姉弟と模擬戦2
遅くなって大変申し訳ありません。
なんだかんだ言って、人には向き不向きだったり、出来る事と出来ない事とか色々ある。
出来ない事を出来る様にする事は大事だ。だけど、今は出来なくても、違う方法で対応して、何れ出来る様にしたらいいんじゃないかと思う。
まあ、何が言いたいかと言うと、魔法で遠距離攻撃が出来ないので、『龍撃』で対応して、何れは魔法を撃ちたいと思ってると理解していただければ幸いです。
・・・・・・まあその対応も効果あるか分からないし、溜めるのを待ってくれるか分からないんだけどね。
マナボールと言っていた巨大な球が十メートルを超えたくらいで落ち着いたのか、それ以上大きくなっているようには見えない。
・・・もしかしたら待ってくれているんだろか?
・・・一向に打ってこないところを見ると待ってくれているんだろう。
そこまでお膳立てされたら、やるしかないよね?
美女達も見てる事だし、ジンさん頑張っちゃうよ。
そろから一分ほど溜め、こちらの準備も出来た。
でも流石に離れたところから打ってもしょうがないなと思い、どうしようか考えていたら、察しの良すぎるうちのお姉様は、こちらの準備が出来たと判断して両手をこちらに向かって振り下ろした。すると十メートル近い巨大なマナボールがこちらに向かってきた。
・・・なんだろう。ラスボスが最後の最後で放つ必殺技みたいに見えてしょうがない。
・・・あれが敵の必殺技なら俺は・・・迎え撃つ主人公って事に!!
・・・・・・なったらいいんだけどね~。魔法で無双するハーレム系の主人公に成りたかった。
・・・って、そんな事を考えている間に五メートル手前まで近付いていて、直ぐに力を溜めていた拳を突き出して、『龍撃』を放った。
俺が放った赤いオーラとリン姉の巨大なマナボールが当たり、そのままマナボールを押し返し、空の彼方に飛んでいった。
水色の線の後に赤色の線が続きアートみたいで綺麗だった。
そのままリン姉の元に駆け出し、蹴りを放つも両手で受けられた。奇襲は失敗に終わり、このまま接近戦に持ち込もうかと、反対の足でも蹴りを入れたら、掴まれてハンマー投げの要領で回転して、最後投げる時は角度を変え真上に投げられた。
打ち上げ花火の様に真っ直ぐ飛んでいく。しかも高速で。
・・・雲を突っ切ったあたりで速度が遅くなり止まった、と思ったら、ゆっくりと下がり始めた。
さて、流石にこの高さから落ちたらチートステータスの俺でも死んでしまうな。きっと地上でリン姉に魔法で助けてもらえるんだろうけど、このままやられっぱなしは性に合わないので、もがくとする。・・・駄目だったら助けてもらおう。そこは恥も外見も捨てていこう。
・・・魔法で空を飛びたいが、魔法は何れは使える様になる予定だが"今は"使えないので、脳筋は脳筋らしく、物理的にどうしよう。・・・と言ってもやることは一つ。落ちるのなら落ちない様にしたらいいじゃないと思い、チートステータスで宙を踏み抜いた。すると落下していたのが止まり、寧ろ少し上がった。
それから何度か繰り返し、落下することなく宙に留まれた。
まだ高さの調整は難しいが、何れは地上と同じように自由に移動出来る様にしたい。
・・・・・・天も地も関係なく移動出来るこれを『天地無用』と呼ぼう。
まあ、郵便局等の運送業に良く使われている言葉なので馴染み深いが、本来の意味と違うが、響きが格好いいから、『天地無用』にした。
本来は天地入替無用とかだったっけ?四字熟語にする際に入替を除いたとかなんとかテレビの雑学番組で見たことある。
早速名付けたばかりの『天地無用』を使いながら降りていき、地上二十メートルほどのところで、若干上がったり下がったりしながらリン姉達を見下ろした。
少し離れたところに横幅はそんなにないが縦に長い竜巻が有ったり、同じように縦に長いのプールみたいな水の塊が有った。
あれは俺の為のやつかな?と思っていたら、リン姉は腕を横に振り竜巻と水を消したので、俺ので合ってたみたいだ。
さて、そろそろ模擬戦を終わらせようか。そろそろ足を酷使し過ぎてズキンズキンと痛むから早く休みたいしね。
「うぉぉぉぉらぁぁぁぁ!!」
体を捻り、上空を蹴る様にして勢いを付けてリン姉に向かっていった。
最初はびくっとしたリン姉だったが、掌をこちらに向けて一言。
「『マナブラスター』」
先ほどのマナボールとは違い、ビーム砲みたいな光に包まれて、そこで俺の意識がなくなった。
自室のベッドで意識を戻した俺は、キッチンに移動してトントントンとリズム良くタマネギを刻む音をさせながら夕食の準備をしている。
いや~今回はいけるかと思ったんだけど、まだまだだったな。
まだ覚えたばかりの技の練度が低いのが原因だな。もっと精進しないと。
だけど高速で移動したり、立体的な移動が出来る様になり、より戦術の幅が広がったのは良かったな。
まあ、基本的に脳筋の猪突猛進なスタイルなんだけどね。・・・やっぱこのまま脳筋を貫くのは厳しそうだな。リン姉に何一つ通用しない。
そう考えながら、キッチンにタマネギを刻む音だけが流れていった。
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