友人の妹がメスガキすぎる件 ~ ざーこざーこ♡ウルサイクソガキにはちょっとしたお仕置が必要かな? ~
「ヒロ~今日も俺ん家来ね?一緒にゲームしようぜ!」
帰りのホームルームが終わり、帰る準備をしていると、友人の平川大地が声をかけてきた。
「お~……あ、今日ももしかしてお前の妹、家にいたりする?」
「妹?う~ん、今日はピアノの日じゃなかったと思うから、多分いるんじゃね?」
「あ~っそう……」
俺はちょっとため息混じりにそう言った。
美姫いるのかよ、めんどくせ……
と、俺は内心で思った。
★☆
「うっ、げ」
「うーわ、また来たのぉ?うっざぁ」
大地の家に来るなり、大地の妹の美姫が玄関にやってきた。
「最近、家に来すぎじゃない?あーはぁ、もしかしてぇ~ミキに会いに来てるんでしょぉ?キッショ!」
「はあ?ちげーし。ゲームしに来てるだけだし」
「うそつきぃ。大好きなミキちゃんに会いたいから『ゲームしに来た』ってこうじつ?作って来てるんでしょ~?この、ヘ・ン・タ・イ・さん♡」
そう言って、美姫はニヤリと笑った。
「あーも!違うつってんだろ!」
「あ?もしかして怒っちゃった?高校生のクセに、小学生の言葉で怒っちゃうとか、ヒロくんのざーこざーこ♡」
「美姫!いい加減にしろ!これ以上いらんこといったら、お兄ちゃん怒るぞ!」
と、大地が言うと「はいはぁーい」と、美姫は頬を膨らませ、階段を上がって自分の部屋に入っていった。
「……お前まじ、あいつになに教えてるんだよ」
「ちげーよ、俺じゃねーよ!……でもほんと、なんであいつあんなこと言うようになったんだろ?ちょっと前まではそんなこと言うやつじゃなかったのに。しかも、ヒロにだけ……」
美姫は大地の妹で、小学四年生。半年くらい前、大地の家に遊びに来た時に初めて美姫に会ったけど、その時はもじもじしながらぺこんと会釈し、走って部屋の方に逃げていった。それからは、俺が大地の家に来る度、頬を赤らめて「こ、こんにちは……」と、もじもじしながらそれだけ言って、逃げるように走っていった。
なのにここ最近、美姫は俺に会うたびにあのような態度を取るようになっていた。
「なんだろうな~俺、なめられてるのかな?」
「ごめんな、まじで。ムカついたら遠慮無く怒っていいからな」
「お~……」
★☆
「おっしゃー!また俺の勝ちー!」
「くっそー!また敗けかよ~。大地強すぎだろ」
大地の部屋でゲームをやって盛り上がっていると、大地のスマホが鳴った。
「もしもし、母ちゃん?うん……うん、おっけーわかった、持ってくるよ……うん、いいよいいよ、じゃっ」
「どした?」
「母ちゃん、仕事帰りで今スーパーに行ってるみたいなんだけど、家に財布忘れちゃったから持ってきてくれーってさ。悪いけど俺、今から母ちゃんに財布持っていくから、ヒロはここで待っててくれ」
「おっけー」
そう言って大地は、急いで家を出た。
「さて、と。俺は今のうちに、今度こそ大地に勝つために、1人プレイで特訓特訓……」
コンコン。
1人でゲームをしていると、誰かが部屋のドアをノックした。
「大地……じゃ、ねぇよな?美姫か?」
ドアの方にそう言うと、ガチャッとドアが開いた。美姫だ。肩上のツインテールを揺らしながら、ドアの隙間からぴょこんと顔を覗かせた。
「……なんだよ?」
「お兄ちゃんは?なんかさっき、慌てて出ていったみたいだけど」
「あ~なんか、母ちゃんが財布忘れたから持ってきてほしい?とかで電話があって、出ていったけど……なんか用?」
「ふ~ん、そうなんだぁ」
と、美姫はにやにやしながら部屋に入ってくると、胡座をかいている俺の膝の上に座った。
「ちょっ、なんだよ!」
「ヒロくん、こういうの好きかなぁって♡」
