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第一話 誕生の日

よろしくお願いします


暗い闇のそこに体が沈んでいく。先程まであった見えない足場がなくなり、身体が浮遊間に包まれる。緩やかに、落下しているのだ。どこまでも沈んでいく。先程、告げられた言葉について考えてみる。はっきり言ってよくわからないが、今まで通りの人生を送ることだけはできないのだということは理解できた。だとしても、友人や恋人と別れ離れになって悲しいだとか、親を残していくので心苦しいだとか、そういった事は思わなかった。仕事をする様になってからは、友人とは疎遠だし、実家を出てからは、親ともたまに連絡をするくらいで、お盆だろうが正月であろうが、顔を合わせる事はなかった。そんな、上辺だけの付き合いしか出来なかった友人で、親不孝であった俺は、小学校の卒業式の時の様な気持ちになってしまう。


まあ、つまりは、このまま流れに身を任せてしまおうという、それでどうにかなるだろうという気分だ



今の自分がどうにかなったって、それで誰かが悲しむだとか、憂いてくれるだたとか、ましてや涙を流してくれるような人間の顔は、ひとりだって頭に浮かんでこない。別にそれを非難することは俺にはできない。逆の立場になったとして、そうしてやる事が出来る気がしないからだ。

悲しい。俺のこの二十ウン年間の人生はなんだったんだ。鬱だ。死にたいって…今の俺は生きていると言えるのか?

さっきから段々と手足の先から感覚がなくなっていく。それに合わせて意識もぼんやりとしてきた。うだうだ考えているのも、それらが怖くて必死に耐えるためだ。

「あぁ、駄目だ。もう考えていられない。流れるような走馬灯もない。出来るなら、何かをなし得て、人生を…」

消えていく意識の中、俺は確かに自分の人生に後悔し、なればこそ、次があるなら、後悔しない生き方をしたいと考えるのであった。





眠りが突然であったように、その目覚めもまた突然なものであった。

眩しい光が閉じた瞼の裏にまで鋭く刺さる。それがあまりにも不快で、それこそ人生で、かつてないほどの不快感であった。人が自分の人生を振り返って、考えれば考えるほどにあまりの情けなさに落ち込んでたっていうのに、なんだこの仕打ちは。あんまりひどい事するなら泣いちゃうぞ、俺。四半世紀生きてきた大人が、みっともなくのたうち回っちゃうぞ。いいのか?見苦しさに傷つくのはお前だぜ。俺は尊厳やらなんやらを失うだけなんだからな。って、元々俺にはプライドなんてないってか。ははっ、笑える


・・・だめだ、本当に悲しくなってきた。


一度感情が振り切れると、大人としてのプライドなんて脆いものであった。現状自分を不快にさせる光に嫌になり、社会に嫌になり、そして自分が嫌になった男泣きだ。存分に泣いてやる


「おぎゃああああああああああああああああああああああああああばぶばぶばぶぶバぶぶばぶばぶばああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」



おぎゃあ・・・?


自分の口から


ありがとうございました

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