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闇堕ち偽勇者のハードライフ  作者: ヒナの子
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7話 異世界といえばダンジョン!

「今日からよろしくお願いします!」


 新たに出現したダンジョン『エーテリアダンジョン』。

 このダンジョンは俗に竪穴式と言われるように、下に下にと階層が続いているダンジョンだ。


 予定の集合場所に着いた俺達は先に来ていた2組のパーティーに挨拶をしていた。


「噂では名高い勇者の祭壇に現れた流れ人だけで構成されてるとか。これは期待できそうですね」

「そんなそんな、俺達なんてまだまだ半人前にも及ばないビギナーですよ」


 なんて小話を挟みながら翔斗は上手く他のリーダーと交流を深めていた。


 そんなこんなで10分もしないうちに全員が集まった。

 国から派遣されてきたダンジョン調査班の代表の人が前に出て今回のクエストの説明をし始めた。


「今回はよく集まってくれた。聞いているとは思うが、新たなダンジョンだ、決して油断しないでくれ。今回は5層まで調査したい。ハードになると思うが協力してくれ」

「「「おう!」」」


 金をもらっている以上はその分の働きをする。

 これが冒険者の基本スタンスであり、それ以上のことはしない。

 必要以上のことはいずれ身を滅ぼすことに繋がりかねないからだ。


 入口に付けられたロープで下に降り、1層に到着。


「魔物です!」


 3分も経ってない内に魔物と遭遇。

 数は3体。悪魔の羽のようなものを生やした眼球だ。


「貰いますね! はぁっ!」


 翔斗がいち早く反応し、【神王剣】を発動して斬りかかる。

 相手はギョッとしてビームを放ってきた。

 目からビームだ。


 しかし、それを1振りで消し飛ばし、2体を斬り伏せる。

 斬られた魔物はそのまま呆気なく魔石になった。


「すげぇな! 俺達もやるぞ!」


 ほかのパーティーもやる気を出して、危なげなく残りの3体も倒した。


「今のはデビルアイですね。目からビームを放つ攻撃のみで、ビームを放ったあとはバランスを崩すという弱点があります」

「ありがとう、気をつけるよ」


 5体とも仕留める気で挑んだが、初見の攻撃で2体しか倒せなかった。

 そのことを気にしているのか、翔斗は調査班の人の話をとても大事にしていた。


「真面目ね。あなたも見習って欲しいわ」

「うっ、善処するよ。けど、花梨って割と俺に厳しいよな」


 ほぇ〜っと翔斗のことを見ていた俺に声をかけてきたのは花梨だった。

 見習って欲しいと言われてもズボラなところが抜けきらないのが俺なのだから仕方がない。


 最も、開き直ってしまうのが1番の問題だとは気づいていない訳でもない。


「魔物です!」

「ほらっ、行ってきなさい」

「はいよ」


 周りが魔物に突撃するよりも先に1歩前に出る。

 敵は2体のデビルアイだ。


【ブレイブショット】ⅹ3

【ショットレンジ特攻】


 オーバーキルになるとは分かっていても、ついフルにギフトを使ってしまう。

 臆病者の考え方がそうさせているんだろうけど、俺は倒せるならなんでもいいな。


「おおっ! 派手さはないけど威力は高いな!」


 俺は【ブレイブショット】の範囲を30センチに絞っている。そのため、【ショットレンジ特攻】で威力が上がっているのだ。

 傍から見ればほぼ消滅しているようにしか見えないかもしれないな。


「すいません、俺達だけ経験値貰っちゃって。次からはローテーションで回しますか?」

「そうだな! 俺達もいい所見せてやるぜ!」

「私達も異議はないです」

「おう! 頑張るぞー!」


 翔斗の提案に口々に声が上がる中、俺の頭には違う声が聞こえていた。


『【ブレイブショット】の使用回数が一定値を超えました。【ブレイブショット】を3つ統合し、ギフトの上位互換を行いますか?』


 なんやらよく分からないが、他の人には聞こえないシステム音声だ。

 つまり【ブレイブショット】3つを素材に同系統の上位ギフトを手に入れられるってことか?


 どうしよう……選択肢が2つある。

 1つはこのままシステム音声に従って上位互換すること。

 2つ目は前から考えていたが、【ギフトストック&交換】を使って新しい力を手に入れること。


 安定のパワーアップか博打で一発逆転か?


「どうしたんだ? ぼーっとして」

「いや、なんでもないよ」


 保留


 すると、頭を圧迫していた存在感が消え去る。

 保留の選択肢を作っていてくれるだけ有難いが、これで保留は2個目だ。


 1個目は【鑑定】でも今と同じことが起こり、保留にした。それ以来、また選択肢を迫られるのが嫌で【鑑定】を使っていない。


「ペース上げていきましょう!」


 調査班の指示に従って1層を網羅していく。

 無我夢中では無いが、目の前に一生懸命取り組んでいる間にいつしかになっていた。


「今日はここまでですね。休息は2人1組で周囲の監視を回していくので、それ以外の人がとってください。最初は私達、調査班の2人が監視を担当しますね」

「何分交代ですか?」

「この人数なら40分でいいでしょう。休息の時間に各自でご飯も食べてください」


 ダンジョン内で魔物がポップしない場所をオアシスという。

『エーテリアダンジョン』の中にもそのポイントは存在しており、そのうちの一つに滞在している。


 しかし、オアシスといえどダンジョンの中。

 魔物が徘徊して遭遇することはあるので、確約された安全ではない。


 「じゃあおやすみ」


 こうして、ダンジョン調査1日目が終わった。


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