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九話

「藤家総理。決断の時です」


 閣僚会議は、日本人殺害で紛糾していた。日本固有の領土で国民が害されたのだ。専守防衛を頑なに守ってきた日本であったとしても我慢には限度があるのだ。防衛出動が日本を救う道であると主張するのは間違いではない。


 武力に対して多くの言葉を投げ掛けても意味は為さない。武力に対して武力で対抗するのは稚拙な手段であるかもしれないが効果は恐ろしく高い。もし、人類が一つの国家であるという概念を持てば最低限の治安維持組織のみを残して軍隊を持つ必要はなくなるが、人類意思の統一には時間が必要となるだろう。


「日本とて一枚岩ではない。様々な思惑があるが、多くの人が平和を愛している」


 自衛隊の防衛出動は日本が侵略を受けている事を意味する。外交下手とマスコミに叩かれようと戦争にならない努力を続けてきた。中国の密漁や北朝鮮との密貿易と戦うだけが自衛隊の役割ではない。日々の鍛練は国を護るために。国を護る事が国民の生命を財産を誇りを護る為に。日本は立ち上がらなくてはならないのだ。


「私は歴代の内閣総理大臣の中でも愚か者と罵られるだろう。だが、日本の真の独立の為に戦わなくてはならない時である」


 小田原の特危獣対策もまだ半ばであり、自衛隊を出動させるべき、護るべき国民が助けを求めているのにも関わらず、防衛出動を決定し最高指揮官として敵を討ち滅ぼそうとしているのだ。


 深夜であるために国会を召集することは出来ないが、防衛出動には国会の承認が必要になる。国会を召集する時間が無い場合に限り事後の承認も認められているが、承認が却下された場合には直に作戦行動を停止しなくてはならない。


「私は内閣総理大臣の権限として防衛出動を全自衛官に対して命じる。時枝防衛大臣、統合幕僚長および各幕僚長に対し防衛計画に基づく防衛行動の指示を頼む」


 日本人殺害が明らかになった時点で防衛出動待機を命じていた。嘘であって欲しいと報告を聞いた者は考えたが、事実は覆らない。日を置いて発表するにもどこでどの様な状況で殺害されたかを国民に説明する義務が藤家にはあるのだ。


 機密として国民に知らせないという事は出来ない。数人もの人間が突然いなくなれば家族は元より、周囲の人間も不審に思うだろう。今は国民に政府の事を疑問に思われてはならない。特危獣に対する武器使用も未だに議論されている。


 被害に遭った者達は例え反対していたとしても政府の対応を責めるだろう。積極的に賛成する訳ではないが、武器の使用も已む無しというのが法案が可決された理由である。


 国民の支持を失えば政権は維持できない。藤家は内閣総理大臣である事に固執はしないが、別の者に対応できるかは分からない。もしこのタイミングで政権交代が行われれば今以上に日本は混乱するだろう。


 責任を取らない責任者は必要なく、不祥事でトップが辞任する事が日本の責任の取り方であるが、それはただの責任逃れであり根本的な解決にはなっていないのだ。アメリカの様に訴訟を起こされる事を気にして謝罪しないというのも考えものだが、少なくとも責任をもって改善に努める。


 アジアの情勢は小康状態を保っており、刺激するべきではないとの意見もあったが行動しなくては何も変わらないのだ。


「藤家総理。どの様に国民に発表されるおつもりですか」


 佐伯(さえき)官房長官は藤家の女房役であり、党の重鎮である。順調に行けば次期内閣総理大臣は佐伯が務める事になるだろう。藤家は任期中に職を辞するつもりはない。次の国民総選挙で党の支持を問えば良いだけでありそこで大敗したとしても後悔する事はないだろう。


 政治は綺麗事だけでは務まらないが、汚職は藤家が最も嫌う事である。藤家は行政の長として歳入・歳出の透明化を図り国債の発行が歳入の多くを占める現実を変えようとしていたのだ。


