女として
莉奈都は森から見えた街に早足で向かった。
その街に着くとそこはレンガ造りの建物が沢山あり、想像してた異世界の街そのものだった。
沢山の人が暮らし愉快な街。ここが莉奈都が始まりの街【メモリア】
ここの世界はどうやら日本語にも対応しているらしく転生者にはぴったりだ。
転生前のゲーム、小説の流れで莉奈都はとりあえずギルド的なところを探した。
大きな街で迷いに迷ったが、住人との会話もあってか無事辿り着けた。
でも不思議だったのはその会話した住民の誰もが、
「お嬢ちゃん」
と呼ぶ。そんなに女らしくないはずだが…
どうやら思った以上に転生後の姿が女に近いらしい。
そんなことを気にしつつも(魔法が使える勇者)になるためにギルドに足を踏み入れた。
そこはゲーム感満載だった。
クエストが貼り付けられている掲示板、居酒屋、そして受付のお姉さん。
リアルで見るととても新鮮である。ここの受付で自分の能力などが選べるらしい。
とりあえず受付のお姉さんのところに行ってみた。
「ご用件はなんでしょうか?」
そう聞かれたので莉奈都は恥ずかしがることもなくハッキリ言った。
「冒険者、いや勇者になりたいんですけど…」
「…」
お姉さんは少し黙り込んだ。
なんなんだ?この世界で勇者ぐらい普通では?そう思っていると…
「………ちょっと動かないでくださいね……」
「は、はい……」
なんか検査機みたいなのにかけやがった!そんなに怪しいことしてないはずだが???
「申し訳ございませんが勇者は基本的に男性限定なんですけど……」
「……………は?」
「簡単に言わせていただきますと……………あなたは女です。」
「………………」
「えぇぇぇーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」
◇◆◇
名前が変わった。莉奈都からリナに…
自分のプロフィールが載っているカードももらった。このカードはまだ使い方もよくわからない。
「薄々気づいていた気もするがまさか女のなっているとは……」
「これトイレとかどーすんだよ!!」
結局あの後勇者は諦め、《全能魔術師》になった。
というか、魔術師の中でしか選ばせてもらえなかった。まあ杖持ってる時点で確定なのだが。
余談だが、この世界では魔術師だけでも8種類あるらしい。
火の攻撃だけしか覚えられないが、攻撃力なら随一の《火炎魔術師》。
攻撃だけでなく回復系の魔法が使える《回復術師》。
などと言ったものがあったが、なんでも覚えられる代わりそれぞれの能力は低くなる《全能魔術師》を選んだ。なんとなくなんだけど。
とりあえずクエストに行こうとしたんだけど、女性は最低2人以上のチームを組まないとクエストに参加できないらしい。
「なんていうクソルールだ!いいじゃん仲間なんて後々作ればいいじゃん!」
とりあえず募集の掲示板に行ってみたがなかなか良さそうなのがない。
このままじゃ森の中と対して変わらないじゃないか!!
しかしそこにある男がやってきた。
その男に周りのギルドのお姉さんは釘付けだった。
「君、良かったらうちのパーティー、入らない?」
その男は転生前の世界、日本で言うイケメンで、さらに"勇者"だった。