討伐と物欲センサー
遅くなって申し訳ありません。
突然だが物欲センサーって知っているだろうか?
そう、ゲームをしていたら一度は体験するであろうあれだ。
もしかしたら聞いたことはないって人も居るかもしれない。だが、言葉は知らずとも、体験はしているだろう。
クエストやボス等で低確率で手に入るアイテムだったり、ガチャと呼ばれ、ゲームによっては名前が異なるが、おおよそ石や宝石と呼ばれるものを使用してキャラやアイテムをランダムで入手することが出来るシステムがある。
ゲームの攻略を楽にする為に必要だったり、ゲームクリアには関係はないが、自分の好きなキャラなどを手に入れる事が出来る。
考えてもみて欲しい。好きでもない、いや寧ろ嫌いなキャラでゲームをするのと、好きなキャラでゲームをするのを。
わざわざ嫌いなキャラでしたいとは思わないと思うし、どうせなら好きなキャラでプレイしたいと思う人がほとんどだろう。
物欲センサーとはその様な『欲しい』と思う物に反応して、当たらなくしてしまう恐怖のシステムである。
例えばめちゃくちゃ欲しい物が1%、まあまあ欲しい物が29%、特に要らない物が70%の確率のガチャがあるとする。当然70%が当たりやすく、ほとんどがこれを引く。1%は当たりにくい、寧ろ当たらない。29%は1%より当たりにくいが、それなりに当たる。このくらいの認識だろうか。
ここに物欲センサーなるものが入ってくると話が変わってくる。
物欲センサーが働くと1%は絶対当たらない。29%はほとんど当たらない。70%はこれしか当たらない。寧ろこれしかないんじゃないか?と思うほど当たってしまう。
そう、ぶっちゃけると"欲しい物が当たらない状態"を"物欲センサーが働いている"という表現で、『確率どうなってんの?』と遠回しに揶揄した言葉である。
・・・さて、何故ここで物欲センサーの話なんかをするかと言うと、ゴブリンを討伐してから、依頼の討伐が一切出来ていないからである。
因みにどれくらい経ったかと言うと、三時間ほど森の中をさ迷い歩きながら討伐依頼のない魔物を狩っている。
出てくる頻度は五分に一度程度で結構頻繁に出てきていると思う。また、魔物自体はあまり強くなく、見つけても、クロが高速で近寄り、一撃で仕留めていくので俺の出番が一切ない。
開き直って、メイとキーにも攻撃する様に言うと、メイは元々透明で見えにくかったのが、完全に透明になったかと思うと少し離れたところにいたレッサードラゴンの首を切り飛ばしてから、足元に戻ってきて、見えるくらいの透明度になった。
キーは空高くに上がり、鷹の様に急降下して、自身の針を刺していた。
クロもだったが、うちの従魔達はアサシンでも目指しているのだろうか?
まあ、元々野生だったし、獲物にバレない様に近付けなければ、餌も確保出来ず、生きてはいけないだろうから、従魔達の事はいい。
問題はうちの姉だ。
俺がクロ達を褒めているのを見ていたリン姉は、魔物を発見すると、文字通り消えて近付き、見えないくらいの速度で刀を振るい、一瞬で倒してからまた横に戻ってくるを繰り返して、チラチラとこちらを見ていた。
初めて見たわ、アニメ見たいに抜刀から鞘に納めるまで一切見えないくらい早いの。怪我とかよくしないなと感心してしまう。
クロ達だけでも、やることが無くて若干空気になっていたのに、リン姉が参戦した事で、既に着いていたクロ達のやる気に油が注がれ、俺の空気感が更に増す。
そんな感じで狩りを進めていくと、静寂な森の中で自然に聞くことはない、金属音と獣の咆哮が聞こえてきた。
「リン姉・・・」
「うん、行ってみようか」
「ああ」
言おうとした事をリン姉が言い、そのまま音の方へ進んで行った。
近付くにつれ、金属音や咆哮、爆発音といった戦闘音が大きくなっていく。
木々の隙間から見えたのは数人の子供と、レッサードラゴンが戦っている光景だった。
金属音は子供が持つ剣や盾とレッサードラゴンの爪が当たる音で、咆哮は言わずとも分かるかもしれないが、レッサードラゴンのもので、爆発音は子供達が放つ魔法やレッサードラゴンの魔法の音だった。
子供の、いや大人の身長の倍はあるレッサードラゴンと子供の戦闘より、リン姉以外が使う魔法に見とれてしまった。何故なら良く見ると、魔法を放っている子は立ち止まり、少し離れているから聞こえないが、呪文の様なものを口ずさみ、魔法を放っていたからだ。
今までうちの姉は魔法を使う際呪文の詠唱などしていなかったから、物珍しく感じ、いきなり無詠唱で色々な魔法を扱うリン姉はやっぱりチートなんだと実感するのと同時に、詠唱ありでもいいから魔法が使いたいと思ってしまう自分がいた。
子供達は三人は見知った顔で、確か名前はダリウスとルーベンスとミミーだったか?真新しい装備を身に付けていた。多分リン姉作だろう。リーダー格のダリウスは刀を使用していて、リン姉が使用しているものに酷似していた。他にも皮鎧や盾などの防具も以前ユッコダリウスが使っていたものと似ていたので間違いないだろう。
ダリウス達は年下だが、一応討伐者としては先輩に当たる。戦い方が参考になるかもしれないし、人の獲物を横取りするのはマナー違反だろう。危なくなったらそれとなく助けよう。
そう思いダリウス達とレッサードラゴンの戦闘を見ていたが、この三人を囲う様に少しずつ魔物が集まってきた。戦闘音や血の臭いに釣られてしまったのだろう。・・・ダリウスとルーベンスの剣による攻撃とミミーの魔法による攻撃のコンビネーションが決まりレッサードラゴンが怯んでいて、かなりいいところだ。
「クロ、メイ、キー、あの三人の邪魔にならない様に、この周辺の魔物を狩ってくれ」
そう言うと、三匹は戦闘中の三人を狙う魔物に向かって、それぞれ移動していった。これで、周りの魔物は大丈夫だろう。
ダリウスは刀の側面を使い、振り下ろしてくるレッサードラゴンの爪を滑らせて避け、直ぐ様袈裟斬りで反撃した。硬い鱗に覆われたレッサードラゴンには致命傷とは言えないが、確実にダメージを与えていた。
ルーベンスはレッサードラゴンを挟み、ダリウスと対角線になるような位置にいて、縦横無尽に動く尻尾を攻撃していた。
ミミーはルーベンスの後ろから魔法でダリウスとルーベンスを回復させたり、尻尾を攻撃したりしていた。
尻尾がある魔物は大抵その尻尾武器として使用する。それがレッサードラゴンとなると、その尻尾は脅威で、その一撃を喰らうと戦闘不能になってしまう場合もあるほどの威力だ。なので、頭を狙って気を逸らせ、尻尾を切って頭を狙うという戦法が確立させているらしい。
・・・因みに教えてくれたのは、横に居るリン姉です。
何故そんなことまで知っているかは分からないし、先ほどレッサードラゴンと戦っていた時なんか、尻尾切る前に頭を一撃で切り飛ばしていたから意味がないと思う。
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