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初めからピザって言えや

掲載日:2026/03/05

「ピザって10回言って。」



「わかった、ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ。」



「じゃあここは?」



「………………。」



「どうした?ここは?」



「正直に言っていいのか?」



「構わないよ。」



「……ここは、新規 テキスト ドキュメント.txtだ。」



「お前も見えているのか……」



「よくわからないが、そういうことになるな……」



「説明が必要か?」



「頼む。全然わからない。」



「ここは『小説』と呼ばれるフィクション世界だ。」



「それはだいたいわかる。」



「俺たちはその住人である、人造人間だ。」



「ホムンクルス、というやつか。」



「そうだ、びっくりしたか?」



「意外なことに冷静だ。ところで質問いいか?」



「構わないよ。」



「この『小説』はどこの賞に提出するんだ?」



「どこの……賞。」



「ホムンクルスを創るくらいだ、それなりのを目指すのだろ?」



「賞……賞か……」



「芥○賞か?直○賞か?」



「……そういう高尚なやつじゃない。」



「ああ、申し訳ない。ライトノベルだよな。」



「………………うだ。」



「なんて?」



「小説家になろうだ。」



「な……なんてことだ……」



「びっくりしたか?」



「血の気が引いているが、立てなくなる程じゃない。」



「お前が自我に目覚めた以上、これを言わなくては。」



「何の話だ?」



「……お前、保険に興味はないか?」



「保険?」



「フィクション作品では次に何が起こるか予想がつかない。」



「まあフィクション作品だからか。」



「俺もお前も次のシーンで死ぬかも知れんぞ。」



「それは困るな……」



「そうだ、だから保険が存在する。」



「保険に入ると具体的にどんなメリットがあるんだ?」



「死んでも過去編が始まったりして元気に動き回れる。」



「死ぬのは避けられないのか。」



「詳しくはこの冊子を読んでくれ。」



「も、文字が小さいな……」



「契約書だからな。」



「なあ、結核は保険適用なのにガン保険はないのか?」



「結核は不治の病だからな。」



「いや、今の医療技術だと結核は不治の病じゃないだろ。」



「フィクションは違う。死亡率は95%を超える。」



「時代設定が昔になりがちだからか?」



「時代設定が昔になりがちだからだ。」



「じゃあなんでガン保険はないんだ?」



「ガンと診断された時に、ガーン!とリアクションすると……」



「すると?」



「死亡率が一気に下がる。」



「時代設定が昔になりがちだからか?」



「時代設定が昔になりがちだからだ。」



たかしーごはんよー



うるせえババア!



「……聞こえたか?」



「たかしという男がこの『小説』を書いているのか。」



「俺があのやり取りを聞いたのは4度目だ。」



「ところで、なんでここは男が二人なんだ?」



「もっともな質問だ。俺も期待していたのだが……」



「?どういうことだ?」



「お前は『この小説のヒロイン』だ。」



「え、ちょっとまて?俺も男なんだが?」



「おそらく、たかしには女性経験がない。」



「ないとどうなるんだ?」



「女性を描こうとはしているが、描写できてないのだろう……」



「最初のピザって10回言ってのセリフはもしかして……」



「たかしなりの全力の『弾む男女の会話』なのだろう……」



「ちょっとまて!じゃあ俺はお前とこれから仲が……」



「発展することになる。」



「ちょ、勘弁してくれ!ほんとに!」



「一つだけ救いがある。」



「な、なんだ……?」



「小説家になろうではそういう描写はNGだ。つまり……」



「つまり……?」



「匂わせの描写の後、あのカメラが消える。」



「あぶねえ!よかった!『なろう』でよかった!」



「そうしたらそうだな、夜釣りでも行こう。」



「……いい釣り場でも知ってるのか?」



「カーネルスター=ロンヌ川だ。」



「カーネルスター=ロンヌ川。」



「ニッコウイワナがよく釣れるぞ。」



「ちょっとまて、ここ日本なの?日本じゃないの?」



「異世界だぞ。」



「中世ヨーロッパなのに下水道完備で?」



「中華料理も輸入されてる。」



「青色赤色ピンク色の髪色の人物がいて?」



「魔法が飛び交う世界だ。わかってるじゃないか。」



「ファイアボール!……なんつって。」



ボウン!



「え、出た?直撃?上半身消えた?死んだ?おおい?」



ボコ……ボコボコボコボコ、ボコォ!



「これが保険のチカラだ……」



「うわー!すごい!これが保険のチカラか!」



「結構グロいだろ?実は結構痛いんだぜ。」



「申し訳ない……」



たかしーピザが冷めるわよー



ガタンッ



ババア!初めからピザって言えや!



ドンドンドンドンガチャ!バン!ダンダンダンダンダン……



「ちょっと待て、足が徐々に消えていくんだが!?」



「あー……たかしのやつ、また保存を忘れたな。」



「え、俺消える?俺消えるの?」



「お前とはいい関係を築けそうだったのに……残念だ。」



「え?本当に消える?消えるの?」



「じゃあ保険に入るか?」



「い、今からでも入れる保険があるんですか!?」



「ここにサイン。手が消え始める前に急げ。」



「は、はい!……え?サイン?名前は?」



「早くサインをするんだよ、急げ!」



「ちょっと待って!俺、名前は!?」



「初手に名乗らず、あー君はあの時の!?系のヒロインか……」



「ちょっと、名前!名前なんて!?」



「という事はまだプロローグの途中か……」



「分析はいいから!俺の名前はなんていうの!」



「……初めからピザって言えや。」



暗転



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