治癒と迷子
今回短めです。
胡座を組み、俺の横に来たメイを左手で抱き抱える。
めちゃくちゃぷよぷよして気持ちが良かった。
空いてる右手でアイテムボックスから串焼きでも取り出そうと動かすと、鈍痛が走る。
「くぅ・・・」
右手ヒビ入ってるんだった。
どうしようこれ・・・。
リン姉にヒールとかかけてもらえれば治るだろうけど、ヒビが入った説明しないといけないだろうし、説明すると、きっと・・・いや絶対お説教が始まる。しかも長いのが。
どうする?このまま完治するまで我慢する?・・・無理だな。
痛みは増してるし、きっとすぐにバレる。きっと明日まで隠すのも無理だろう。リン姉の勘鋭すぎるから、隠し事がほとんど出来ないからな。唯一俺が隠し通してるのは、18歳未満は買えない本をコツコツ買い集め、敷き布団のシーツの中に隠してることくらいだろうけど、異世界に来たからには一生バレる事はない。
机は隠せる様な引き出しとか無くて、どうせ自分でシーツ交換するし、夜寝ながら読むからピッタリだと思った。厚みが違うと凸凹して寝にくいから、同じくらいに揃えるといいよ。
・・・って、今そんな過ぎた事はいいんよ。問題はこのズキンズキンと痛む手をどうするか・・・。
誰か回復魔法使える人探して治してもらうか。探せば一人くらいいるだろう。よし、じゃあ善は急げと言うし、人形を回収して村に戻るか。そう考え立ち上がろとしたら、透明だったメイと俺の右手が緑色の光に包まれた。
五秒ほど光った後、メイは再び透明に、そして俺の手からは痛みが無くなった。
「え?」
慌てて左手で触ってみるが、痛みは一切無く、握ったりもして確認したけど、いつも通りだった。
「これメイが治してくれたのか?」
メイはプルプル震えた。
「ありがとう、メイ」
さてと、心配事が無くなったし、早く美女達が待つ我が家に戻るか。
玄関を開けると、エプロン姿の美女が出迎える。
「お帰りなさい貴方」
「ああ、ただいま」
「お食事にしますか?それともお風呂にしますか?・・・それともわ・た・し?」
「そりゃもちろん・・・」
扉を閉めると同時に抱きしめ、そのまま・・・。
かー!!いい!!いいねぇ!!そんな新婚さんプレイがしたい!!
誰か俺と結婚してくれる優しい、奇特な方はいらっしゃいませんか?
・・・知ってますそんないい人は居ませんよ。
グスン。
早く人形回収して、帰って目の保養をして癒されよう。
そう思い、今度こそ立ち上がって人形の方を見ると、俺の姿では無く、元の人形に戻っていた。
魔法が解けたのかね?人形を回収して、森の出口に向かって歩き始めた。
帰りは五分に一度くらいのペースで魔物が襲ってきた。
食べれる魔物は大歓迎って事で狩りながら出口に向かって歩くが、三時間くらい歩いたが、いつまで経っても森から出れない。寧ろより一層濃くなった感じがする。
途中からなんとなくそんな気はしてたんだけど、認めたくなかったんだと思う。あまり考え無いようにして、魔物を狩って誤魔化していた。
魔物もフォースコッコとかワイルドボアにホーンバッファローと言った、弱めの魔物が出なくなり、マジカルコッコやパワフルボアとかイグニッションバッファローと言った比較的強く、前に狩ったとき、森の奥に出るやつしか出なくなった。
そんな感じで気付いてしまいました。
俺、森の中で迷ったようです。
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