メイと狩り
前にクロを仲間にした時より早く仲間になった気がするが、テイマーのスキルのお陰かな?
メイを仲間にしてテンションが上がってしまい、いてもたってもいれずに休憩を途中で切り上げてメイと一緒に森の奥に入っていく。
流石に片手にのせたまま戦闘するのは厳しそうだったから地面に下ろした。
ぴょんぴょんと跳びはねながら着いてくるメイに癒されながら、今度はクロも連れてこようと思う。可愛いペットに囲まれて狩りに行くのはとても楽しそうだ。
メイと歩き始めて十分ほどで漸く、魔物を見つけた。
あれはワイルドボア?いや パワフルボアか。
鼻を地面に当てエサでも探しているのか、地面を嗅いでる様に見える。丁度いい、メイの実力を試してみよう。
「メイ、あのパワフルボア倒せるか?」
屈んでメイにそう聞くとぴょんぴょんと跳ねた。
「じゃあ危なくなったら助けるけど頑張ってみてくれ」
再度ぴょんぴょんと跳ねた後、パワフルボアの背後に文字通り"ひとっ跳び"で移動し、その勢いのままぶつかった。
メイに体当たりされたパワフルボアは周りの木々を薙ぎ倒しながら吹き飛んでいった。
あんな軽い体で、質量保存の法則どうなってんの?と思ったけど、異世界だし、まあいっかと考えるのを諦めた。
決して物理が毎回赤点で分からないからとかじゃないよ?
気を取り直してメイのところまで行き、プルプルボディーを撫でる。
「凄いなメイ、これからも頼むぞ」
そう言うとプルプルと震えて、俺に撫でられ続けた。
さあ、この調子でどんどん行こう。
メイを仲間にしてからというもの、あれほど出会えなかった魔物に次々と出会う。そして、メイによって一撃で倒されていく。
・・・もしかしてメイって強いのか?でも今の俺のステータスでも普通に勝てるからなんとも言えないんだよな。もちろんメイみたいに一撃ではないが。
途中いてもたってもいれずに戦っているメイと魔物に乱入してしまいメイと一緒に暴れたのはしょうがないと思う。魔物は倒した事のあるやつばかりだった。フォースコッコにマジカルコッコやワイルドボアにパワフルボア、ホーンバッファローにイグニッションバッファロー。ホーンラビットやジャイアントスパイダー、メタルクラブにレッサードラゴンといった強かったり弱かったりする魔物が次々と襲いかかってくるから楽し・・・命からがらなんとか倒した。
ホーンラビットより一回り大きな兎は良かった。
固さに定評のあるメタルクラブですら一撃で倒したメイの超絶体当たりをいとも容易く避けたときは、思わず飛び出してしまったほどだ。
ホーンラビットより一回り大きいと言っても、体長70センチほどの兎で動きが早いと攻撃を当て辛かったが、自分より動きが早く、攻撃も当て辛い者と戦ういい修練になった。出来ればまた戦いたい。
三桁に届きそうなほど倒したとき、索敵スキルに大きな反応があった。その方向を向き思わず口がニヤけてしまう。
五分ほど歩き開けた場所に出た。
そこは人の手で整えたかの様に綺麗な円形になっていた。
軽く見回す。開けた場所は直径三十メートルほどあり、丁度真ん中辺りに操り人形の様に上半身を傾けた人の形をした木の人形が立っていた。
多分索敵スキルの反応はあの人形だろう。今までより大きい反応をしたあの人形は、今まで戦った魔物より強いのだろう。
この開けた場所が闘技場の様に見えてきた。
・・・ゴク。唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえる。
「メイ・・・手を出すなよ」
そう言い、森の中の闘技場に足を踏み入れた。
人形まで10メートルくらいまで歩いた時、人形の足元が光り、魔方陣の様なものが広がり、人形の足元から徐々に上がっていく。
魔方陣が通ったところが変化していく。焦げ茶色のブーツ、黒いズボン、そして、朱色の・・・コートだよなあれ・・・。胸辺りまで魔方陣が上がっていくのを見ながら、勘が警告する。"今の状態で手を抜いたら死ぬぞ"と。
やがて、頭の上まで上がりきり魔方陣が消え、そこにいたのは俺だった。
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