動乱、本部の連絡
深夜。
「中尉、本国からの電信です!さあ起きて!」
起こすなよクソが。ざけんな、お前ラッパでもないくせに。
上兵「ミン中尉。ワン上級大佐のご指示で....起きろこのクソ野郎!」
突如ベッドが跳ね、頭がスプリングに打ちつけられる。
すぐさま戦闘服を羽織りライフル銃を抱える。
「敬礼!アブラハム・ミン中尉、第5旅団の第57連隊2088中隊に所属!軍籍番号1985318!現状を報告...」
眠気のモヤが薄れ、呆れ顔の上兵が映る。
上兵「時間がありません。支度を済ませて端末をお持ちください。連絡は士官連絡室にて行います」
時間は5分も無かった。真っ暗な廊下を駆ける。
部屋の明かりがつく。眩む目をこじ開けながら通信端末を開く。
上兵「これがマイク、ここにビデオカメラが。あっ通話繋がった、初めましょう」
プロジェクターに映るのは袖に4本の金ライン。そして多くの星。上級大佐だ。
「良く眠れたようだな中尉。直ちに部隊掌握を」
は?
「上佐、彼は」『黙れ!!俺は中尉に聞いてるんだ!』
怒声がピシャリと響く。背筋が伸びる。ボロい胸元に目をやるも後悔すら侭ならない。
上佐「中尉、部隊掌握を。」
出来るかアホが。
「直ちに掌握し、済み次第ご報告します!」
冷たい視線がカメラ越しに刺さる。やるしかない。
「報告します。アディム飛行場の兵力は2名、負傷者無し、欠員ありません」
上佐「2名?......残りの部隊はどこに?」
「中国の外交代表団を護衛するためアデン国際港へ向かいました」
上佐「何....全員?」
静寂がキーンと響く。止めろ、私だって初耳だ。
上佐「.....いいさ。中尉、今のところ君が基地の最上級将校だ。可能なら負傷者を受け入れ後送せよ」
訳がわからん。中尉如きが最上級?朝には将兵が200人も居ただろう。
上佐「事情は後ほど。以後は上官が戻るまで国家安全部の指導を受けるように。じきに連絡が来るはずだ。それと、現在のところ我らは実戦状況だ。解散。」
端末で空調システムを調べる。正常だ。ならこの悪寒は何なんだ?
中国軍の文化と制度について資料不足が酷い。