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2時【一緒に食べよう】

昼休憩の一幕。

4時限目の授業の、終わりを告げる鐘が鳴り響く。


『起立!礼!』


挨拶を終えると、昼休みの時間になった。


クラスメイトの中には、お弁当を広げる者、


学食の為に教室を走って出る者、


机を並べて、しゃべりだす者。


様々な人が居る。


私はいつも通り、彼とご飯を食べる事にしている。


お弁当を準備しようと、鞄に手を伸ばした。


すると、、


千流ちるるちゃん。』


机を挟んで前方に、一人の同級生の少女が話しかけてきた。


「あれ?木ノこのかちゃん。どうしたの?」


その子は、犬見いぬみ木ノこのかという同級生だ。


幼稚園生の頃からよく一緒に遊んで、分かり合っている一人の幼馴染だ。


最近は、私に彼氏ができたから遊ぶ回数も減ったけど、メッセージアプリではよく話し合っている。


スタイルも運動神経も良い筈なのに、引っ込み思案という、少し変わった子だ。


『一緒にご飯食べない?』


と、彼女は微笑む。


こんな一幕を久しぶりだな、と感じた私は


「私は、彼と食べるからごめんね。」


と、丁寧に断った。


「今日ね、はりきって彼の分のご飯まで作っちゃったんだよ。今、気持ちよさそうに寝てるから、驚かせてあげようと思って。」


と、私は微笑み返す。


そして、鞄から二つのお弁当を机に取り出す。


『そ・・そっか。・・・ごめんね。』


彼女は微笑むが、その顔に曇りがあった。


「なんで謝ってるの、・・・わかった、月曜日は一緒にご飯食べよ」


『・・・!それって!』


「もちろん、彼と一緒にね」


『・・・わ、分かった・・』


そして、彼女は自分の席へと戻った。


一度、晴れ晴れとした微笑みに戻ったが、結局曇りのある微笑みのまま席に戻った。


何が原因なのかさっぱりだけど、、、


【彼】という言葉が出た時に、しょんぼりとしているのは良く分かる。


・・・まさか


(もしかして、私の彼を狙ってる!?)


だとしたら、例え親友でも警戒しておかないと!



そんな事を考えながら、彼の席に椅子を持って行き、対面できるように座った。


彼の机の上に置いてある花を、机の横に移動させた。


クーラーの風の心地よさに触れながら、私は彼を起こす。


「君、起きて!今日はね、君にお弁当を作ってきたんだ!」


お弁当を入れていた包みを開ける。


中から、赤色のお弁当が出てくる。


「じゃーん!」


机に置き、蓋を開ける。


中から、ハンバーグ・タコさんウインナー・唐揚げ


などの、彼の大好物が詰まった食べ物しか入っていない。


そのお弁当を彼の前に置いた。


ドヤ顔を決め、食事を始める。


食事をしている時も、口数を減らさないように話を続けた。


朝と同じく、謎の恐怖があった。


このまま、静寂になってしまうのが。


彼は目の前に居る筈なのに。


ただただ、静寂に怯えていた。


だが、話はそう長くは持たなかった。


「それでね、2日前にね!・・・」


あれ?


2日前・・に・・・?


あれ・・・?私


何を話そうとしたんだろう。


不思議な感覚だった。


明らかに、2日前の記憶が欠如している。


なんで・・私は・・・・


謎を解消しようと下を向き、考え込もうとする。


だが、その前に彼のお弁当が目に映る。


手を付けられていない、冷めたお弁当がそこにはあった。


「もお~、全部残っているよ!食欲が無いの?大丈夫?保健室行く?・・・そっか、君は保健室が嫌いだったね。」


彼の分のお弁当を持ち、片付けながら話す。


「じゃあ、私が持ち歩いている頭痛薬を置いておくね。」


そう言い、包みに入れたお弁当2つを鞄に戻し、鞄から頭痛薬を取り出し、彼の机の上に置いた。


「元気になってね」


そう言い、微笑むと5時限目の鐘が鳴り響く。







彼女が、欠如した記憶を考えることは無かった・・・。




















“その光景を見ていたクラスメイトの中には、『助けてあげられなくてごめんね』と、自分の不甲斐なさを嘆いている者が居たらしい。”

神果みかんです。

【2時目】の投稿です。

これを書き終わり、窓の外を見てみると、昼の陽気から夜の静けさに変化しててビックリしましたw

この小説を読んで、みなさんはどう感じましたか?


是非、コメントなどよろしくお願いします。

誤字脱字のご報告もよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後のクラスメイトなどの周りの人目線の描写が面白い書き方だなと思いました! [一言] 続き待ってます
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