表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/35

#6

「ハイ!もうおしまいにしよう!ね!」





わたしは、バスケの話をやめるよう進行係てんのこえに言った。





そう言った途端に進行係から言葉はなくなった。






「過去は過去。過去は前に進むための推進剤にしなくちゃね!」






わたしは空を見上げた。









「あっ、今日は雨だっけ!」






雨粒がみずきの柔らかい肌にあたって流れた。








雨の日はいつも思い出す。









琴波ことはちゃん‥」









みずきの柔らかい肌に目からもやさしい雫が流れる。








「琴波ちゃん、待ってよー!」








「追いつけたら、わたしの絵描いてもいいよー!」





琴波は嬉しそうに言った。







みずき、小学生、サッカークラブ所属、趣味絵を描くこと。





琴波とは毎日遊んだ。





琴波はかわいくて、とにかく元気な子だった。






みずきはよく絵を描いていた。







ある日、そんなみずきの絵を琴波に見られた。





「これ、わたし?」






「ご、ごめん勝手に描いて!」






「なんで謝るの?わたしは嬉しいけどぉ?」






「ホント?」






「ホントだよ!だってわたし、みずきちゃんの絵好きだもん!」






好きで描いてる絵をほめられて嬉しいわけがない。




みずきのテンションがみるみる上がる!




「ちゃんとみて描いてほしいな」







「え?」


ボクは驚きを隠せない。





「だから、勝負しない?」






「わたしが逃げるから捕まえられたら描いていいってルール、どうかな?」






「うん!」







ルーズボールやフリーでもみずきには気をつけろ!






仲間たちはそう言っていた。






みずきはカウンター潰しが得意だった。





何か目標があると、スピードが上がるらしい。



ノーマークやフリーという言葉はなくなる。





学年では3番目の足の速さだったが、ことこの件に関しては学年1位と言えた。





そんなみずきを知ってか知らぬか、琴波はつかまえられたらと言った。







みずきちゃんらしく描いてね!





みずきは真剣に描いている。





言うまでもなく勝負はみずきの勝ち。




でも、みずきは嬉しかった。






琴波といる時間がとても心地いいからだ。






そんな琴波が転校してしまった。







あんなに元気だった琴波ちゃんが目の病気を持っていたことは、後で知る。





転校してから琴波ちゃんとは会っていない。






琴波ちゃんがいなくなったとか、なくなったなんて噂もよく聞いた。






真相はわからない。







そんなことを思いだしながら、やさしい雨の中歩いているみずき。







ふと、身なりの綺麗な初老のご婦人が話しかけてきた。




「こ、琴波ちゃんかい?」






わたしは驚いた。









わたしの顔は琴波ちゃんそのものらしい。











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