 歴代の内閣総理大臣としての方針が借金大国をつくり、改革も上手くは行っていないがそれでも専門家を招き体質の改善を断行したのだ。


「国民にはありのままを伝えるしかないだろう。どの国によるものなのかは明らかになっていないがそれは問題ではない。国民が事実を知り政府は行動することが重要なのだ」


 防衛出動は国際法上の宣戦布告には当たらないというのが日本政府の見解だ。日本国民が実際に害された以上は本土に住む国民が安全である理由はないのだ。未知の敵に対しての専守防衛であり、国を明言しないのは日本政府にも事実確認が出来ていないからであり、特定が出来れば国際法に則って提起するつもりである。


 黒に近いグレーでも白では無い限りは日本政府は引くつもりはない。戦争は忌むべきもので対話で解決すべきだと誰もが考えるだろうが。身内を殺されても同じ主張が出来るかは疑問である。


「佐伯君。済まないが一時間以内に発表できる様に急ぎで準備して貰いたい。事実のみを纏め、推測は排除した原稿を頼む」


 原稿を作るのも官僚の仕事だったが、草案は作らせても藤家は自分の言葉で伝えるつもりである。無難な発言は今は必要無いのだ。国民に訴えるなら自分の言葉でないと意味がないのだ。時枝防衛大臣は担当大臣として次官を急遽ではあるが招集し、次官・局長クラスは叩き起こされる事になるだろう。


 特危獣対策大臣である佐々木も遅れながらも危機管理室へとやってきた。地元での政治活動で東京を離れていた大臣も続々と集まっており、野党へも発表の通達は行った。反対すれば自分達の立場も悪くするが野党として反対しない訳にも行かない。


 軍閥化は何とか避けなくてはいけないことであり、与党内部でも反対の声はある。だが泣き寝入りも許されることではないのは政治に携わるものであれば承知しているだろう。


 交渉において妥協できることと出来ない事は明確に分けるべきなのだ。妥協するつもりがあっても相手に悟らせない事が重要なのだ。渋々、受け入れるのと最初から譲歩するのとでは天と地程の差があるのだ。


 日本にとって領土よりも国民が害される事が許容できない事であり不当に土地を奪われる事も許容できないがそれでも国家としての独立を維持するためなら外交の手段とする事が出来る。


 無闇矢鱈と認める事はしないが、妥協点を模索する事は出来る筈なのだ。相手の言葉を鵜呑みにすることは出来ないが主張するところはする必要がある。そして、防衛出動によって国民を国を護る意思を各国に示すのだ。出動する事になる自衛官や警察官・海上保安官には迷惑をかける事になるがそれが彼等・彼女等の責務であるのだ。


 そして藤家は日本の立場を明確にし同盟国であるアメリカにも協力を要請するためにホットラインにて事情を説明しなくてはならなかった。防衛出動に関する発表まで時間は限られている。藤家は内閣総理大臣としての資質を問われていた。


 日本からの打診にアメリカ大統領ホワイトはどう対応するべきかの協議を続けていた。ホワイトは国粋主義者でもあり、現実主義者である。アメリカの大統領であるならば自国の利益を優先するのは当然の事である。戦争も一つの外交の形であり、世界の大国の一つとして世界をリードしてきたのはアメリカの誇りである。


 人種差別は忌むべき事であるが区別は必要である。アメリカの為にならないのであればイスラム原理主義者と戦う必要もあればメキシコの麻薬とも戦う必要がある。日本は大戦で負けた事によって主権を失ったが、それでも復興を果たし先進国となったのは祖国アメリカの支援があってこそである。


 日本の独立性は尊重するが、仮想敵国であるロシアを野放しにする事は出来ない。アジアにおける中国の影響も馬鹿にはできないのだ。そういう意味では日本と同盟を結ぶのは必然であった。


 日露戦争で日本が勝利した事は当時のアメリカからしてみれば想定外であっただろう。日本はアジアで台頭してきていたが、ジャイアントキリングも良いところだ。あの頃はそこまで技術格差が無かったとされているが、日本は鉱物資源や化石燃料を他国に依存しており、ロシアの南進を止める為に必要なことであっても大方は日本が敗戦すると考えていたのだ。


