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【初投稿】現実逃避の果ては見えず【感想求】

作者: ニックネームって苦手

作中にて犯罪行為の描写がありますが、本作はそれを推奨するものではなく、また作者に前科はありません。



非常に拙い文ではございますが、何卒ご一読いただき、最後まで読まれずとも、どれだけ短くとも、感想批判などなんでも欲しがっております。

もちろん長文も大歓迎です。

よろしくお願いいたします。

これタグが間違ってるぞ、とかでもハッピーになります。


よろしくお願いします。

自分はこの世で一番不幸な人間だ。


大きなため息と共に、そういう話をその辺のクラスメイトにしたことがある。

そのクラスメイトは言った。


「他の国では、飯もろくに食べられない人間もいる。こうやって学校に通っているんだから、この世で一番不幸なんてことはない」と。


もっと昔、西暦が生まれるよりずっと前に産まれてみたかったという雑談を、母親としたことがある。

母親は言った。


「そんな時代に産まれてたら、あんたの好きなゲームも無くなる」と。


俺は言葉にするのが苦手で、はっきり言えば頭が悪い。だから、具体的にどういった思考を経てそうなったかは、うまく言葉にできなかったのだが、


「もう、こいつらと話すのはやめよう」


とてもうんざりしたのは覚えている。





俺は自分が大嫌いだ。


運動はできないし、覚えが悪くて勉強もダメ。

何より、将来の夢なんて言われても何も浮かばず、未来に向かって努力できない自分が、やる気のない様が、心の弱さが嫌いで嫌いで仕方がなかった。


そんなどうしようもない俺が、フィクションの世界に現実逃避することは時間の問題だったろう。


何故だか知らないが、そうでない者達にとって、いわゆるオタクであることは汚らわしいことかのように扱われる。


それでも、クラスに数人くらいは機械音声によるゲーム実況を好んで見たり、ライトノベルを読む人間はいた。


おそらくどの学校でもそうであるように、俺は数人の趣味仲間のみと休み時間を過ごしたりして、ひっそりと学校生活を送っていた。


たまにズル休みしたり、宿題ができず叱られたりしながらも、不登校に至るまででもなかった俺は無気力に学校に通い、やはり先のことなど何も考えず、三年生になって周囲が受験だ何だと言い出しても変わらなかった。




ある日テストがあった。教室に入ると教科書やノートを広げている者ばかりで、いつも騒いでいる集団や趣味仲間ですら静かに机に向かって自習していた。


俺も周囲に合わせて勉強しようと思ってはみたが、まあやはりというか全く集中できず、何も頭に入ってこない。


俺はさっさと勉強道具を仕舞うと、家から持ってきたラノベを読み始めた。


読書中だけ集中力が発揮される、みたいな羨ましい体質はしていないので、たまに笑いを押し殺している俺を誰かが見ていることにはなんとなく気付いていたが、気にならなかったので教師が来るまで俺は読書を続けた。


テストの結果は、まあお察しの通り酷いもんだった。教師と親に色々言われたが、俺のやる気が出ることはなく、出たのはそろそろ慣れてきた自己嫌悪くらいだった。


元々俺だけ部活が違ったり、少し距離が遠いこともあって、更に受験勉強によって趣味仲間と過ごす時間が減り、一人で読書する時間が増えた。


少し寂しく思ったが、真面目に勉強している人間の足を引っ張るのをためらう程度の善性はあったので、俺は将来について何も思わず考えず、自分の席で楽しい読書を続けていた。



流石の俺も、暇な時間常に本を読んでいるわけではなかった。こんな俺に親が金をかけるはずもなく、小遣いの量は中学生になった時から変わらない。


そんなだと時間を潰す方法も限られ、俺は近くの駄菓子屋に行くことが多かった。

成長した中学生には少し狭く薄暗い店内は、日も傾いて小学生の自由な時間が終わりかけたくらいに行けば、人の来ない秘密の店みたいだった。


俺はここで当たりのあるお菓子や、安いカップ麺のようなものを食べて、味というより不思議なわくわくを楽しみながら、木の香りがする店内で椅子に座ってボーっとするのが結構好きだった。