「別に好きじゃねぇわ。重いだけだわ」
「失礼ね~。そんなんだから、女の子にモテないドーテーさんなのよ」
「バッ!?ドッ!お前、意味分かってて言ってんのか?」
「分かるわよ、そんなの。女の子と付き合ったことない男の子のことを言うんでしょ?」
「ああ……まあ、うん、そうだけど……」
こいつ絶対「童貞」の意味、ちゃんと分かってないんだろうな……そう思いながら俺はため息をついた。
「ヒロくんフツメンだから、絶対女の子にモテないでしょ?」
「うっせーわ。お前には関係ないだろ」
「だったらぁ、ミキがヒロくんの彼女になってあげよーか?かわいそーなヒロくんのために、一肌脱いじゃうよ♡」
「お前さあ……まじで、どっからそんなこと覚えてきたんだよ。前までそんなんじゃなかったのに……」
はぁっと、俺はまたため息をついた。
「で、どうする?付き合ってあげてもいーけど?」
「ばーか!誰がお前みたいなガキンチョと付き合うか!」
そう言いながら俺は、美姫の頭に軽いチョップを入れた。すると美姫は「いったーい!暴力とかサイテー!警察にうったえてやるー!」と、頭を両手で押さえながら、大袈裟に言った。
「ていうか、こんなに可愛い女の子が付き合ってあげるって言ってるのに!ドーテーのクセに振るとか!ほんっとサイテー!」
「ドーテードーテーうるさいな!……はっは~んわかった、もしかしてお前、俺のこと好きなんだろ?」
と、俺は冗談で美姫にそう言った。すると美姫は、顔をかあ~っと真っ赤にして。
「ちっ!違うし!ヒロくんみたいなフツメンなんか好きにならないし!一目惚れなんてしてないし!!」
「いや、俺は一言も『一目惚れ』なんて言ってないけど……なに、お前まじで俺のこと好きなの?」
「だから違うってば!!もう!ヒロくんのヘンタイ!スケベ!ロリコ──痛っ!!」
「おい美姫!!本!!」
美姫が俺から慌てて離れ、部屋から出ていこうとした時だった。本棚にぶつかり、上段の本がバラバラと美姫の上に落ちてきた。だが、条件反射で俺は美姫の体を覆い被さるようにして庇い、本は全部俺の頭や背中に落ちてきた。
「イッテー……ったく、なにやってんだよお前は~。怪我はないか?」
「ごっ、ごめんなさい……」
と、美姫はぐすぐすと泣き出してしまった。
「な、なんだ、どうした?やっぱ怪我しちまったのか?」
「ミ、ミキね、ヒロくんが初めてこの家に来た時に一目惚れしたんだ」
「……話聴いてないし」
「でも、どうしたらヒロくんがミキのこと好きになってくれるか分からなくて。お友だちに相談したら、年上のお兄さんはめすがき……?っていうのが好きっていうから、スマホでどんな感じか調べて勉強したの……」
美姫の友達ー!!いらんこと吹き込むなよ!!と、俺は内心で思った。
ぐすぐすと、俺の目の前で泣く美姫。俺はため息をつきながら、美姫の頭を撫でた。
「……あのなぁ、俺はそもそも、大人のお姉さんが好きなんだよ」
「そんなー!!」
「だからさ──」
そう言いながら、俺は本棚に両手をついて美姫の耳元に唇を寄せると。
「……俺がお前に惚れるくらい、大人っぽいお姉さんになってから出直しな」
と、美姫の耳元に囁いた。
「は、はい……」
と、美姫は顔を真っ赤にしながら言った。美姫の涙はもう止まっていた。
「なーんて冗談……」
「ただいまー!母ちゃんがプリン買ってくれたから、一緒に食おーぜーヒロ~──って……」
ばーん!と、大地はドアを思いきり開けて入ってきてそう言ったが、俺らのことを見ると、ピシッと固まり……そして。
「……おい、くそロリコン。パンチがいいか?それともビンタがいいか?」
「……まて大地。たぶん、誤解してる……」
美姫が俺に襲われていると勘違いした大地は、俺のことを盛大にボコった。