第十一話『亮介の記憶』
お待たせしました。
「りょうくん…」
「なおちゃん、泣かないで。僕が、なおちゃんを護るから。」
「ほんとに?」
「ほんとだよ」
夢を見ていた。それは小さい頃の記憶。当時俺達は、八歳だった。奈緒と俺は幼なじみだった。このころはまだ奈緒は男の子だけど女の子の格好をしていた。いわゆる性同一性障害者だ。それがいじめの原因で奈緒はいじめられていた。そんな奈緒を俺は、いつも護ってきた。
「あたしね。りょうくんのおよめさんになりたい♪」
「うん。僕が君のお婿さんだ」
「約束だよ♪」
「ああ」
俺は、奈緒の為にホモとなった。
「なおちゃん!!なおちゃん!!死んじゃ嫌だ!!」
彼女は、交通事故にあった。
「なおちゃん!!目が覚めたんだね。」
「?………君誰?奈緒って僕の名前?」
「え!?」
なおちゃんは記憶喪失となった。何も覚えていない。俺のこと、友達のこと。家族ですら。もう、俺の知ってるなおちゃんは帰ってこない。そう思った。そして、俺もなおちゃんのことは全て忘れた。
「昔の夢か。しかし、何故に作者ではなく俺目線?ま、いっか。」
亮介は制服に着替えた。今日は学校なのだ。居間には父さんと奈緒が席に着いていた。
「おはよう亮介。朝ご飯食べよ」
「ああ。おはよう」
とりあえず、俺がホモである事と真実は黙っておこう。いや、ホモは誰にもバレちゃいけないな。やばいだろ。てか、奈緒はなおちゃんは記憶を取り戻しているのだろうか。いつかは言わなくちゃな。