食事と睡眠
ワイルドボアをアイテムボックスから出すと、レナさんに驚かれた。
「アイテムボックス持ちなのね」
「ええ、後牛肉も貰っていいですか?」
「構わないわ、でもワイルドボアとホーンバッファローの肉で何を作るの?」
牛肉はホーンバッファローって奴のなのか。いかにも魔物っぽい名前だな。
「ハンバーグを作ろうかと思います」
「ハンバーグって何?」
「挽き肉って言って、細かく切って形を崩した肉に玉ねぎ等入れて固めて焼いた物ですね」
玉ねぎの皮を剥き、洗おうと思ったら、蛇口があった。
若干形は違うけど、紛れもなく蛇口だ。
「これ水道が流れてるんですか?」
「あぁ、それは魔石が使われていて、水の魔法で水を出すの」
やっぱり魔法万能だね。どうにか使わせて頂くことは出来ませんかね?
とりあえず。玉ねぎを洗い、みじん切りにしていこう。
姉に作って貰った包丁を取り出し、刻んでいく。異世界でも涙は出るんですね。確か目じゃなくて鼻からくるって聞いたような気がするが、まあいい。
玉ねぎをみじん切りにした後、一度包丁を洗う。さっと水で流すだけで、汚れも落ち匂いも付かない、玉ねぎのあの匂いも一切しない。思ってた以上にこの包丁性能がいいのかもしれない。是非とも違う種類も作ってもらおう。
次に牛と猪を2キロずつくらいに切り分け、刻んでいく。包丁でミンチを作ることになるとは思わなかったな、意外と大変だ。量も量だし。
5分ほどで、牛と猪の合い挽き肉が出来上がった。
ボウルに入れ玉ねぎと塩、胡椒を投入し、手を洗い、混ぜ混んでいく。ある程度混ぜ混んで、大きすぎると火のとおりが気になったので厚さは1ほどにし、縦と横を大きめに作り、空気を抜くために手でキャッチボールを繰り返し、8個ほどのハンバーグを作る。
魔石を作っているコンロの火を点け、フライパンに油をしき、火にかける。
フライパンを回し、火が回ってきたので、ハンバーグを投入。
香ばしい香りと肉が焼けていく音がなり、期待が高まる。
ある程度焼き目が付いたのを確認し、ハンバーグをひっくり返して、木の蓋をし。少し火を弱める。火加減調節出来るのはいいね。
次に付け合わせの野菜を切って皿に盛りつける。キャベツとか知ってる食材だとなんか安心する。
一番最後に入れた、ハンバーグに火が通ったの針を刺して確認し、フライパンから皿に盛りつけ軽く粗挽き胡椒をふり、匂いに連れられて来ていた3人に運んで貰い、焼いていないハンバーグをアイテムボックスに入れ、テーブルに向かい、空いてる席に座る。
「美味しそうじゃないか、では食べるとしよう」
「「いただきます」」
「ん?それは?」
「私達の世界で食事をする際、食べ物と作ってくれた人に感謝する言葉ですね」
「なるほど、それはいいな。では早速」
「「「「いただきます」」」」
ハンバーグにナイフを入れる、切れた中から肉汁がこぼれてくる。火加減は良かった。使いなれてないから多少不安だった。
一口大に切り、口へ運ぶ。
肉の旨味という旨味が口へ広がっていく。日本でもここまで美味いハンバーグを食べたことはない。
この世界で美味い食べ物を探すのもアリだな。
「ハンバーグとやらは美味いな」
「ええ、ワイルドボアとホーンバッファローを使ってここまで美味しい料理を作るなんて」
「素材が良かったんですよ」
「ジン君の腕がいいんだよ」
「ワイルドボアやホーンバッファローは魔物の中でも美味しい部類に入るが、私でもここまで美味しい物は食べたことないな」
「魔物って美味しいんですか?」
「あぁ、魔力が満ちていたりとか、理由は色々あるらしいがな」
なるほど、これはもう狩人として生きていくしかないかな?
そろそろ一枚を食べ終わりそうなので、もう一枚焼くために席を立ち、キッチンへ向かう。
料理を褒められて、口元がニヤっとしながら、二枚目のハンバーグを焼き上げ、フライパンごと食卓に運び、皿に盛りつけ、フライパンをキッチンの流しに持っていき、水で浸す。
食卓のテーブルに座り、残りのハンバーグを食べ始める頃には、俺以外は食べ終わっていた。
皆食うの早くね?
視線が集まり気にはなるが、そのまま食べる。食べ終わった瞬間に。
「「「おかわり」」」
うん。なんとなく食べてる途中からそんな気はしてた。
「リン姉も手伝ってね」
「うん、任せて」
笑顔で、胸の前でこぶしを握りしめる姉。
可愛い。
「じゃあフライパンを洗って、乾かしてもらえる」
「うん」
洗い場にフライパンを洗いにいく、リン姉と入れ違いにレナさんが声をかけてくる。
「私も手伝うわ」
「じゃあさっき俺が切ったみたいに、玉ねぎを切ってもらえますか?量はさっきと同じで」
「ええ任せて」
食材が入っている箱から玉ねぎを取り出し、皮を剥き始めるのを横めで見ながら、アイテムボックスからワイルドボアの肉を取り出しミンチにしていく。さっきと同じ量を作っていく。アイテムボックス内に入れておけば、大丈夫だからな。
さっき、竃を取り出して確認したら、火が点いたままだったから、気兼ねなく、調理したものや、食材が入れられる。アイテムボックスチートと言えるな。
ワイルドボアをミンチにした後、ホーンバッファローもミンチにする。さっき作ったときより、格段に早く出来てる気がする。慣れたからか?
ミンチを作り終えると、玉ねぎのみじん切りを渡してくるので、ボウルに入れて貰い、こねる。
さっきと同じ大きさに分け、キャッチボールを繰り返した後、形を整える。
リン姉から綺麗になったフライパンを受け取り、ハンバーグを焼いていく。
俺は満足しているので、3人分だけ焼いた。
焼き上がったハンバーグを皿に盛りつけると、まだ食べていないかのように食べ始める3人を見て、すぐに、残りを焼き始めた。
3人が満足した時には、さらに追加で作ったハンバーグがなくなっていて、外は夜になっていた。
「「ごちそうさまでした」」
「それもなんだね?」
「ええ、食べた後に言う言葉ですね」
「なるほど、ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした」
「いやー堪能したよ」
そりゃあんだけ食ったらな。1食で3回も作ったの初めてだよ。
まあ美味しく食べてもらえたからよしとするか。
「じゃあそろそろ部屋に案内しますね、体を拭くタオルとお湯を入れる桶はこれを使ってくださいね」
「「ありがとうございます」」
風呂は無いんだと残念な気持ちになる。やはり日本人なので風呂は大事だと思う。稼いで家を買ったら、ゆったり入れる風呂を作ろう。
部屋はベッドと机と椅子、タンスとシンプルな部屋で、魔石を用いた、明かりが灯っていた。
キッチンでも見かけた、魔石を利用する道具は生活に密着しているんだろな。
部屋を確認した後、一度キッチンへ戻り、ヤカンにお湯を沸かし、桶にお湯を移し、割り当てられた部屋で体を拭いた。多少さっぱりしたら、疲れていたのか、いつの間にか眠っていた。
お読みいただきありがとうございます。
※この物語の調理手順、材料は作者の妄想です。決して真似をせず、気軽に読んでいただきますようお願い申し上げます。