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◆短編/完結済み◆

「にゃふん」

作者: 雲井咲穂

 そいつは、ふかふかの茶色の毛を持っている。


 金緑色の瞳に縦長の瞳孔。


 暗闇ではまんまるになり、明るい場所では鋭いナイフのようになる。


 耳の先端が少し丸く、口の下と胸元が白い。


 背中を撫でられるのが好きで、お腹を撫でようとすると間髪入れず噛んでくる。


 嫁が先日、こんな歌を作った。


「背中はとても好き―。お腹はとてもいやぁー。もふもーふするとかなーらず、噛むよー、噛むよー」


 クリームパンのような手をひっくり返せば、鼻と同じピンク色の弾力を堪能することができる。ぷよぷよしていて少しひんやりしている。


「にょっ」


 にゃ、でもにゃー、でもなく「にょっ」。


 じとりと眦を吊り上げて、時には三角形に変じる瞳。


 ぷよぷよとした肉球を親指でむ、っと押せばやや乳白色の尖った爪の先端が垣間見える。


「爪切ろうねー」


 爪切りはいつも嫁が担当している。


 お膝で抱え込まれ、逃げられないように固定されている。


 耳をしゅんと垂れさせたこいつが低い声でうなーと抗議を上げるのをまるきり無視して、ぱちん、ぱちんと淡々と整えていく。スキル、爪切り。


 最近貫禄がついたこいつは、どっしりとした体をのそのそと動かして、日中はあまり近づかず適度な距離を保っている嫁の足の間に入り込む。


「寝てる間に踏みつぶしちゃったら可哀想だから、寝返りを我慢している」


 と言っていた彼女は、今朝、腰を押さえながら湿布を貼っていた。


 寝返りを我慢しすぎた結果、変な風に体を動かしてしまい、ぎっくりしてしまったようだ。


 びっくり。


 自分なら問答無用で寝返りをうつのに。


 そよそよと、冬になってもふもふが増量された茶色のしっぽを振り子のように振りながらそいつがこちらをじっと見返した。


「冬毛、春になったら抜けるんだよな」


 ―――我が家では、抜けて空中を舞う毛のことを「にゃふん」と言っている。


飛ぶんですよ。

色々なところを飛んでいて、空気清浄機ところころが大活躍してくれるんですよね。

我が家は茶色なので黒い服だとよく目立つのですが、黒ネコチャンだったらどうなんだろう?やっぱり目立ちにくいのかな、と想像してしまいます。

黒猫さんとお暮しの方、教えていただけたら嬉しいです。

貴方様のおうちのにゃふんは何色ですか・・・・?

春がトテモコワイ冬です。((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル

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― 新着の感想 ―
ほっこりするお話、ありがとうございます。 にゃん毛って着いてきますよねー、どこへでも。 コロコロしたのになー?
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