表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
翡翠色の青春  作者: 葉月美月
4/4

4限目・1学期中間考査・後編−「想い」

遅れましたが、4話の投稿です。

最近は時間が取れませんで、全く進まなかったんですね。


今回も最後まで読んでいただけたら❗


昼−


昼をはさみ4時限目には地理歴史だ。

中学までの復習問題が案外散見されるので、解くのは実はそう難しくない。


なのに殆どの生徒ここで苦戦していたのだ。

理由は簡単−


昼食後に簡単な問題。

考えるのを止めてしまえば瞬く間に睡魔が襲ってくる。

腹いっぱいに食べた生徒ほどこれがモロに出る。

誰だって、食べた後は眠くなってしまうものだ。

よって、円達も同様に眠気と戦っていた。

簡単だが物量はある。

睡魔に負ければ簡単ながら解答欄は全部埋まらないかもしれない。

そんな戦いが1時間も続くのだからたまったものじゃない。


「うわ…ねむ…」

瑠衣は既に半分夢の世界へトリップしている。

開始25分で解答欄の約半分に到達している彼女。

このままのペースなら全部解答出来るかもしれないくらいのペースだ。

しかし睡魔にそんなのは関係ない。

徐々に瑠衣の目は閉じて行っている。

が−

「ね…寝そう…仕方ない…」


それを言い終わる頃には瑠衣は眠ってしまっていた。


円も志織も眠りこそはしなかったものの、ずっと睡魔と戦っていた状態であった。

しかし、解答欄は全部埋めて提出しており、最終確認までは出来なかったものの、ひとしきりの解答は出来ていた。


殆どの生徒は熟睡しており、解答欄回収の際に寝た生徒を叩き起こすシーンがよく見られた。


ここまではいい。


しかし最後に待ちかまえるは

完全な答えが絶対条件


−数学だ。


中途半端でも過程すら合っていれば点数を貰える教科と違い、絶対的に合っていなければ点数は貰えない。


シンプルながらシビアな教科、数学だ。


そして単なる計算問題から図面の面積を求める問題、方式を使って計算する問題などバリエーション様々だ。


この教科がまさかの最後の5時限目に配置された。


殆どの生徒は眠気から回復しているものの集中力は切れたままであり持ち直すにも時間がかかりそうなのだ。


「はぁ…やっと次で最後ね…」


円は深く息をついた。

さすがに書いてるだけと言えど疲労は溜まる。

5教科を一度にやること自体は珍しくはないがこの学校は元の量が違う。


「これで最後…やれるだけは…!」


「今回こそ…補修組は抜けてみせる…!」


「どんな問題が出るのかな〜?楽しみだね〜♪」


3人別々の思いを秘め、ラストの数学へ望む。


−幸い問題そのものに難しいものは3人には回らなかった。しかし、最後の1問には担当の先生の爆弾が埋め込まれていた。


残り5分になった時点で殆どの生徒は最終問題に到達していた。

しかしクラスの誰一人、

最終問題を書けていないのだ。

恐らく全てのクラスの全ての生徒に、この問題が向けられている。


−誰も答えられない

謎の問題。数学ではないが答えは数字。

皆が困惑する問題。

分かるはずのない問題。

テストの最終問題、


問題用紙の最後のページ、その問題だけが書かれていた。

それは−



問ex


クラスの担任の生年月日を答えよ。

年の表記は西暦で記入すること。




無理だ−。

クラス毎に答は違う。

担任が自分の誕生日を喋る機会が果たしてあっただろうか?


否…あるわけがない。

それこそ相当担任と親密な関係にならなければ語られること無い秘密だろう…


未だかつて無い奇問。


無常に時間だけは過ぎ…


「そこまで!」


気づけば5教科全てのテストの終了を告げていた。


結果は後日、今回はテスト上位は点数を記載され掲示される。


テスト終了後はそのまま流れ解散なので円はいち早く学校を出ていた。


「う〜目がつら〜い…」


瑠衣にとっては初めてテストとここまで格闘したのだ。目が疲れてしまうのも仕方ない。


「しおりんも出来たの?」


「わたし?う〜ん…それなりに…かな?」


瑠衣は隣にいた志織に声をかけた。


「円ちんは?誰か知らない?」


瑠衣がクラスに問いかけると円の側に居たであろう子が


「伊勢さんならテスト終わったらさっさと帰っちゃったよ〜。」


「どこか行きたかったのかな〜?」


志織も首を傾げている。


一方、円はというと

学校から北に1km程の霊園にいた。


「…ごめんね、お婆ちゃん…本当はもっと早く顔を出したかったんだけど…色々忙しくてほったらかしになっちゃった。」


円の母方のお婆ちゃんは58で急死、円はその時はまだ7歳であった。

家族が忙しいことが多いために、お婆ちゃんに預けられ一日中遊んでいたこともあった。言い換えてもう1人の母のように近い存在だったのだ。


亡くなって9年−

毎年命日前後には顔を出しに来ている。


「お婆ちゃん、私今回のテストで初めて友達と勉強会したのよ。でも自分でどうしたらいいか分からなくてただ厳しくしちゃった…私教えるの向いてないのかなぁ?」

「…不器用だよね、私。」

「…なんてね、暗い話なんてお婆ちゃん聞きたくないよね…

また来年もここに来るから…また一緒に話そうね…」


そういうと最初に供えた、水羊羹を回収しお辞儀をしてその場を後にした…

−2日後


朝早くから生徒が掲示板前に集まっていた。


どうやら順位が張り出されているらしい。


「意外と早かったね〜♪」

志織はにこやかな顔で掲示板を見ていた。

瑠衣、円はやや寝坊したらしく、人集り

の後ろの方にいた。


掲示板からはかなり遠い2人を志織は発見すると人混みを掻き分けて接近して行った。


「2人とも遅いよ〜見えなさそうだったから、写真撮っておいたよ♪」


そう言って、志織は自分のスマホを2人に見せる。


「…え?」


2人同時。

そこに見えたのは、


1位 黒石 志織 994点


しかし驚くのはそこではなくその下。


2位 竹宮 由香 898点

3位 下里 友梨香 882点


そして、


4位 伊勢 円 874点


驚くのは2人がトップ5に入った以上に、


志織の大差の1位。

1人で満点近くの点を取り堂々とランクインしていた。


「なに…これ…」


そう口を開いたのは円だった。

瑠衣は言葉を失って、ずっと掲示板を見つめている。


圧倒的大差での1位。

これまでに見たことがあっただろうか。

詳しい点数の書いた紙は後にHRで渡されることになる。


−結果


放課後になりその点数が記載された紙を円、瑠衣、志織は見せ合うことに。


最初は円。


現文・古文 184点

数学 166点

科学化学 179点

地理歴史 171点

外来語 174点


これでも4位なのだから、やはり難易度は高かったと言えよう。

志織は地雷のあった数学だけ194点であり、その他はなんと満点だったのだ。

ただしあの最終問題は配点が5点でありそれ以外にも間違いがひとつあったようだ。


一番結果を気にしていたのは、瑠衣だった。


彼女は既に結果の紙を握っていた。

横から円、志織は覗き込むようにしてその結果を見た。


順位は181人中の89位。626点。

補習を免れたどころか、半分より上の順位を獲得していた。

もう、瑠衣はこの結果を見て半分笑っていた。

そして、こう言ったのだ。


「なんで、嬉しいはずなのにこんなに悔しいんだろ。」

テスト編完結させました。

時期も夏本番といった感じですから、

次書くとしたら夏と言えばみたいなのを書きたいですね。


いつ投稿できるかな・・・次をしばらくお待ちください。m(._.)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