多分何も考えなくていいからだろう。


普段は誰もいないことが多い店内だったが、今日は珍しく店の奥に二人先客がいた。

チラッと見えた制服は、俺と同じものだった。身長は割と高い。

俺はそれ以上の関心を持つことなく、安めの駄菓子を適当に買っていつも通りの位置に座った。


横にある本棚が自然と目に入るが、やはり何度見ても興味がないジャンルのものしかない。古い漫画でも置いてくれればいいのに。


ぼーっと店内を見渡していると、偶然先客がポケットに菓子を入れるところが見えてしまった。


この店は店主の爺さんが一人でやっていて、大体カウンターで新聞を読んだりしている。だから奥の二人組が今ポケットに駄菓子を入れてそのまま店を出たところで、店主が気付くことはないだろう。


正直迷った。店主にチクるのは簡単だが、もし逆恨みされたらと思うと、非常に面倒くさい。

だが店主は俺がいつもボーっとしているだけなのを放っておいてくれるし、この居心地のいい空間が万引きによる売り上げ低下なんかで無くなるのは嫌だった。


俺は店主に万引きしているところを見たと告げて、さっさと店を出た。



結論から言えば、俺はどうしようもなく愚かだった。

フィクションのキャラクターに憧れ、それっぽい良いことしたいだけの愚か者だったのだ。

身の程をわきまえて、背景のモブになっていれば、もう少し平穏な生活を送っていけただろうに。



後日店主から聞かされたが、店主の温情によって警察は呼ばれず、以後出禁ということで決着がついたらしい。お礼としてもらった普段買わない高めの菓子は美味かった。


そして俺は全く気付かなかったが、万引き犯二人はクラスメイトだったらしい。


後日、帰宅途中に見たことがある顔二つに肩を掴まれ「チクったのお前だろ」と言われた。

急に肩を掴まれた動揺と、そもそも隠し事が苦手なこともあってか、男子生徒二人は俺が犯人だと確信したようで「やっぱりな」と言った。

男達は一発ずつ俺の腹を軽く殴って去って行った。


正直、それだけ?と思った。駄菓子屋で小さい菓子を万引きするような人種だし、そもそも度胸がないのだろう。まあ度胸うんぬんなんて俺が言えたことではないが。


証拠もないし教師にチクるのも面倒だった俺は、そのまま家に帰った。


その後も陰湿な嫌がらせは続いた。偶然を装って机や椅子を蹴ったり、移動の際に肩をぶつけられたりだ。

読書の邪魔をされると鬱陶しく思うが、周囲にバレないように嫌がらせをしているためか怪我をするようなこともなく、そのうち飽きるだろうと放置していた。


しかし思ったより嫌がらせは続き、ある日のことだった。

机の中に入れていた本が、トイレから帰ってくると消えていたのだ。

盗まれるかもしれないとは思っていたので、普段は持ち歩いていたのだが、授業中から強烈な尿意に襲われていて本を置いたまま教室を出てしまったのだ。


慌てて本を探す俺の肩を、万引きの二人がニヤニヤしながら強めに叩く。


返してもらおうと度々声をかけたが、「知らねーし」「証拠あんの?」と何を言っても聞かない。

ならばと縋り付いて懇願してみた。二人は動揺してはいたが、ニヤニヤしながら「しょうがねえな」と言って鞄から取り出した。

嫌な予感はしていたが、やはり本は読める状態ではなかった。

泥水にでも入れたのだろう。ページが張り付いたりぐしゃぐしゃになっていて、綺麗だった表紙は見る影もない。挟んでおいたしおりは捨てられたのだろう。


俺はその場で立ち尽くしていたようで、気が付けば二人の姿はなかった。

ふと、あいつら苦しめて殺してやろうと思った。



元々記憶力が悪いのもあって、感情が長続きすることはあまりなかったのだが、なぜだかこの殺意とも絶望とも言えるものは数日しても消えなかった。


尾行して二人の家を突き止めた。一軒家で隣同士だった。楽でいいなと思った。


深夜に家を抜け出し、自転車で走り出す。かごにはペットボトルが数本入っていた。

二人の家の間に自転車を止め、ペットボトルをその辺に落とす。近くにある寂れた公園に隠しておいたペットボトルを追加で運んできた。


適当に中身をばらまく。二階に届かなかったので、蓋を開けて投げたりしてみたが、これで大丈夫なんだろうか。

多分いけるだろうというより、まあダメでもどうでもいいかという感情だった。



中身は灯油だ。買い方は灯油ストーブを使っている祖父母がいるので覚えていた。


家から持ってきたマッチを取り出す。タバコを吸う父親が置いていったものだ。相談なく離婚された時は、感情が追い付かなかったことを急に思い出した。センチメンタルになってるのかもしれない。


