魔王は英雄である その2
魔王と呼ばれる英雄が異世界を救った話なんて聞いたこともなかった
ましてや、野球で異世界を救った例も聞いたことがない
女神様とエルフは話の続きをしてくれた
「魔王は我々の世界を救った英雄でありながら統治者にもならなかった方でした…
彼は戦争と支配を嫌い、行わなかったのです…」
「その代わりに戦争をする代わりに野球で世界の統治者を決めて10年間だけ統治するというルールを設けたのよ」
「問題は野球という競技のルールを把握しているのが魔王、ただ一人だけということ」
「さらに言えば、野球をするようなステージすらない
それだけ荒れた土地、疲れ切った民、傷だらけの状態で何も出来ない」
野球のルールも知らない
傷だらけの民でどうにか復興しなければいけない
それだけでみんな頭がいっぱい
これは流石に野球なんてやっている場合じゃないだったのだろうと私は察した
「でも、どうして、だとしたら?野球があなたの世界で定着したの?」
「…そこからが魔王の本当の力を発揮したからです!」「魔王には三つの神具があったのよ!」
三つ?なんだろう…
魔王が所持しているのは『木製のバット』、『グローブ』、『野球ボール』
『それだけ』で荒れ果てた大地を元通りにする力なんてないはず…
間を開けないでエルフはツッコミをした
「『それだけ』でやっちゃうのよ魔王という存在は…!」「ふぇ?」
女神は神具を説明し始める
・神剣ラグナロック ・神杯ユグドラシル ・神球マトリクス
「…これらの神具はあなたたち世界の木製バット・野球グローブ・野球ボールに当たるのです!」
「まず魔王は荒れ果てた大地に命の吹き込むために神剣ラグナロックを振りかざしたの!」
たぶん、魔王にはそんなつもりがなかったのは分かる
早朝のスイング練習をしてただけだろう…
「彼は何度もこうじゃないといいながら練習してたわ!きっと振りかざすにも意味があったのね!」
(意味があったのはスイングのフォーム確認をするためだよ!)と私は心の中でツッコミを呟いた…
続く