冒険とスキルと狼
ここはのどかな大草原。
上を向けば青々とした空が美しく目に映り、
周りを見れば花が所々に咲いていて日向ぼっこにはもってこいの場所。
だがそんな草原で猛スピードで逃げる奴らがいた。
リナとツルギが狼の群に追われていた。
なぜこんなことになったのか…
少し時間を遡ってみる。
◇◆◇
リナはドルトメアを倒し、冒険に出かける準備をしていた。
「ふむふむ……なかなか質のいい赤い髪だな…」
その時初めて自分の姿を鏡で見た。
トイレとか風呂で見れると思ったが鏡がなかった。この世界全体でそうなのか?もしくはここだけか。
「なるほどな…転生前の俺の面影すらない…。体も160cmぐらいといったとこか………。」
目も青く輝いていたり、莉奈都がリナであることを改めて実感した。
そうもしてる間にツルギは冒険のためのアイテムを買い集めていた。
テントとか回復薬など冒険必須のアイテムを用意してくれた。
頼もしいツルギだけど、買い物とかになると主婦のようになる。
まるで俺の逆パターンだ。
実はこの間ドルトメアを倒した時、リナとツルギはギルドでスキルを得ていた。
受付のお姉さんは
「スキルは魔法とは違いますが、同じく使いたい時に使える能力のことです。こちらは魔力を消費しません。今は一人一個取り付けですが、レベルが上がれば取り付けられる数も多くなります。」
「へぇ〜。」
「とりあえずこの中からお選びください。また付け替えることはできますので。有料ですが…」
と言って手渡された紙には初心者用の10種類のスキルだった。
ツルギはすぐ【隠密】を選んだ。
勇者なのに目立ちたくないのだろうか?
リナは迷いに迷った。
「ん〜【火炎耐性】もいいな…だが【熱感知】や【暗視】も野宿とかの時役立つな…」
数分後、リナがスキルを決められないのでツルギは勝手にリナのスキルを選んだ。
「これで良いですよ。長くなりそうだし…」
「は、はい…ではそうさせていただきます。」
結局リナにつけたのは【魔物共声】と言うスキルだった。
魔物と対話できるスキルだが、魔物を倒す冒険者には不要なスキルだ。
街を出てすぐリナはツルギに怒った。
「ふざけんな!!」
その声はどこまでも響いた。
すると一匹の狼がこちらを睨みつけてきた。
「お、おい…お前【魔物共声】offってるか?」
「してないけど…まあ1匹ぐらいなら…」
するとその狼の裏から沢山の狼が出てきた。
そしてその狼達は一斉に、威嚇した。
「アォォォォォォン!!!!!!」
そして今に至る。