プロローグ 2
「話を始めるぞい」
じいさんが話し出した。
「お主、声が出ていない事に気付いておるか?」
じいさんが語りかけてくる。
『じいさん、何言ってんだ? おれはこ……う…して………って………こ、こえがでてない!!!??』
どういう訳か声を出している筈なのに出せていない。
「やはり気付いておらぬか。他にもあるぞい。耳は聞こえているかの?」
『き、聞こえてる……筈……』
「では、この音が聞こえるかの?」
じいさんはそう言って一回、手を叩いた。
『き、聞こえないぞ! どういうことだ!?』
「それは簡単じゃ。お主が錯覚しておるだけの事。お主が聞こえてると思い込んでおるのじゃ。今こうしてわしの声が耳を通して聞こえてると思い込んでおるみたいじゃが、それは違う。わしがお主の魂に話しかけておるのじゃ」
じいさんが本当の事を言っているのだとしたらおかしい。俺は目が見えているし、体を動かしている感覚もある。もしかして、これも錯覚なのか?
「その通りじゃ。まぁ目は本当に見えておるがの。最初にも言ったがここは世界の狭間。狭間には肉体を持ってくることができないのじゃ。故にお主は魂だけでここにきておる」
じいさん曰く、ここに肉体は持ち込めない。ていうか世界の狭間にどうやって持ってくるんだよ。俺の状態は魂だけとの事。
「お主の魂をここに持ってきたのはわしじゃ。お主の事はつい三十分前から見ておったのじゃ。さて、ここからが本題じゃ。世界というのはいくつもあっての、わしが管理している世界の一つが危険な状態での。世界の魂の純度が低くなりすぎて危険なのじゃ。そこで魂の純度が高い者を送り込むのじゃが、中々見つからんものでな、ようやく見つけたのがお主というわけじゃ」
『要は異世界に行って世界を救えと言うのか? 俺にはできっこないな。俺はまだ地球で生きているのだから』
地球に家族を残したまま異世界に行くことはできない。しかも、俺はまだ高校生。まだ人生は長い筈。だから俺は拒否した。死んだらいいけど。
「言っておらなかったの? お主の地球人としての人生は幕を閉じたぞい。もう時期死ぬ運命で魂の純度が高い人間とという条件に当てはまったのがお主であると」
『そうなの? ならいいっか』
人生を全うしたらいいと考えていたので了承する。
「よ、よいのか? そんなにあっさりと了承してもいいのかの?」
じいさんは少し困ったような顔をした。
『あ、あぁ。いいよ。未練はない』
家族や友人は悲しむだろうけど、人生に悔いはない。強いて言うなればまだアニメの続きを見たかった。それだけだ。
「ま、まぁよい。手続きを始めようとするかの」
じいさんはそう言って準備を始めた。