外食
砂埃の中に料理の匂いが漂う。
少佐「着いた。雰囲気良いだろ?」
新疆とは違う建築様式、石灰岩を積んだ壁、カーペットは靴履いてても分かるほど心地良い。
上兵[給仕、大皿のマンディを一つ、それとハイビスカス茶を全員分]
期待してしまう。
少佐「さあ食え中尉。これはマンディといって、まあイエメン式の炊き込みご飯だ。ヤギ肉は試してみるべきだろう」
「ええ少佐」
ヤギ肉と米を頬張る。癖のある匂いが沁みるようだ。
涙が出る。まともな食事はもう三日も食ってないが、体感だと数年ぶりな気がする。
「最高です」
上兵「でしょう?」
赤い茶はクランベリーの香りが最高だ。母にも飲ませよう。
少佐「中尉、実家は何処だ?」
「成都市近郊の平安鎮です」
上兵「大都市ですね、親御さんは努力なさったのでしょう」
嬉しい。
上兵「私は鄭州市の大学近くです」
少佐「大都市じゃないか!」
ん?どうして少佐が驚いてる?
「お二人は知古でないのですか?」
皆で顔を見合わせる。
少佐「何って、我が部隊が編成されたのは7日前だ。最初は指揮系統の確認でバタバタしてたからな」
なるほど。
上兵「失礼ながら、少佐はどちらのご出身ですか?」
少佐「北京だ。軍に志願したのも祖父の勧めでな」
エリートだ。
上兵「そういえば何故シーツをお買い上げに?官給品があるでしょう」
「話すと長いですよ」
少佐「あまり贅沢をするな。狭い基地に火種を持ち込むのは許さん」
雰囲気が締まる。流石は上官の格といったところだろう
「士官宿舎に外国人と思わしき部外者がたむろしていまして、その対策に使いました」
少佐が咳き込む。上兵が呆れる。失敗した。
少佐「どうしてそういう事を早く言わない!?!!!」
「すぐに解決しましたし、もし同胞なら責めるのも酷だろうと思い」
上兵「そういう事はご報告下されば即応分隊が出ます」
じっと少佐がこちらを伺う。きっと弁明を求めているのだろう
「部屋のシーツに厚く砂埃が覆っていましたし、何より責任者の連絡先が分かりません」
少佐が姿勢を崩す。まるで呆れたというように。
少佐「まあ良い。食え」
...食事を終え、荷物を纏めてトラックに乗り込む。
どっと疲れた。今日はシフトも無かったな
少佐「後で憲兵詰所に来い。たっぷり話を聞いてやる」
今日は眠れないだろうな
イエメンも中国も分からない。感想コメントお願いします