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初恋の味  作者:
2/2

春休みも私の希望とは裏腹に、どんどん過ぎていき、もう学校が始まろうとしていた。

私はすごく足が重い。理由は2つ。

1ツ目は、この魔の坂道のせい。

2ツ目は、今日やる自己紹介のせい。私の三大嫌いなもののひとつ、自己紹介はもう\(∵)/オワタ。


でもユウは遅いなぁ。何してるんだろう?そう思いながら、とぼとぼと、魔の坂道の終盤にさしかかろうとしていた頃、

「あぁ、ナナだぁ。おはよぉ。」

ぶんぶんと手を振ってきたユウが見えた。…と、隣にジュンさんが!!なんで!?え、なんで!?意味がわからない!?ユウ応援してくれるって言ったよね!?

私この時どんな顔をしていただろう。ユウはちょっとビビっていて、もしかしたらこの空気を察していないのはジュンさんだけかも。

「ち、違うよぉ。たまたまそこの道であっただけだよぉ。誤解しないでぇ。」

「…ならいいけど。」

全然よくない。でもヤキモチやくのはワガママだってわかってる。わかってはいるけど私のこの悪魔が脳より先に言葉の指令を出す。

「ほ、ほんとにごめんねぇ。わ、私はそういう気ないから!!」

びっくりした。だってまずユウは、基本、一人称はうちだし、ユウの語尾に!が2個もつくなんて。

こんなにわがままなのに、私のことを嫌いでいてくれないユウに感謝しながらも、ちょっとムカついた。なんだろう、この気持ち。

「…ねぇねぇ。ナナちゃんだよね。この前の。」

「…?あ、はい。根岸 菜乃香(ねぎし なのか)です。あのもしよかったら、ナナって呼んでください。」

「ナノカ?なんでナナなの?」

これは私が答えるより先に、ユウが答えた。

「あのねぇ、ナナは本当はナナカだったの。でもお母さんが言いにくいからって、生まれた時に菜乃香にしたんだよぉ。だから、ほんとはナナカだったんだねぇ。ってじゃあナナにしようってことになったの。」

そう。私の本当の名前は菜々香(ななか)だった。でも私のお母さんがヤダ。って。

「ふぅん。そうだったんだ。じゃあ改めてよろしくね。ナナ。」

笑顔が可愛い。でもうっすらと営業スマイルに見えたのは私だけ?


HRで自己紹介をやる。私は最後の方。でももう来た。

「えっと、根岸 菜乃香です…。よ、よろしくお願いします。」

チョー緊張する。でもユウはチョー笑顔なんですけど。次はユウの番だ。

「前橋 優子ですぅ。よろしくお願いしま~す。」

ちらほらと可愛いと聞こえてくる。蹴飛ばしたくなる。


こうして高校生活1日目は無事に(か?)終わり、ジュンさんとユウと私は肩を並べて帰っていった。

「ねぇねぇ、ナナ。俺のことはジュンでいいよ。」

「あ、はい。分かりました。」

ちょっと、疑問に感じた。なんでユウには言わないんだろう。その疑問は一瞬で解決することになった。

「ねぇねぇ、ジュン。うちさぁ、ジュンのメアド持ってなぁい。」

ユウ、私がジュンのこと好きなこと知ってて、その発言をしてる!?

ユウは空気を読むのが早い。すぐに私の発したオーラに気づいた。

「あっ\(◎o◎)/!ゴメンネ。あ、あのナナも欲しいって。」

「ん?いいよ。初日で2人の女の子にメアド交換かぁ。なんか俺絶好調だな。」

ユウと私は思わず吹き出した。ジュンは笑われるところではなかったみたいで、心底びっくりしていた。でもつられるように笑って、とても楽しい時間となった。

桜はまだ散っておらず、桜並木の下を歩く3人は誰よりも楽しそうに和気あいあいとした雰囲気だった。

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