流れ星のまほうつかい
あるところにひとりのまほうつかいがいました。
まほうつかいは森のおくにくらしていました。
まほうつかいはひとりぼっちでくらしていました。
まほうつかいはいちねんにいちどだけまちにいきます。
まほうつかいはまちのにんげんから『流れ星のまほうつかい』とよばれていました。
まほうつかいはいちねんにいちどまちに星をふらせるからです。
まちに星がふる夜にはきせきがおこります。
こんばんはそのいちねんにいちどのきせきがおこる夜てす。
きせきの夜にはまいとしまちには雪がふっています。
まほうつかいがまほうのつえをひとふりします。
すると雪がふりやみます。
そしてもうひとふりします。
するとぶあつい雲がちっていきます。
そしてもうひとふりします。
すると星がいくつもいくつも流れました。
まほうつかいはにんげんといっしょにその星をながめます。
流れた星はふかふかの雪のおふとんにおちていきます。
雪のおふとんにおちた流れ星はよろこぶように光ります。
たくさんたくさん星がおちていきます。
そのたびにたくさんたくさん光ります。
まほうつかいとにんげんは「きれいだね」「きれいだね」とたくさんいいます。
なかにはそのうつくしさに涙を流すにんげんもいました。
やがて流れ星がおちきって夜がおわります。
そんなきせきの夜はあっというまにおわります。
たのしい時はあっというまにおわります。
夜がおわるとまほうつかいはまた森にかえっていきました。
まほうつかいはまたひとりです。
でもまほうつかいはさびしくありません。
なぜならまたいちねんごにみんなにあえることをしっているからです。
流れた星はいのちになって春に芽ぶくことをしっているからです。
雪のおふとんがとけて春がやってきます。
芽ぶきのきせつがはじまります。
まほうつかいはまどのそとをながめながら春にいのりをささげるのです。
お わ り