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増員と増築

お待たせしました。

  朝食を作り終えた頃皆が食堂にやってきた。

  若干眠そうにはしてたが、顔色も明るく、元気そうだ。若干赤らめているようにも見えたが、気のせいだろう。寧ろ、夢の中であれだけ好き放題した手前こっちが赤くなりそうだった。

  ふと見せる仕草が昨日の夢と重なり鎮まっていた欲望が溢れそうになる。

  あの心を熱くする綺麗な顔も、触れ合った唇の感触も、夢が詰まったお胸様も、癒しが詰まったお尻も、欲望を受け止めてくれたあの手も夢だったと思うととても寂しい。・・・・・・何れ必ず絶対にあの夢の様なハーレムを作ろう。


  沸き上がる欲望をなんとか抑えて朝食を食べ終える。

  片付けはアイナ達が変わってくれたので、リビングで寛いだ後、村の外に出て、トランスポーターを取り出して跨がり、リン姉とメイを後ろに乗せ、キーには飛んでもらってエルザード村に向かった。

  ・・・背中には夢の中では俺のものになって、触ったり揉んだりしたものが、「これでもか!」と背中に当たり、幸せでした。


  馬車よりは早いが、全速力とはほど遠い速度で街道を走り、途中休憩を挟み、出発して三時間ほどでエルザード村に到着した。


  少し離れた場所で降り、トランスポーターを収納した後、門番にギルドカードを見せてから村に入り、一度家に向かう。

  数日離れていただけだから、特に変わってない様に見えるが、家の中に入ってみないと安心は出来ない。

  何せ数日で変わることがあるって実績があるからね。

  恐る恐る玄関の扉を開いて中を見るが変わった様子はなく、漸く一安心出来た。靴が多かった様に感じたが、まあ一人何足も持っていたらこのくらいにはなるか・・・。うん、今度下駄箱付けないといけないな。

  ちょうど昼のいい時間なので部屋に行かず、直接食堂に行ってみると、二十人ほどが食事をしていた。


  ・・・あれ?こんなに人数多かったっけ?・・・ふぅ~最近働き過ぎだな。って現実逃避してみたけど・・・本当に、多くね?

  ノラン達の村の子達やマリーやカーナの知り合いの子達は分かるけど、倍以上になっていた。それに良く見ると頭に特徴的な動物の耳が付いてる子がチラホラと見える。あれは、俗に言う獣人なのか?

  周りの子達と楽しそうに飯を食べながら時々ピコピコ動くケモミミを見る。犬耳に猫耳、兎耳に狐耳や狸耳、に牛耳とバリエーション豊富だ。エルフのロザリーやドワーフのリリィの様なファンタジーな種族を見ていなかったら思わずモフりに行っていたかもしれない。


  隣の静かなリン姉を見ると、食事をしている子供達を聖母の様な眼差しで見ていた。その表情を見ていたら、俺に気付いたメイド服姿のノランがやってきた。メイド服姿も様になっていた。


  「ジンさん、リンさんお帰りなのです」

  「お、おうただいま・・・この子達は一体?」

  「リンさんから聞いてないのです?」

  「いや、全く」

  「実はね、ジン君が森に入ってる間にクロちゃんをモフモフしに来たんだけど、そこでノランやユッコ達のいた村の子達と、カーナの居る孤児院の子達を引き取っちゃった」


  いや、引き取っちゃったって・・・。まあ、俺の想像なら孤児院って国とか領主とかが金を出して運営していて、その出される金も潤沢とはいかないだろう。寧ろなんとか生活出来るくらいだと思う。

  孤児院の運営なんかは慈善事業で、言っては悪いが一切収入にならないのだ。減ると分かっているのに自分の財産を投げうつ者は少ないだろう。更に言えば前の世界の様な義務教育なんかもなく、学がないまま大人になった時、ブラック企業並みの過酷業務を安い賃金でさせられるか、命を張るしかない討伐者や、腕や運が良ければ、国に仕える騎士や傭兵とかもあるかもしれないが、最悪盗賊などの犯罪者になってしまう者も出てくるかもしれない・・・。

  討伐者なんかは命を張るしかないとは言ったが、食材や薬の原料の確保や街道等の魔物の間引き等、生活に無くてはならない大事な職業と言える。だが、魔物と戦ったりする関係上、安心安全とは言い切れないが。