 もう一つの誤算は第一次世界大戦の賠償金支払いでドイツにハイパーインフレが起こりドイツ経済に壊滅的な損害を与えドイツに軍事政権が出来たことだろう。当時のアメリカ大統領はこれ以上、戦争に兵士を送らないと公約する事で再選を果たしていたのだ。


 日本の真珠湾攻撃によってアメリカは参戦したが、それまでは武器の輸出でしか支援できなかった。そしてアメリカが参戦した事により序盤は優勢だった枢軸国側もドイツが降伏し日本が降伏することで終戦となったのである。


 特危獣が出現したことによってテロリストの活動は沈静化したが、それでもアメリカは世界の先頭でテロと戦っている。世界貿易センタービルへのテロはアメリカ国民に絶望を与えた。アメリカが中東に根付かせようとしていた民主化の風は国民の事を思っての事である。


 テロが活発な地域では女性が誘拐され、兵士達の性欲の処理を強制されている。女が学ぶ必要はないと学校が襲撃され多くの死傷者を出している。テロ支援国家が核ミサイルを持つのは世界の危機であり、積極的に排除しなくてはならないのだ。


 湾岸戦争終了後の安保理決議を破ったイラクに対しての制裁は必要だったのだ。結果的に大量破壊兵器が見つからなかった事は遺憾であるが決議通りに査察団を受け入れなかったイラクにも問題がある。そして、大統領はあたかもイラクが大量破壊兵器を保有しているかの様に振る舞ったのも原因の一つであった。


 前政権が行った事であり、自身の政策でもある移民法の改正はアメリカ社会にとって必要な事なのだ。アメリカも永きに渡る不況で経済は疲弊しているのだ。アメリカドルが世界の基準通貨になっていた事は過去の事になりつつある。


 今の投機対象は仮想通貨であり、株式や土地よりも不確かなものである。まだ電子マネー程に普及はしておらず、電子マネーは貨幣通貨と同様に使えるが仮想通貨とは異なるものである。中国の投資家により、価値は高騰したが所詮はまやかしである。


 一応は貨幣通貨と同じ様に使えるが、対応している企業は僅かであり、基準価値も定まっていない。株価や土地であれば決算書による評価額の算定や国が発表する平均地価があるが仮想通貨にはそれがない。


 仮想通貨で儲けるのは初期から投資していた者達であり、短期的に利益は出ても後から参入した一般の投資家達は高値で購入する事によって結局は多額の損害を被る事になる。日本では仕組みを理解していない老人達も参入していると聞く。


 その投資の原資は老後の生活資金であり、無くなって良いものではない。そして取引所のセキュリティの問題や取引の不透明さも挙げられる。利益が上がれば当然、政府は課税を行う。


 課税は所得を国民全体に平等に振り分ける為にも必要であり、使い道などに多くの問題を抱えている国も多いが公益性が高いものなのだ。特危獣が現れたのはアメリカにとっても悪い事では無かった。


 国外の問題に対してもアメリカの利益を守るためならば戦争も辞さないが、国内の問題も共通の敵を作る事で解決の糸口を模索している。特危獣は確かに厄介な存在であったが、アメリカ軍は実戦経験が豊富であり、国民も銃を所持している。犯罪に使用される事の多い銃だが、アメリカ憲法で保障された権利を否定する事はない。


 一時、犯罪率の増加傾向にあったがそれも今は落ち着いており、検討されていた在日アメリカ人に対する保護も殆んど必要ないくらいであった。軍の統制が完璧であるとは言い難い。在日アメリカ軍に対する沖縄県民の感情は決して良いものではないのだから。


 日米地位協定で軍務中のアメリカ兵に対する捜査権の優先権はアメリカにある。アメリカ国民の為とはいえ、治外法権が認められている大使館や総領事館以外で当該国の司法権が及ばないのは不当とも言えるが国家間で結ぶ条約には拘束力があり、不平等条約を結ばざるおえなかった当時の情勢を恨む事しか出来ないのだ。


