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美脚を目にすると獣が出ちゃう彼氏と、甘々優しい家デートをしました。

作者: hanohi

「ねぇ、やっぱり外に遊び行こうよ」


そう話しかけた相手は、読んでいる本から顔を上げた。


さっきからずっと彼の様子を観察していた。

ファッション雑誌を転がって読むのにも飽きちゃって。

細身で清潔感のある好青年。

そんな印象を持たせる容姿の彼は

付き合って二ヶ月経った私の彼氏。


今日は久しぶりのデートの日。

動物園に行ってから

カフェでお茶をする予定…

だったはずが、あいにくの大雨。

急遽予定変更。


今はお部屋デート中。

初めて訪れた一人暮らしの彼の部屋。

ドキドキしながらお邪魔した。

でも帰ってくるなり、

彼を本を読み始めてしまった。


この場ににあるものといえば、

本とか、本とか、

なぜか本しかないので、暇を持て余していた。


3時になったら買い込んだデザートを

一緒に食べる予定。

でも、2時半の時点で

買ってきた雑誌は読み終わってしまった。


「今日は、大人しく部屋で過ごす。」


言葉少なな彼は、そう言って本を閉じた。

栞とか挟まなくていいの?


「ねぇ、なんで今日部屋デートにしたの?」


流行りの肩出しニットに、

自慢の美脚をすっきりと出したミニスカート。


可愛いカフェと動物園に似合うように

ウキウキしながら、おしゃれしたのに。


自分で言うのもなんだけど、

超似合ってると思う。


一歩外に出て少し雨で濡れたら

ちょっと寒くは感じたけど、

おしゃれには我慢が必要なことくらい知ってる。


「…大雨だから。

そんな格好じゃ風邪ひく。

毛布ちゃんとかけて」


と言い、ちらりと私の足を見やった後、

目を逸らす。

彼なりの思いやりだったのか。

やっぱ優しいなぁ。


でも、梅雨時期にこの毛布は暑い。

雨で冷え切った足も、

雑誌を読みながら毛布で暖まっているうちに

既に復活済みだ。


「毛布はもう良いの、貸してくれてありがと」


使っていた毛布をたたんで

彼がもたれているベッド上に置いた。


その時、くっと世界が反転し、

いつのまにかベッドに後頭部が沈んでいた。

目の前には彼の顔がある。

あれ?この体勢って。


「良くない…。目のやり場に困るから…」


そう言ってじっと見つめられた。

びっくりしたと同時にドキドキした!

え?今そんな雰囲気あった?


彼の顔がどんどん近づいてくる。

そして、キスを落とされた。


何回も優しく唇を啄まれていると、

緊張がほどけ、

ふわーんとした夢見心地になった。


ほどなく舌を割り入れられた。

あれ?いつもより早い。

そして、若干荒々しいような。


「…もう、我慢できない」


太ももに彼の手が置かれた。

その手はとても熱くてびっくりした。

敏感な内腿に食い込んだ彼の指に、

体がピクリと反応してしまう。


「んぅ、急にそんなとこ、触らないでよ…」

「…こんなに出してる君が悪い。」


キスをされながら、

妖しく太ももを撫でさすられていると、

下腹部からじわじわと熱が這い上がってくる。

初めての感覚に戸惑い、

身を捩って逃げようとした。


「や…ん、なんか、変…」


でもいつのまにか、

彼の男らしい身体と長い脚で

逃げられないように固定されていた。

キスや手のひらで感じさせられた体が

自然と跳ねてしまう。


それがダイレクトに彼に伝わってしまうことに

恥ずかしくなる。


「ん、まって、これ、恥ずかしいよ…」

「だめ…。もっと恥ずかしがらせたい」


彼とはディープキスまでしかしたことがない。


彼とは、というより、男の人と。

それも、デートの帰り際にほんの短い時間だけ。


それだけですごくドキドキしてたのが嘘みたいに、もっとずっと恥ずかしいことをされている今が信じられなかった。


彼のキスが頬、首筋を伝って、オフスリーブで露出した肩にまで達した。


「あ、…ん、やぁっ…」

「こんな敏感なのに、外に晒してどうする気だったの…?脚だって…」


そう言って私の片方の足を持ち上げた。

私の目を見つめながら、その膝の内側をペロリと舐めた。

舐められた肌から、すぅっと冷たい空気を感じて、でもほてった体は熱くて。


獣みたいなその行動に驚いて目を見開く。


「これ見せるの、俺だけにしてよ」


そう言いながら、ゆっくりと足を撫でさする。


真っ直ぐな瞳でそんなことを言われながら、

こんなことをされて、

私の頭は沸騰してどうにかなってしまいそう。


次第に、スカートの内側まで彼の手が侵入してくるのを感じた。


「…!」


少し怖くなって目をぎゅっと閉じたが、

その感覚はいつまで経っても訪れないまま、

彼の体がそっと離れていくのを感じた。


「…今日はここまで」


ベッドの端に腰掛けて向こうを向いてしまった彼の横顔は、赤くなっている気がした。

さっきまでの男らしさは弱まり、いつもの寡黙な読書男子に戻ろうとしている。

それに寂しさを感じて、後ろから抱きついた。


「見せたいのは、一人だけだもん…」


彼から可愛いって言われたかったのに、

言ってもらえなくて拗ねてた自分に気づいた。


デートがお外じゃなくて、

部屋になっても別によかった。

彼と一緒だから。


むしろ、部屋に誘ってもらえるなんて

思ってもみなくて。


「…せっかくの部屋デートだし、

 もっとイチャイチャしたい…」


「…もうだめ。」


「えー、なんで。舐めたじゃん」


「…じゃあ、デザート食べてから」


「…?うん」


彼の行動原理というか、考えは良くわからない。彼がお湯を沸かして紅茶を淹れてくれた。

私の体に残る熱も徐々に冷めていった。


その間に、デザートを取りにいった。

袋のまま冷蔵庫にガサッと詰め込んでいたのを取り出してテーブルまで持ってきて並べていると、


あれ?


「すごいかわいい!

 こんなのいつの間に買ったの?」


それは、とても豪華なプリンパフェだった。

プリンの上に生クリーム、

飾られているフルーツのひとつひとつに

動物の顔が

デフォルメしてチョコペンで描かれていた。


「雑誌を買いに戻った時…」


テーブルの上の紅茶の準備を整えながら、

彼は言う。


そっか。うん。


私がしたいって言ってたこと、全部叶えようとしてくれてた。

そのことに、すごく嬉しくなってきた。


「えへへ、ありがと!」


二人で仲良くデザートと紅茶をいただきながら、次のデートの約束をした。

去年できたばかりの水族館に

シャチを見に行くことにした。


服装はもう少し露出が少なくて、

寒い時に羽織れるものを持ってくることって

お母さんみたいに言われたのも

くすぐったかった。


「ごちそうさまでした!美味しかった〜」


そう言って片付けようと立つ前に、

彼に腕を引かれて座らされる。


いつの間にか彼の顔がまた、

男の顔になっていた。


さっき約束したイチャイチャをしてくれようとしてるのかな。


ゆっくりと顔が近づいてきて、口付けられる。

それから長いキスをされた。


蕩けそうな優しくて甘いキス。

唇にだけ。


「かわいい…」


キスの合間に言われた言葉は、

私の頭の中を更にふやかして、

甘い部屋デート最高って

心の中で何度も思った。

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