初達成と宿
無事にホーンラビット10羽とフォースコッコ10羽の討伐が終わって、レベルが上がり、ステータスがヤバいこととかあったかもしれないが気を取り直して村に帰ろう。
森から街道を通り、村に帰る途中、ステータスとスキルだけではこれからが不安なこと、何かいい案は無いかとリン姉に聞いたら、宿に着いたら能力を一時的に減衰させる魔法を創ってみると言ってくれた。やっぱり相談してみて良かった。何卒お願いします。
門の前に着いて、アイテムボックスからギルドカードを取り出し門番にギルドカードを見せて村に入る。
ギルドに向けて歩き出した。ギルドで精算をして、宿を取らないといけない。
早く金貯めて、夢のマイホームを買わなくては。やっぱり風呂は大きくて、キッチンも使いやすい感じじゃないとな。
・・・一体いくらかかるかわからないが。
門から少し歩きギルドに入る。
最初に来たときはあまり見てなかったが、奥の方は酒場みたいになっていて、今は昼過ぎで賑わっている。食堂も兼ねているのか、それとも食堂なのか?今度行かねばなるまい。その奥にある階段はなんだろう?ギルド長みたいな人の部屋とか?
とりあえず依頼を受けた受付に行き、ギルドカードを提出する。
登録をした時の受付さんも、こちらの受付さんも綺麗だな。
・・・うん。働く意欲が湧くね。
「依頼を完了したので確認お願いします」
「お疲れ様でした。売却する素材などありましたら奥の受付でお願いします。それではギルドカードをお預かりします。それにしても早かったですね」
「ええ、結構簡単に見つかりましたよ」
「そうですか、初心者の方は結構苦労するんですよ」
「へーそうなんですね」
「こんな短時間で帰ってきた方は、ギルドに入ってから見たことありませんよ」
結局移動も合わせて一時間も経ってないからやっぱり早いんだろうな。褒めてくれるのはいいけど、ほとんどリン姉の手柄だから素直に喜べない。
「こちらが今回の報酬です」
微妙な心境の中、精算が終わりギルドカードと小袋それぞれ渡される。
「ありがとうございます」
初任給って感じがする。横の酒場でパーっと使ってしまいそうになる。その考えの奴の為の酒場なのか?『依頼お疲れ様ー!』みたいな感じで折角稼いだ報酬を使うのだろか。考えた人恐ろしいな、リン姉との約束がなければ、うっかり行って散財してしまうとこだった。
・・・高卒で会社入って、新入社員で覚えることが多く、毎日へとへとになりながら働いて、癒しと言えば、『行ってらっしゃい』と『お帰りなさい』の新婚さんっぽく言ってくる、リン姉くらいで、初めてもらった初任給を調子に乗って、土日の休みで飲みとリン姉へのプレゼントに全部使ってしまったことがあって、『プレゼントは物凄く嬉しい大事にするね。お給料は仁君が頑張って働いたから文句は言えないけど、将来のために少しでも貯金した方がいいよ。一人で無理そうならお姉ちゃんが貯金しといて必要な分渡すよ?』・・・その一言で次の月から給料は全額リン姉に渡し、一部を小遣いとしてもらうようにした。
将来の為とか言われると、"確かに"とか思っちゃうんだよね。
そんなことがあり、もらった小袋をそのままリン姉に渡し、ギルドカードはアイテムボックスに収納した。ポケットに入れてアイテムボックスに収納することであたかもポケットから出し入れしてますみたいに見えるような感じになっているはず。
大剣は無理だけど、包丁は懐から出すようにしている。
流石に武器一つ持って無いのは何か言われると思うから、懐に仕舞っている風にしている。
いずれは肩に担げる様な装備を買いたい。
リン姉も渡された小袋二つとギルドカードを俺と同じ様にポケットに入れてからアイテムボックスに収納する。
「いつもお手数お掛けします」
「気にしないでいいよ、宿のお金払ったら渡すね」
「はい、ありがとうございます」
これじゃあいつまで経ってもリン姉に頭上がらんわ。
さて奥の受付でホーンラビット5羽とフォースコッコ5羽を売却するか。
「すみません、買い取りお願いします」
「おう、売却するのを台に置いてくれ」
厳ついスキンベッドの受付の人が返事を返してくる。
・・・あれ?美人のお姉さんは?
「こんな血みどろになる仕事を可愛い子にさせれないだろ」
確かに。てか考え読まれた?
