姉弟と模擬戦1
お待たせしました。
新しい必勝技の『龍撃』が不発に終わってしまったがどうにか持ち直す。まだ俺には隠し弾の『瞬動』先輩がいるから。
頭の中で強がっていると、リン姉は手を振り、結界を消した。
・・・さて、俺が全力で殴ってもヒビしか入らなかった結界を意図も容易く消したりしてるリン姉を見なかったことにする。
・・・・・・あぁ、俺も魔法が使いたい。
ちくしょう!八つ当たりや!事故に見せかけてあの燦然と輝くお胸様を揉んでやる!ゲヘヘヘ・・・おっと、下心が出てしまった。これはあくまで模擬戦だから、強くなるために行うものだから。がむしゃらに強くなる為に多少色々なとこに当たるのはしょうがない。・・・・・・うん。しょうがない。
言い訳も出来たところでリン姉を見据える。再度組み直した腕によって溢れかけている。
いやいや、そろそろ頭を切り替えよう。
深呼吸をして、構え直す。今のリン姉は隠し弾がいくらあるか分からないからな、様子見なんてしてたら畳み掛けられて何も出来ずにやられるかもしれない。ここは初っぱなから飛ばしていくしかない。
少し前傾になり、距離を詰めれる状態にする。
「ジン君も準備出来たみたいだね」
「こっちはいつでもいいよ」
「じゃあいくよ、はじめ!!」
リン姉の号令の直後に無言で『瞬動』を使ってリン姉の後ろに周り込んで、全力で回し蹴りを放つも霞んだ後消えて、目の前は蹴りの風圧でボコボコになった地面だけ。
初撃を意図も容易く避けられると流石に凹む・・・なっと!!
斜め後ろからくる横薙ぎの一閃を前に飛んでそのまま転がって間一髪で回避する。
危ねぇ。刺突だったら当たってたな。
・・・くそ。まだ加減されてるのが分かってしまう。
立ち上がって振り向き様に裏拳を放ち、先ほどの蹴りの様に風圧を放って追撃を牽制しつつ、すぐに構え直してリン姉を確認しようとするがリン姉が居ない。
ヤバい見失った。どこだ?周りを見るが姿が見えない。と思ったらすぐ近くから声が聞こえた。
「『マナボール』」
声が聞こえた方に振り向くとソフトボールくらいの水色に光る球が腹に当たった。
次の瞬間、当たった場所からくの字に折れてその状態のまま吹き飛ばされた。
「ぐふっ・・・」
十メートルほど吹き飛ばされてなんとか着地する。
・・・な、なんつう威力だよ。腹に穴が空いたかと思った。これは不味い。こんなもの連発で射たれると対処出来ないぞ、と思っていたら今度は胸の辺りに両手を固定して何をするのかと思っていたら、中心に光りが集まり、先ほどと同じ様な光の球が出来ていく。しかも先ほどより大きく、バスケットボールくらいの大きさになった。
嫌な予感しかしないが、先ほどは無防備で当たったから成す術もなく吹き飛ばされたが、あんな危ない物は当たらなければ問題ないだろう。・・・ないと思う。
バスケットボールくらいの球を此方に向かって押し出すようにして飛ばしてきた。早さはそれほどではなく、今の俺なら余裕で回避出来る速度だけど、爆発とかしたらシャレにならないと思い、『瞬動』を使って十メートルほど横に移動する・・・が、最近疲れているのか?バスケットボールくらいの球は向きを変えて此方に向かって来ているように見えた。
十回ほど繰り返し移動して避けてみたが、結果は変わらずに着いてきた。
こりゃああれだ、一番タチの悪い逃げれないやつだ。
こういうのの対処って相手を盾にしてお返しするのがベスト思うんだけど、十回避けた内の一回はリン姉が盾になる様に近くに移動してみたが、球はリン姉を避けるわ、近付いたリン姉に襲われるわで無理だった。寧ろ盾にしようと近付いた方が危なかった。
避ける度に全力での『瞬動』を使っているのでこちらの消耗が激しい。早く動けるが体力の消費が激しく、足に相応の負担がかかっていてズキリと痛む。後は少しずつ変えてはいるが、踏み出すモーションもあるので、モーションを盗まれる前にそろそろ止めておきたい。何れはノーモーションで負担がかからない様に使用出来る様になりたいと思う。
そこまで早くはないが『瞬動』を使わないとあの球から逃げれそうにないし、何より逃げっぱなしは性に合わないので、どうにかしよう。
「おおおおおぉぉぉぉぉ!!!」
と、いうわけで迫ってきた球を両手で受け止めてみた。
「ぐぬぅぅぅぅぅ!!!」
最初は意気揚々と受けてはみたが、バスケットボールくらいの球に押されて、地面に溝を作りながら少しずつ後ろに下がっていく。
マジか・・・・・・。質量保存の法則だっけ?あれ無視し過ぎだろう。いや俺自体そんなに詳しい訳じゃないんだけどね。こう言ったらちょっとは好転するかな?と思ったけど、ダメでした。現在進行形で溝を作成中です。
・・・まあそれ以前に異世界だから地球の法則が当て嵌まるか分からないんだけど。
こんなこと考えていて意外と余裕かな?思ってたけど、そろそろ腕と足がしんどくなってきた。チートステータスで常人より力が強くて、しかも練気使用してるから数倍になってるはずなんだけど・・・。
はぁ~・・・ステータス上がったくらいじゃ自惚れられないわ。やっぱりステータスと技術は当然としてプラスアルファが必要だな。それは模擬戦が終わったらゆっくり考えようか。
下から全力で膝蹴りを当てて、上空に吹き飛ばし、蹴った勢いでバク転して、球の行方を確認した。
蹴られた光りの球は線を引きながら高速で空の彼方に飛んでいった。
・・・キレーだなー。
飛んで行く光りの線が綺麗で見とれてしまった。
おの球に攻撃を当てて、向きを変えてやれば追尾してこなくなるのが分かった。・・・まあ蹴りの感じだと、向きを変えるのも全力じゃないと変えられそうにないけど、変えれるのが分かっただけ良しとしよう。後、蹴った時爆発しなかったのも助かった。爆発しそうで怖かったからな。
拳の関節を押してパキッパキッと鳴らしながら、効かないアピールをする。本当は押さない方がいいし、やっても特に変わることはないけど、まあ癖みたいなもんだから。
じゃあそろそろ、反撃と行こうか。
・・・と考えていた時期が少しだけありました。
いやだってね?リン姉の頭上にさっき蹴り飛ばしたのより数倍は大きい光の球が浮いてれば、考えを変えるのも無理ないと思うんですよ。しかもまだ最大じゃないみたいで、まだ大きくなっているのを見るとね・・・。
全く誰だ?『反撃と行こうか』とか思ったやつは・・・。
はい、自分です。格好つけたいお年頃だったんです。
・・・ちょっとは格好つけさせて欲しいよ。
そろそろ足が痛むし、後何回使えるか分からない『瞬動』で一気に距離詰めようかなとか思ったけど、さっきは小さかったにも関わらず、溝作成マシーンにならざる得なかったのだ。十メートル近くまで大きくなったあの球を見るとね・・・。下手に突っ込んであれを受け止めれる自信はない。
という訳で、俺は腰を落として体を捻り、拳に力を溜め始めた。
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