結界と試し打ち
お待たせしました。
新しい装備に興奮してしまった。
いつもクールな俺だけど、男の子だからねしょうがないよね?
・・・色々ツッコミはあると思うが、スルーさせていただきます。『クールじゃない』とか『男の子って年齢かよ』以外なら受け付けます。
さて、この昂った気持ちを一旦落ち着かせる。この万能感が溢れてしまう手甲と脚甲を着けたまま模擬戦するのはちょっとな・・・。
勝利出来るかもしれないが、それは装備のおかげであって俺の実力ではない。自分の今の力を試し、技能を鍛える為の模擬戦であって、性能のいい装備で戦うのは、自分の力を試すにはいいが、鍛えるって点ではマイナスでしかない。いや、負けれない戦いの時に高性能の物を扱いきる為と割り切ればなくはないかな。
男だし、そういう負けられない戦いってのがある時があると思う。
まあ、どちらにしろ今回は止めておこう。性能に振り回されて終わりそうだし。万が一手加減をミスってリン姉に大怪我させてしまうかもしれない。嫁入り前のリン姉に大怪我なんてさせられん。・・・もし万が一大怪我をさせてしまい結婚が出来ないなんてことになれば、しょうがない弟だけど俺がもらうしかないな。
・・・・・・やっぱり着けておこうかな?
邪な考えを捨てる。今度一人で鍛えてから実戦投入することにした。行き当たりばったりで手に入れたばかりの新装備を使いこなす物語の主人公達が羨ましく思う。
そういう訳で手甲と脚甲のブレスレットを両手両足から全て外してアイテムボックスに収納していく。若干後ろ髪を引かれる思いだ。
コートとブーツは手甲と脚甲ほど能力が上がった様には感じられなかったし、リン姉も着ているのでそのままだ。
さて、久々の模擬戦の為かは分からないが、心臓の鼓動がやけにうるさい。
リン姉から少し離れた位置まで移動して、リン姉を見据える。
腕組みをして、隙はないが相変わらずお胸様が溢れそうだ。何度も言うけど手で抑えておきましょうか?俺きっといいサポーターに成れると思うんだ。
俺も大量の魔物も倒し、結構ステータスも上がっているはずなんだけど、リン姉もそれなりに戦っていたのだろう。いつも装備とか魔導具ばかり作っていたからそんな暇はないと思っていたんだけどな。
やはり自分より強いと思っておかないと。
「『次元結界』」
手を翳したリン姉がそう言うと、俺とリン姉の間に硝子のような板というか壁が表れた。
その壁に近いて触ってみる。触った感触はそれほど硬くはない。だが、前に張っていた結界と同レベルとは思えない。それにしても時限ね・・・。時間制限でもあるのだろうか?だとしたら消える前に『龍撃』を打たないと。
「リン姉これと同じのって後二枚くらい張れる?」
「張れるよ」
「じゃあ念の為にもう一枚をリン姉にもう一枚を観客席の前に張ってもらえる?」
「分かった。『次元結界』」
リン姉は更に二枚を一瞬で張ってしまった。もしこれが破れないほど強固だったらこんな速度で張られたら一生勝てる気がしないけどね。・・・まあ、やってみますか。
硝子の板の様な結界から一歩下がり、肩幅より少し足を広げて腰を落とす。
「『練気』」
赤い蝋燭の様なオーラを纏う。この間から練気を使用するとこの色になってしまった。もしかしたら練気が強化されてこの色になったのかもしれない。どちらの色も好きだし強化されているのならいいんだけどね。
腰を捻り、拳を抱え込む様に構えて拳に力を溜め始める。
やはり一点に力が溜まるまで時間がかかり、今のままでは実戦で使用するには工夫が必要だろう。一個は考えてはいるのでこの後の模擬戦で試してみよう。
徐々に集まってくる力を逃がさない様に集中する。決して離れたところから見ているリン姉やアイナ達に見とれて集中出来ないからではないよ。・・・ごめん、ちょっとだけ見とれてた。
集中が途切れそうになったりしたものの、やっと限界まで力が溜まったのが分かる。
「じゃあいくぞ・・・『龍撃』」
握り絞めた拳を結界に向かって突き出していく。
一瞬にも満たないはずの時間のはずが動きだけスローモーションになって腕を伸ばしていく様な変な感じだ。
後で聞いたら目に見えないほど早かったらしいけど。
結界に拳が当たった瞬間、赤いオーラの衝撃波が一気に広がり周りの地面を削り飛ばしていった。
そして、リン姉が張った結界はクモの巣状にヒビが入っただけだった。
・・・マジか。全力の一撃でもヒビしか入んないのか・・・ヤバいかなり凹む。ほら周りの『え?割れてないの?』みたいなポカンとした顔。穴があったら入って入り口を塞ぎたい。
とりあえずこの雰囲気耐えられないから俺は・・・。
「やっぱリン姉の結界硬いね~。じゃあ次は模擬戦しようか」
無理矢理話題を変えることにしました。
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