 多大な犠牲を払って得たものは僅かであった。特危獣の遺伝子構造は未知のものであり興味深いがまだ出現してから一年も経っていない。この分野の研究は時間も金もかかるものだが任期中に結果を出せなければいくら画期的な発見があったとしても意味をなさないのである。


 アメリカ経済は軍需産業も主要な産業の一つとなっており戦争も興行なのだ。銃弾やミサイルは基本的に使い捨てであり、戦艦や戦闘機・戦車は金のかかる兵器である。傑作機が出来る一方で何でこんな役に立たない兵器が開発されたのかと頭を悩ませる駄作もある。


 同盟国にもライセンス契約をし、製造を許可しているが高価な兵器が戦場で役に立つとは限らないのが現実である。ミサイル防衛システムは構築自体に金がかかり、ミサイル防衛を実行するために更に多くの費用がかかる。


 それならば、脅威となる国に核ミサイルを撃ち込んだ方が確実であり、安価である。日本からの要請があれば、我がアメリカも正義の為に行動しなくてはならないが、対価は必要である。


 アメリカ国民を納得できるだけの見返りがなくては軍を動かす事はできないし、中国に対しての批難決議も当然、却下されるだろう。藤家は凡庸な政治家ではないが、綺麗事では政治は成り立たないのだ。


 沖縄県民の反対によって基地の移設がままならないのは軍事上の欠点となっている。街中に基地があるなどテロリストに狙って下さいと言っている様なものだ。


 アメリカとしても同盟国日本に対してできる事はしてきたつもりであるが、日本はアメリカの庇護下から脱しようと憲法改正の動きまである。議論はしているがアメリカの日本への回答は否である。自国の問題は自国で解決すべきなのだ。


「在日アメリカ人の救出ができる様に準備だけを軍に通達。アメリカは事態を静観する」


 一般部隊が高度な精密射撃を平然として行える国なのだ。実戦経験はなくとも災害派遣での活動は高い技量を世界に対して示したのだ。中韓が日本を攻めたとしても日本は国土の防衛くらいは出来るだろう。そして、危なくなったら集団的自衛権を行使して日本に恩を売れば良い。


 恐らくは有り得ないことだが、中韓が日本との戦争に勝利してしまった場合、共通の敵を無くしてしまった両国は国を纏める事が可能なのだろうか。


 反日を掲げ当選した代表達に求心力があればまた話は別だが、韓国が万が一でも日本に勝てる見込みはなく、中国の国家首席も国内の体制を維持できなくなるだろう。両軍の士気は高くとも現代戦は士気だけで勝利できるものではないのだ。


 精密機械を十全に扱えるだけの部隊と最新兵器を開発・運用する経験が必要なのだ。自衛隊は軍であるのにも関わらず高齢化が進んでおり、日本社会の縮図とも言えるが、それでも武器の使用を政府が容認し、率先して戦う意思をみせれば我がアメリカ軍ですら苦戦するだろう。出来るのはゲリラ戦となるが海自と海保の警戒網を潜り抜けて陸上戦力を日本に送れるかに疑問がある。


 そして少数のゲリラでは戦術的勝利以上は望めず眠れる獅子の尾を踏む事にもなりかねないのだ。日本の戦力評価の為の犠になってくれるのであればそれで良いが日本とアメリカは密接な関係にあり、合同演習などで得られる情報は多い。


 自衛隊が使用する兵器の一部はアメリカ製でありライセンス契約を結んで製造している。公式スペックに表れない詳細なデータを把握しているというのは重要であり、アメリカが日本の純国産機の製造を妨害するのも国防の為に必要な事なのだ。


 先進技術実証機【護神】の開発の妨害も行っていたが、第五世代のステルス戦闘機は高価ではあるが、この先の領空権の維持の為に必要であり先進国は競って開発を進めている為に日本だけに開発させない訳にもいかなかったのた。


 アメリカはステルス戦闘機の輸出を承認していないのだ。そこに加えてステルス戦闘機の開発を認めない事は同盟国であっても日本は独立国である為に不可能に近い。ロシアや中国といった脅威が有る限りは自衛の為に航空戦力を持つのは当然であり、新しい技術が発明されれば古い機体は退役する事になる。