「顔に出てんだよ、ほらさっさと出しちまいな・・・って言ってもそんなにないだろうが」
ああ、アイテムボックスあるの知らないからか。ほとんど手ぶらだしな。
「いえ、アイテムボックスがあるんで、もう少し大きい場所はありませんか?」
「アイテムボックス持ちか羨ましいな、こっちだ」
受付の横の扉から中に入ると、デカい会議室にあるような縦3メートル、横10メートルを越すテーブルが2列ほど並び、奥の方で討伐者らしき人とギルド職員らしき人がワイルドボアを解体していた。
リン姉が収納していた、ホーンラビットとフォースコッコを5羽ずつテーブルに取り出した。
ほうっと声が聞こえ、取り出したホーンラビットとフォースコッコを確認していく。
「状態もいいから、全部で5000グランのところ色付けて5500グランだ、また頼むぜ」
そう言って小袋に銀貨5枚と銀貨より銅貨5枚入れて、渡される。
銀貨1枚が1000グランで銅貨1枚100グランかな?
露店でリンゴが1個15グラン、パンが1個10グランで売られていたから、日本円では10倍くらいになるって考えておけば大丈夫だろう。
リン姉は受け取った小袋もアイテムボックスに収納してギルドの入り口に向かう。
「オススメの宿ってありませんか?」
ギルドの入り口近くの、討伐者登録をした受付の綺麗なお姉さんに聞く。やっぱり知ってそうな人に聞くのが一番だよね。
「それでしたら、ギルドを出て2分くらいのところにある、癒しの止まり木って宿が、料理は美味しいですし、値段は高くなくてオススメですよ」
「そんないいところあるんですね、ありがとうございます」
「いえ、お気になさらないでください」
早速ギルドを出て【癒しの止まり木】に向かう。
基本的にこの村は木造の建物が多く、宿屋【癒しの止まり木】も木造建てで派手さはないが地味過ぎず、落ち着いた雰囲気の建物で、形は違うが小さな旅館って感じがして、良さげな感じがする。
扉を開けて入る。
正面にカウンターがあり、こちらから見て左手にテーブルやイスが並んでいる、食堂だろうな後で食べよう。右手には階段がある。宿の部屋への階段だろうな。
カウンターのところに行き声をかける。
「すみませーん誰か居ませんか?」
「はいはーい、ちょっと待ってくださいねー」
とても元気な声で返事があった。看板娘かな?可愛い娘だったらいいなあ。
返事が聞こえてすぐに俺と同じくらいの年齢の女の子が食堂から出てきた。
うん。可愛い。なんかこっちに来て出会った女の子達皆、綺麗とか可愛いよね?・・・うん。とてもいい。
「お待たせしましたー」
「すみません宿を頼みたいんですけど」
「食事無しで1泊500グランで、朝と夜の食事付きで1泊600グランですけどどうします?」
「では食事付きで3泊お願いします」
「お2人で3600グランになります」
「じゃあこれで」
リン姉はアイテムボックスから銀貨3枚と銅貨6枚を取り出し渡した。
「確かに3600グラン丁度受け取りました。2階の一番奥の部屋になります。こちらが鍵です」
鍵を受け取りながら、朝食と夕食について聞く。
「朝食と夕食ってどうなってるんですか?」
「6時には食堂にいらしていただければ食べれますよ。朝食も6時には食べれるようになっていますよ」
「分かりました、ありがとうございます」
「いえ、それではごゆっくり」
階段を登り、鍵を使って奥の部屋を見る。村長のとこよりは質素に感じるが、綺麗に掃除されていて、いいと思う。
さて、夕食までまだ時間がある。
本来なら、この世界の勉強をしないといけないのだろうが、異世界に来てまでそんなことをするつもりはない。
じゃあどうするかって?
それはもちろん狩りに行きますよ。安らげるマイホーム早く欲しいし。
「今からまた狩りに行くけどリン姉はどうする?」
リン姉は少し考えて。
「魔法の練習してるから止めとく」
魔法の練習・・・俺も魔法の練習したいです。
「・・・じゃあ行ってくる。遅くなる様だったら先に夕食食べてていいからね」
「分かったよ、気を付けてね。あ、後これ」
銀貨1枚を受け取る。
「ありがとう!」
「あんまり無駄遣いしちゃダメだよ」
「分かってるよ、それじゃあ行ってきます」
「うん、行ってらっしゃい」
・・・新婚さんみたいでいいよね。
リン姉に送り出され、露店で食べ物を買い最初に居た魔の森へ向かう。
お読みいただきありがとうございます。
作品の中で、未成年者が飲酒するような表現がありますが、この物語はフィクションです。
「お酒は二十歳になってから」、「酒は飲んでものまれるな」、「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」この三つを守り楽しく飲みましょう。
最近飲み会が多い大西瓜より。
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