しそうになったがガマンだ。
「ああ、スキルって生き様に紐付けされる感じでもらえるみたいやん?」
メモを取りながら、ふむふむうなづきながら。
「たしかに…、アレ?人生において怪人に変身するのが生業ってなんですのん?」
たしかにおかしいよな…。わかる。
「実は探索者になる前は、イベント会社に勤めててな?そこでヒーローショーの悪ボスやっててん」
あ、いきなり固まった…。そらそうか。
「え?それじゃそういう職種の人は変身スキルが身につく可能性があると言うことですか〜?」
そうみたいだけど、詳しい条件はまだわからない。
「ただこれは、俺の個人的な感想みたいなものでそれなりのところでしっかりデータを取ってもらったほうがエエと思うよ?」
「たしかに…取得条件がわかれば探索の時に便利そうですもんね。あ、変身前と後で何か変わることあります?」
「テンションがめっちゃアガル。で、感覚がかなり拡張されるな、あと身体能力もかなり上がるよ」
「思わず歌っちゃうぐらいにですか?」
「思わず歌っちゃうぐらいにだ!やっぱ、見られてたか!?で、この能力が発揮されるのが怪人衣装ってやつだけで、他の通常の服を早替えみたいに登録できる。これはスキルを使い慣れてくると増えるみたいだ」
「なんちゅう、チート能力……」
「俺もそう思うわ… んで、変身を解除すると強烈に腹が減る!」
「ナニソレ?」
「たぶん、エネルギー的なやつが枯渇するんやろな、よぉわからんけど」
「ふんふん?面白いスキルですね〜、あ!あの武器をジェット噴射みたいなので加速するやつは?」
「アレは、スライム樹脂で加工したホブゴブリンの剣、やな。スライム樹脂の組み合わせで風と火の属性を発動してる」
「また、常識外れなことしてますね〜!?普通に大手の企業さんでもやってないことを…」
「あ~、それな。たぶんスキルの有無が大きいかもしれない。実際スキルの補助でできることできないことははっきりわかるねん、って、コレもあんまりないスキルなん?」
「普通の人は武器製作スキルとか生えませんからね〜。意外と盲点だったのかも。そういう職人さんだと、わざわざダンジョン入らないし…。そういえば武器の扱いもダンジョン入りはじめのルーキーさんには珍しい練度でしたけど何か武道とかやられてました?」
「多分、学生時代に忍術研究会ってサークルに居て棒きれ振り回したり忍者ショーのメンバーでアレコレやったからかもな?初級忍術ってスキルが最初に生えてた」
「また珍しい経歴とスキルが出てきた…あんまり聞いたことないですよそんなヒト。」
「またヒトを珍獣みたいに……アレ?ほんならハルタくんのアーマーとかメイスは?なんであんなに炸裂したんや?」
「あ~、あのフルアーマーさん…?単一属性みたいでしたし、土属性だと思うんですけど親和性が高かったんじゃないですか?」
それか〜、ハルタ君、実家が兼業農家って言ってたもんな…。システムさん雑い…。
あと、ハルタ君たぶん、今回ダンジョンで得たスキルで更に無茶が効くようになるだろうな…。
「俺の製作スキルは、たぶん劇団で衣装とか小道具を作ってたからやと思う、それなりに大量のヘンテコ武器とかヘンテコ防具とか作ってたからね。ハルタ君なんかは 創造 っていうスキル生えてたから。ちなみにハルタ君は、造形工房の社長やねん。」
「何やってるんですか…。次々におもしろスキル発現させまくりじゃないですか!?」
「意外とスキルの研究って進んでないん?」
「基本民間の方は、なかなかご自分のスキルを明かしたがらないし最前線はいつもD特ですからねー。ほら、日本って、暴力を極端に忌避しちゃうじゃないですか?だから、なかなか戦闘に特化したスキルが生えそうな人しかダンジョンに入らないんですよ……セヤマさんは違ったみたいですけど…。」
「また変人みたいに言われた……。」
「そういうんじゃなくて貴重なテストケースだと思うんですよー!?だって、現にセヤマさんとハルタさんは職人系のスキルを発現させてるじゃないですか?コレって戦闘に向いてなくてもダンジョンで能力をアップできるっていう証明じゃないですか!?こっち方向のスキルはそんなに出てないんですよ最前線からは!」
「生産職とか補助系のスキルか…わかった、知り合いにあちこち声かけてみる、ただ俺の知り合いはみんな割と偏ってるぞ?」
「お願いします!!貴重な偏ったヒトのデータがとれるなら、謝礼も出ますから!!あと、買い取りも私が専属でやりますから、ダンジョンからお帰りの際は、お声がけください!!」
「乗った!!!!」
現金は人を動かす、真理ではある。
まずは…ご近所か……。関西圏の仲良いヒーローから声をかけてみようか!面白くなってきやがった!!!!なにげにおねーさんが専属もありがたいかもな?
まずは今日の日課!ダンジョンに行こう。
「ん、じゃあ、ダンジョン行ってくるわ」
「ハイ!お気を付けて!お帰りのときには情報料の査定も済ませときますから!今日もたくさん稼いできて下さいね!!!!」
と、最高の笑顔…。
しゃーない、頑張ろか!
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