 アメリカの軍需企業が持つ雇用は大きなものになり過ぎている。兵器や武器の使用が無くなれば失業率は急上昇するだろう。


 ロシアとの代理戦争をしてきたのは、世界をリードしてきた自負と冷戦を経て直接、戦うには損害が大き過ぎるからであった。世界大戦にならないのであれば日中戦争はいい口実になるだろう。世論さえ味方にできれば、中国を強く批難できる。


 ロシアが参戦するかは分からないが、世界の軍事バランスを崩す事を良しとはしないだろう。自国の利益の為の行動は一貫しており、国内外の批判も多いが、それでも今はホワイトが大統領なのだ。


 アメリカも公式に特危獣を敵性生物と認識し、世界規模での駆除の枠組みの決定を決めようとしている。軍を動かせば隣国だけでなく他国の注目を集める事になるが全ての国が自国の戦力だけで発生した特危獣を駆除できる訳ではないのだ。


 アメリカの防衛費は膨張し続けている。雇用を生み出してはいるが、その対価を兵士の命で支払ってきた。メキシコに関する政策は特に力を入れており、国境警備は正に命懸けであった。特危獣の素材から新たな兵器開発も進められているが成果は殆んどない。


 変異のメカニズムは細胞が関係していると推測する程度で変異した兵士を射殺する事件も多く出ているのだ。特効薬があればその必要も無いが人とて変異してしまえば敵性生物として殺害する他ないのだ。アジアのパワーバランスが崩れる事はアメリカにとっても好ましくないが、中国や韓国に掣肘している余裕もまたないのだ。


 先ずは自国の利益のために前政権を否定して大統領になったからにはホワイトも成果を挙げる事がまず求められる。全州で立候補できる野党候補は少なく、支援者への配慮も必要だが、大企業のトップであるホワイトにはその柵も少ない。


 藤家には悪いが参戦できるだけの条件を提示できなかった日本にも落ち度はあるのだ。在日米軍を動かすのもただではないのだ。潜水艦を派遣することで状況の確認くらいは当然するが、こちらを攻撃してこない限りは今回に限っては静観する事になる。


 真相は分からないが事実とは作り上げるものでもある。日本とて侵略を受ければ反撃するのは国として当然のことだ。その為の自衛隊であり、訓練通りに実力が発揮できれば世界でも有数の軍事力を有しているのだから。アメリカと領土問題はないが、ロシアの動静は常に気を払う必要がある。


 北方領土はロシアとして失う訳にはいかず日本も対価を用意できないのだから解決する筈もない。国際条約も敗戦国となった日本に当時、正当であっても侵略戦争をしていた日本が文句を言える立場でもないのだ。アメリカが参戦するのは想定だったかも知れないが、攻撃されて黙っているほどアメリカは優しい国ではない。


 正しい主張は一見すると各国家の理解を得られるかも知れないが、意見を通す為には力が必要なのだ。無抵抗主義は美徳ではない。ただ奪われるだけであり、それが嫌ならば戦うしかない。それを理解していても無謀な戦いに挑んだから日本は負けたのだ。


 一番良いのは戦わないことなのだが、それができるほど甘くはないと日本も学ぶべきなのだ。日本とて戦いになれば自衛だけでなく敵国の中枢に攻撃をする必要がある。過去の事に囚われ気付かない振りをしているだけの中国と韓国の目を覚ます必要があるのだ。


 そうすれば対等以上の立場で交渉に望む事が出来るのだ。それをしてきたからこそ、世界の大国としての現在がアメリカにはあるのだ。遠回しな言い方は好まないが配慮は必要であり、それは優秀な文官が行うだろう。


 礼儀として電話会議でアメリカの立場を明確にする必要はあるが日本とて強要できる立場にないのだからお互い様である。


 有事の際の行動を確認できただけでも両国にとって実りある会議であったと言うしかないのだ。ホワイトは軍に対露・対中対策の作戦案の提示を命令して一日の執務を終えるのであった。

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