⑥
扉を開け入ってきたのは母さんだった。俺は母さんが入ってきたことを確認すると即座に秘技・寝たフリを発動させた。
母さんは俺が起きていることに気づいていない様子だ。
「アル、アル、起きて。おっぱいの時間よ」
ま、まさか、俺に搾乳せよとでもいうのか! く、殺せ! そんなことをするくらいなら死んだほうがマシだ!
秘技・寝たフリを解除させると目の前にはこれでもかというほど大きく張っている豊潤な乳があった。
「ほらアル、飲まないと大きくならないわよ?」
そ、そうだ。大きくなるためだ。決してやましいことではないぞ。大きくなるためだ。
そう思いこみ乳にしゃぶりつく。
そっから先のことは覚えていない。だが次からの授乳には抵抗がなくなったとだけ言っておこう。
▽
俺はいつの間にか寝ていたようだ。
目がさめると俺は早速魔法の訓練をやることにした。体内で魔力を動かす程度なら気づかれないだろうと思い、魔力の訓練を始める。
いざやってみると、母体内の時よりも動きが速いような気がする。じいさんの話の最中に訓練してたからなのか? まぁいいっか。
体感時間で一時間が経った頃。
「アル、アル、お乳の時間よ」
俺は抵抗なくお乳の時間を過ごし、訓練に戻る。これを繰り返すこと体感時間で約六時間。
いつの間にか夜になっていたようだ。
夜なら魔法を使ってもいいかと思い、使うことにする。
火魔法は危ないから除外として、水魔法はもしものことを考えて除外。一番良いのは風魔法だろうな。丁度暑かったし窓も開いている。空気を入れ替えようか。
ちゃんと加減スキルを発動させて魔法を使うーーーこれは常人にはできない。多重思考というスキルのおかげでスキルを何個も使うことが出るのだーーー
そよ風を想像し魔力を1だけ混ぜる。そうすると【轟ッッッッッッ】という爆音がした。十秒ほどすると扉を【バタンッ】という音を立ててマミー&パピーがきた。だが何事もなかったように戻っていった。
俺は魔法の訓練は諦めて身体の訓練を始めた。魔法の訓練は大きくなったらやろう。
しかし、ステータスが高いとは言え赤ん坊の体であるせいか思うように動けない。動けないので激しい運動は除外し、静かにゆっくりと無理のないように体をジタバタさせる。そうすること体感時間で約三分。体が限界を迎え俺は意識を手放した。