転生したら
そこは都会とも田舎とも呼べないような街。
その街でただただ普通の青年がいた。
その青年の名は“青木 莉奈都”
この漢字だから「女ぽいね」とか言われたりもするが、それ以外はいたって普通。
テストの点も平均なら運動神経だって普通。
莉奈都自身はその'普通'に飽き飽きしていた。
そんなある日、登校中に道路で子供が立っていた。小学生くらいだろうか?
そこに迫り来るトラック。
莉奈都はその子供を突き飛ばし、静かに目を閉じた。
「あぁ……俺って死ぬのか?。結構あっさり…。でも最後くらい普通ではないことが出来て良かった。」
そう思ったのを最後に意識が遠のいていった__
◇◆◇
意識が戻った。生きてるのか?ここは天国か?
そう考えながら目を開けた。そこは大きな森だった。
とりあえず起き上がると妙に体に異変を感じた。自分の体が元より明らかに一回り小さい。
色々確認すると服も違かった。いかにも魔法使いの着てそうな服、そして帽子もだ。
よく見ると隣には杖もある。
「俺もしかして転生して魔法使いになれたんじゃね!?」
杖を振ったりいろんな動作をしてみたが何も起きない。
多分ここは冒険して魔法を覚えたりする異世界なのだろう。まるでゲームじゃないか!
そうして莉奈都はその森で何日もの時を過ごした。
転生してから何日がたっただろう。
一向に森を抜けだせなかった。
だがこの体にも慣れ、小柄なおかげなのか雑魚と思われるモンスターからも逃げることが容易かった。
早く街を見つけて自分の姿を確認したい。
莉奈都はイケメン勇者の姿を思い浮かべまた歩き出した。
そしてついに目の前に街が見えた。
「俺はこの街から伝説の勇者として!!輝いた生活を!!送ってみせる!!」
だがすぐにこの夢その始まりの街では打ち崩された。