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戦闘と襲撃

遅くなって申し訳ありません。

  「おらぁぁぁ!!!」


  金属音が辺り一面に響きわたる。

  ドラゴンの一撃は受け流さず全て避け、大剣で少しずつダメージを蓄積させていくが、鱗が硬すぎるため、あまりあまりダメージが入っている様な感じがしない。

  流石ファンタジーで最強種と名高いドラゴンと言ったところか。

  多少硬いくらいならどうとでもなるが、ここまで硬いと流石に厳しい。しょうがないか・・・。ドラゴンから少し離れてから気を溜め、全身に赤いオーラを纏う。

  日に日に練気を使う速度が早くなっていく。初めて使った時の戦闘中は使えないと評価したが、このくらいなら問題ないだろう。


  「練気も使用しているし遊びはここまでだな」


  そう言って大剣をアイテムボックスに収納し、手甲を打ち合わせ金属音を響かせて、構える。

  ・・・やっぱり大剣より違和感がない。よくよく考えると装備も戦闘スタイルもファンタジー世界無視してるな。

  そんな事を考えるが、まあそれはそれでアリかも知れないと開き直って、こちらの様子を伺っていたドラゴンに飛び掛かった。

  負荷魔法でかなりステータスを下げてはいるが、練気で高めたステータスでのストレートは、ドラゴンの強固な鱗に弾かれた。

  ・・・これでも弾かれるのか?直ぐ様振り下ろしてくる爪を避けながら考えていく。

  と、言っても出来る事は限られている。

  今まで止まった状態で力を溜めていたが、このドラゴンにそんな悠長にしてたらぼろ雑巾にされるのがオチだ。ぶっつけ本番だがあのドラゴンの攻撃を避けながら、練気を維持しつつ、力を溜める。・・・これ、めちゃくちゃ難しいぞ!?

  攻撃避ける事に集中したら気を溜めるのが出来ず、気を溜める事に集中したら攻撃に当たりそうになるし、練気が消えそうになるわでかなり難しい。


  十分ほど四苦八苦してると漸くコツを掴んできて少しずつ力が溜まっていくのが分かる。この感じマニュアルの車の運転に似てるかな。

  ハンドル操作は攻撃を避ける動作で、クラッチ操作は練気の維持、アクセル操作は力を溜めるって感じだろう。やった事ない人はかなり難しく感じるけど慣れた人ならほとんど無意識に出来る感じだろう。

  この技術を磨けば、また少し強くなれそうだ。


  更に五分ほど回避を繰り返し、漸く『龍撃』一発分の力が溜まった。拳を握りしめたまま、振り下ろされる爪を避け、がら空きになった胴体に拳を叩き込んだ。


  「龍撃!!!」


  拳と赤いオーラは当たったところから衝撃波を撒き散らして、ドラゴンとその周辺に傷跡を残して消えた。

  ぼこぼこになった地面とへし折れた木々、当たったところの鱗が凹んだドラゴン。


  「・・・はぁはぁ、マジか」


  勝ったつもりだったんだけど、鱗が凹んだだけかよ・・・。俺が凹むわ!!

  『龍撃』でも効かないのか・・・。いや、もしかしたら、力が逃げて上手くダメージを与えれてないのかもしれない。だから地面がぼこぼこになったり木々がへし折れたりしているのだろう。

  なら、貫通力を高めて、内部を直接攻撃してやればいいんじゃね?そう考え、再度気を溜めていく。

  『龍撃』の一撃が効いているのか、ドラゴンの動きが鈍くなった様に感じ、遠慮なく、力を溜めさせてもらう。


  コツを掴んだのと、ドラゴンの攻撃頻度が下がったので、五分ほどで先ほどと同じくらいの力を溜めることが出来た。

  このまま放てば先ほどと変わらず、良く言えば範囲攻撃、悪く言えば中途半端な攻撃になるだろう。力が外に逃げていくのが原因だと思うから、溜まっているこの力を硬い雪玉を作る様に固めればいいと考え、更に五分ほど気を固めるイメージで練り上げていく。

  ただのイメージでやってみたが、拳には気が集まり、まるでイルミネーションの様に輝いていた。それは今にも爆発しそうで一瞬でも気が緩めそうにない。

  だけどこれなら、あの硬い鱗にも効きそうだ。そして上手くいけば俺の新たな必勝技になるかもしれない、そう考えると自然と口角が上がっていく。

  赤色に輝く拳を見つめた後、ドラゴンに向かって飛び掛かろうとした瞬間、背中から腹にかけて衝撃が走る。


  「ごふっ・・・」


  口から血を吐き、鈍痛がする腹を見ると、腹から腕が貫通していた。


  「なん、だ?・・・ぐがぁ!!」


  引き抜かれる間、衝撃で痛みが増し、完全に抜かれた時には膝から崩れる。


  「はぁ・・・はぁはぁ・・・・・・痛ぇ・・・」


  穴が空いた腹からは血がドハドバと溢れ意識が朦朧としてくる。

  痛みで起き上がることも出来ないが、どうにか顔だけ動かして、顔を確認すると、一番見知った顔がこちらを見下ろし醜く顔を歪ませ口を吊り上げて嗤っていた。


 



 

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