表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

プロローグ

 前世は人間だった私、階段に転生するとは思ってもみなかった!

 正しくは、階段の精霊に転生した、みたいだけど。


 私がこの場所で一番最初に気がついたとき、聞こえてきたのは、


「来年で、創立百年になりますなあ」

「周年祭は、ここで行うのだろう?」

「ええもちろん。この大講堂は我が学園の創立当初に建てられ、以来ずっと共にありましたからなあ」


 という会話だった。


 ここがどこなのか自分が誰なのか、さっぱりわからない状態。

 なにか話しながら遠ざかっていく人影に尋ねてみようと、あとを追おうとして、私は一番下の階段から先に行けないことに気がついた。

 わけがわからないままウロウロしてみて、一番上の階段から先に行けないことにも気がついた。


 どうしたものかと思案しながら、階段を昇ったり、降りていったりする人たちに声をかけてみて。

 私の声が聞こえていない、私が見えていない、ということにも気がついた。


 そうしているうちに、うっかりさんの学生が手鏡を落としていって――階段の中央には分厚い絨毯が敷いてあるので、鏡もうっかり落としたくらいでは割れない――運良く自分の姿を見る機会を得た。

 白い大理石(マーブル)模様の髪色の、半透明の人型。

 それが、私の姿。


 あまりにも、白い大理石の階段を彷彿(ほうふつ)――というか、もはやそのものすぎて、認めるしかなかった。

 あー……これは階段だ。

 今世は私、階段なんだ……と。


 うすうす、そんな気はしていた。

 でも。

 うーん階段の精霊かなー、百歩譲っても許せるのは階段のツクモ神までだ。

 階段の妖怪とか、階段の魔物だったらどうしよう。討伐されちゃったり?それはイヤだなー。


 とくにすることもないので、日がな一日、そんなことを考えながら、通りすぎる学生や教師たちを眺める毎日。


 私、こと、階段があるこの場所は「学園の大講堂」内。

 ここは前世より科学技術が発達していないらしいとか、貴族がいるらしいとか、王子がいるらしいとか、聖女が見つかったらしいとか。

 階段を通り過ぎていく人たちからゆっくりと、でもだんだんと集まる情報に、ここはラノベか乙女ゲームかなにかの世界なのか?とすっかり疑い始めた頃。


 転機がやってきた。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