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夢と現実

お待たせしました。

  寝苦しさで目が覚めるとまだ夜の様で、薄暗い部屋の景色が目に入る。ほとんど頭は働いておらず、そのまま目を閉じようとした時に視界の片隅に夕方に見て目に焼き付いたものが、目に入ってきた。

  薄暗く、月明かりの僅かな光量だったにも関わらず、はっきりと見えた。その一瞬で眠気は吹き飛んだ。・・・ではないな、そう感じてるだけで、体はぐっすり眠っている。そう、何を隠そうこれは夢だから。

  ・・・お久しぶりです夢の世界。そしてありがとう夢の世界。


  ・・・どうやら、夢の中でハーレム作っちゃった様です。


  リン姉・・・いや夢リンに夢アイナに夢エレナ。夢ティナに夢ロザリーに夢リリィに夢マリアと、オールスターが揃ってしまった。しかも皆"何も着ていない"。そう大事なことだからもう一度言うよ、何も着ていないんだよ。

  たわわに育った果実が大量に、今日から野獣になるジンさんの前に並んでいた。


  ・・・ゴクリ。


  喉を鳴らす音がやけに大きく聞こえる。いや心臓の音もやけにうるさく、体の奥から熱くなってくる。くっ・・・夢なのにリアル過ぎるな。

  この状況・・・正直に言おう。緊張している。常日頃からやれハーレムを作るだ、女の子大好きだ等とほざいてはいるが、所詮モテない男の寂しい妄想だ。前の世界じゃあ絶対にハーレムなんて作れないし、ましてや恋人すら居なかったからな。

  こちらの世界に来て、女の子を助けたり、キスされたり、一緒に住んたり、前の世界より女の子と接する機会は増え、チャンスは増えたと自分でも思う。

  だが、チャンスが増えただけで、まだ一度もものに出来ていない。

  それはひとえに、今の関係が壊れたでもしたらという、消極的考えのせいで、今一歩前に進められないのだろう。誰だって失敗は怖いと感じるし、俺は人一倍感じている。



  ・・・だが、もし、失敗してもいいなら?



  俺は失敗を恐れずにいける!!・・・と思う。そして、ここは夢の中!!目覚めてしまえば、失敗も無くなってしまうし、失敗したとしてもそれを反省して現実に生かせる。仮に成功したならば多少の自信になり、またそれも現実に生かしていける。

  要するにこの夢のは俺にとって何一つデメリットがない。いやメリットしかないな。

  じゃあ、まあ早速。据え膳食わぬはなんとやらって言うし、なにより俺の硝子細工の様な理性が絶世の美女、美少女の裸体を凝視し過ぎて音立てて割れた。目の前にいた夢リンと夢マリアを抱き寄せながらこれからの行為に胸を膨らませていった。







  チュンチュンと鳥の囀ずりで目覚めた。まるで何か運動をしたかのように体がダルく感じるが、決して嫌な感じはしない。・・・あぁ、これが俗に言う朝チュンってやつか・・・・・・。


  ・・・・・・違うよね?夢オチってやつですよね。知ってましたよ。

  一応、念のため、万が一があってはいけないので、布団の中を確認する。うん。ちゃんとパンツ履いてました。夢の中では俺も脱いでたし、大人のエスカレーター登りそうになってて、酒池肉林ってこんな感じなのかと思ったりした。手でシーツを触れてみるも甘い匂いはするものの、一切濡れてもないし、汚れてもいなかった。

  ・・・ええ、ええ。分かってましたよ。ジンさん秘蔵の一枚。十八歳未満は閲覧禁止のDVDのハーレムもの。"イチャイチャ夜のメイドパラダイス~ケダモノ主人とメイド達"みたいにするわけないって・・・。

  ・・・はぁ。DVD擦りきれるんじゃないかって思うほど見たからな~。シチュエーションもほぼ同じだったし、夢に出るのも納得なんだけど、後ほんの少しのところで目が覚めたのだけは納得がいかない。

  ・・・どうせ夢の中だから恥ずかしくないからと、一人一人耳元で愛を囁いたので時間を喰ってしまったのが痛い。・・・痛いが、現実で言えるのは当分先になりそうだけど、皆嬉しいと言ってくれたし、いい練習になったってことで。


  また、"メイドパラダイス"の夢見たいな。いや、"最高のスタイルの彼女シリーズ"も捨てがたいな。等考えながら、服を着て、キッチンに向かった。




 

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