ありったけのマッチに火をつけて、放る。

よく考えれば、騒ぎになる前に離れなければいけない。俺は自転車に乗ってさっさと帰った。




翌朝、珍しく登校途中に趣味仲間と出合った。俺が少し寝坊したからだろう。

久しぶり、と告げると同じクラスだろと笑われた。それもそうだった。

せっかくなので一緒に登校していると、一人が昨日の夜に自転車が盗まれたらしく、見つかっていないことを話した。デザインが気に入って親に買ってもらったものらしく、初めは悲痛そうな顔で話していたが、話の最後に憐れんだ親が新しいのを買ってくれるということを笑顔で言った。

心配させんなよーと小突かれる彼。相変わらず会話で楽しませるのが上手いと思うと同時に、通りで俺好みのデザインだったと思ったのだった。



万引き犯二人は登校してこなかった。

担任から二人とも火事で亡くなったことを告げられ、黙禱の時間が取られた。


二人は他の人間とつるむことがほとんどなかったからだろう。皆の反応は、死んだ二人よりも放火だったら怖いという話になり、次の休み時間には面白くもない話題のことなど忘れて、皆いつも通りに話し始めた。



俺はと言えば、元から話す相手も少ないので、邪魔されなくなった読書をしようと本を取り出した。

二人に駄目にされたので、しかなたく買いなおしたものだ。


わざわざ買いなおした甲斐あって非常に面白く、邪魔もされないので集中できて幸せだった。


ふと、怖くなった。


もし俺が放火犯だと知られれば、こうやって本を読める日は、非常に遠いものになってしまうのではないか、と。

今更になって法を犯したという事実が重く感じられた。

落ち着け、気にしたってバレる可能性が変わるわけでもない。

こんなんじゃ本を読むことはできない。気分を変えようと少し歩いてみた。しばらくすると楽になったので、また本を読んだ。

しかし、またふと恐怖に襲われる。


この楽しい時間が失われるのではないか、という恐怖。

しばらくしたら落ち着くものの、完全に消えることはない。


そしてある時、恐怖が増えた。

俺はいつまで怯えればいいのか。本を読むと偶に訪れる恐怖に、いつまで読書を邪魔されるのか。



俺は平穏な生活を望んで行動したつもりが、やり方が間違っていたのだとようやく気付き、初めて将来に対する不安を持った。



そこで必死に勉強しているクラスメイトも、こんな気持ちなんだろうか。


俺は失敗を認めて、一つチッと舌打ちをした。そして、努めていつも通りに生きる。


表面上は平穏な日常が、いつか恐怖を忘れさせることを願って。



















しつこいほど言います。これどんな意味?などの質問、感想なんでも大募集でございます。


ここまで読んで下さったあなたは、前世が釈迦です。本当にありがとうございます。


私は小説を書いてみたいと常々思っていたのですが、一から考えるとなると難しく、中々筆が進みませんでした。


そんなある日、自分の過去とか書いたら書きやすいよ、と書かれているサイトを見つけたので、なるほどと中学生の自分(嫌な記憶しか覚えてない)を元にして主人公を作成し、主人公の視点のみで書いてみたところ、非常に書きやすかったのです。

初めて短編を書ききることができました。


せっかくなので客観的な意見が欲しいと思い、小説家になろう様に投稿させていただきました。



タグ、前書き、後書き、どれもこれもこれでいいのか?とか凄い思うんですけど、どうなんでしょうね。タグ大量につけてる人凄いと思います。


そんなわけでして、ミスの指摘も超喜びますので、何卒読んだ感想をよろしくお願いいたします。

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