  様々な理由で自ら望んで犯罪者になる者もいるだろう。望んで犯罪者になるような奴には同情も興味も欠片も湧かないし、俺の前に現れたら叩き伏せるだろう。盗賊なんかにでもならないと生きてもいけないような場合もあるだろう。

  正直俺なんかじゃ想像出来ないほど酷い環境なのだろうな・・・。

 


  甘い考えなのは分かってはいるが、せめて俺や俺の仲間の目が届く範囲は酷い環境にはならない様にして、出来るなら幸せにしてあげたいな・・・。

 


  ・・・取り敢えず、読み書きや計算、護身術はきっちり教え、家の手伝いをさせて、その手伝ったことに対する賃金として、ここを出る時にお祝いとして、必要なもの買い揃えてあげるかな。

  二十人くらい増えても、まあ稼げるからいいか。少しハーレムが遅くなるだけだから問題ない。


  「ちゃんと、腹一杯食べさせること。いい?」

  「うん!」

  「はいないのです!」

  「取り敢えず、リン姉ある程度のお金は渡しておいて、ノランとユッコでお金の管理をしっかりしてくれ。足りなくなりそうだったら早めにリン姉か俺に言ってくれ。後、この人数部屋は大丈夫なのか?」

  「お帰りなさい。大丈夫ですよ、一応二人一部屋で使ってもらってるけど、このお屋敷凄く広くなったから」


  横からユッコが出てきてそう言った。

  ・・・・・・そうか、この家も大きくなってんのね。外観と玄関から食堂まで全く変わってなかったのに。いや、まあ家が大きいことはいいんだけどね。ただ、自分が理解出来ないとモヤモヤするってだけで。


  「取り敢えず、俺の部屋は残ってる?」

  「もちろんです。場所は二階に上がってすぐの部屋です」

  「・・・そうか、ありがとう。ちょっと見てくる。ああ、そうだ。二人に紹介しておくな。メイとキー来てくれ」


  そう言うと、キーとその足にぶら下がってメイが食堂に入ってきた。


  「改めて紹介するな。スライムのメイと、蜂のキーだ、よろしくな」

  「きゃーかわいいー」

  「スッゴいプニプニなのです」


  直ぐに二体に駆け寄る二人。ユッコはキーを抱き、ノランはメイを抱きしめ、思い思いに愛で始めた。他の子達は、驚いたような、そんな顔でずっとこっちを見ていた。

  さて、そろそろ・・・お、来たな。

  奥の方から一回り、いや二回り近く大きくなったクロが歩いて来て、目の前に座り、しっぽをブンブンと若干風が発生するほどの勢いで振った。


  「ただいまクロ大きくなったな」

  「わふっ!!」


  そうそうこのモフモフが堪らないんだよな~。ワシャワシャと頭と喉の辺りを撫でながら、近くの空いてる席に座り、リン姉と腹ペコモンスターズにステーキの各種盛り合わせを出してあげた。それぞれ待ってる姿が可愛くていつまでも見ていたいが、それは可哀想なので、食べる様に促して俺も、かぶりついた。


  食べてる途中に、周囲からの大量の眼差しを感じて見てみると、全員から注目されていた。

  流石に俺達だけステーキ食うのに罪悪感が芽生え、ノランとユッコを呼び、キッチンへ向かった。

  食堂は最初から大きかったからか、拡張された様子はないが、キッチンは明らかに大きくなっていた。


  「お、マジックボックスあるのか、じゃあ大量に肉入れておくから遠慮せず使ってくれ」

  「はいなのです」


  フォースコッコにワイルドボア、ホーンバッファローの肉をマジックボックスにどんどん入れていく。その間にノランには料理が出来る子を呼びに行ってもらった。まあ、最初から連れていけば二度手間にならなかったんだけど、流石にコミュニケーション能力が低いジンさんには、初対面であんなにジッと見てくる子達に言うのは無理でした。


  合計三十体分の肉を収納した頃、ノランがカーナを連れてきた。


  「ジンさんお帰りなさい」

  「ただいま。カーナちゃんもここに住んでるんだよね?」

  「はい。孤児院が閉院になってしまい、途方に暮れていたところリンさんに声をかけてもらって・・・」

  「そっか・・・。まあ、もうこの家は自分達の家だと思って過ごしてよ」

  「はい、ありがとうございます!!」


  直接お礼を言われ、気恥ずかしくなり、指で頬を掻きながら、表情を隠す様に、振り向き、火を点けたコンロにフライパンをのせて、肉を焼いていった。


 


お読みいただきありがとうございます。

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