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村と銅像

  とりあえず、人の銅像を足蹴にしてくれているが、後で撤去予定なので問題はない・・・問題はないが四人の顔はしっかり覚えておく。

  そろそろ面倒が起きる前に戻ろうと、村長に話しかけようとしたら。

  「貴様ら!!なにやっとんじゃ!!」

  すぐ近くにいた、村長からめちゃくちゃドスの効いた声が聞こえる。


  ああ、100%面倒くさいことになるな~とか思いながら、四人を睨んでいるアイナとエレナに引っ張られて四人の方に向かう。


  「げっ村長かよ」

  村人と掴み合いになっていた男が小さい声でそうこぼした。

  「貴様らその銅像になんてことをする!!この村の英雄だぞ!!」

  ・・・いや成り行きだったんで、そんなに言わなくてもいいんですよ?


  「英雄だって?高々ゴブリン倒したくらいでしょ?そんなの俺達だって余裕で倒せるぜ、なあ?」

  他の三人に同意を求める。

  「当たり前だぜ」

  「当然ですわ」

  「よ、余裕です」

  銅像を足蹴にしていた190センチくらいある全身金属鎧の男。160センチくらいで、金髪ドリルヘアーの女。150センチくらいの金髪おかっぱの女?が、応える。


  「ただのゴブリンだったら俺達だって勝ってるわ!!」

  「何も知らないくせに!!」

  村人が言い。

  「それはお前達が弱いからだろ」

  「そうだそうだ」

  この村の出身?の170センチくらいの男と鎧の男が言う。


  あーそれ禁句だわ、村人の皆完全に怒ってる。少ないけど犠牲者出てるし、自分の身内が亡くなっててそれを大したことない、弱いやつが悪いみたいな感じで言われりゃそりゃそうなるわ。


  「おい、そこのお前聞いてんのか?」


  まだ駆け出しっぽいし、学校でまあまあな成績取って、仲間が出来て冒険者っぽくなって、その姿を見せてちやほやしてもらおうと思ったら、あんな銅像が建っていて腹が立てて、癇癪を起こしてるってとこか?


  「聞こえてんだろうが、カス野郎。さっさとアイナさんとエレナさんから離れろよ」


  アイナさんとエレナさんは聞いたことあるな・・・っていうか間違いなく、この素晴らしい感触と仄かに甘い匂いで、恥ずかしいセリフがバレて傷付いてる俺の心を癒してくれてる、二人のことだろう。

  ・・・カス野郎って誰のことだ?


  「もしかして、カス野郎って俺のことか?」

  「当たり前だろうが!さっさと二人から離れろよ!」

  どうやらカス野郎って俺のことらしい。分かってましたけどね。

  なんだ?えらい突っ掛かってくるじゃないの?

  アイナとエレナの事好きなのか?そう思って二人を見るがさっきと変わらず四人を睨んだままだ。両思いではないみたいだな。これで両思いだったら、これからやること完全にピエロになってしまうし、今度こそ本当に穴を掘って潜る!


  「あちらさんが、そうおっしゃってますけど、二人とも俺の腕離したい?」

  「離したくありません」

  「僕も同じく」

  「こう言ってますけど?」

  「五月蝿い、どうせ無理矢理従わせてるんだろ?二人共もう大丈夫だから、俺が助けてあげるからね」


  人の話も聞かず何を言ってんだ?

  なんかもう付き合わなくてよくね?


  「実はそうなんですよ。ちょっと助けて、それをネタに無理矢理従わせてるんですよ。二人共顔もスタイルもいいから最高の気分ですよ」

  「なっ、お前!」

  村の出身の男は憎悪で、どんどん顔が歪む。

  「おい、アイツこの銅像のやつじゃねぇか!」

  鎧の男が言うと、村出身の男は銅像を一度見て俺を見る。

  「なんだやっと気付いていただけた?貴方達が大したことないと言っていたゴブリンから村を救った者ですよ、なんか悪いね、あんたらの言う楽そうなやつに勝っただけで、こんなにいい思いさせて貰っちゃって」

  二人から腕を引き抜き、肩を抱く。更に顔をにやけさせるオマケつき。


  「てめえ!!」

  「お、流石に怒っちゃいます?いやね、俺も実は怒っていましてね。人が苦労して倒したゴブリンも。それに立ち向かった人も。被害を受けた人やその家族も。テメェらが何か言う資格ねぇんだよ!」


  アイナとエレナに離れているようにいい、四人に近いて行く。

  「その剣や鎧は飾りか?」

  「クソがぁ!!」

  村出身の男の剣を半歩下がって避け、鎧の男の剣を斜め後ろに一歩下がり避ける。

  「なんだそれは?素人以下じゃねぇか。学校で何習ってたんだよ。あれか?威勢を張ることと、喧嘩の売り方か?なら喧嘩を売ってはいけない奴の見抜き方は教わらなかったか?」

  「死ねぇ!」

  穏やかじゃないねぇ~。まあ挑発してんの俺だけどな。動いて避けるのが面倒になってきたので、剣の側面を掌で当て軌道をずらしていく。


  二人の相手をして、金髪ドリルとおかっぱが死角になっているはずなのに何もしてくる様子はない。まあいいか。


  剣を100回ほど弾いた頃には二人は肩で息をしていた。


  「おいおい、『死ねぇ』とか言っておきながら素手の奴相手にかすり傷一つ与えれないって恥ずかしくない?悪いけど、俺が敵ならテメェらもう100回は死んでるぞ」


  「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・」

  「はぁ、はぁ、はぁ・・・」


  「とりあえず、起きたら村の人に謝っとけよ、後、次人のこと考えず舐めたこと言ったら二度と口がきけねえように顎砕くからな」

  そう言い、二人の首を手刀で叩き、二人は崩れるように倒れた。


  ・・・ふぅ倒れて良かった。加減が難しいんだよね。威力が高すぎると死んでしまうし、低すぎると効かないし。

  二人をしばいた後、もう二人の方を向く。

  「お仲間しばいちゃったけど、どうする?」

  「どうもしませんわ、元々着いてきてくれと頼まれただけで、仲間でもないですし」

  隣のおかっぱも同意するように頷いている。

  俺は踵を返し、癒し(テラピー)を受けにアイナとエレナの方に戻る。


  「凄いですジンさん」

  「格好良かったですジンさん」

  「え?そう?」

  二人はまた腕を絡ませてきて、幸せな一時を楽しみながら、二人の家に戻る。もちろん村長と親父さんも一緒に。

  「ジンさんあれで良かったんですか?」

  「喧嘩売られたから買っただけなんで、あのくらいでいいんですよ」

  「ジンさんがそう言うなら・・・」

  「そういえば聞きそびれていたんですけど、素材どうしたんですか?」

  「そうでした、こちらです」

  途中の道を曲がると、周りの家に比べて大きく、広めの庭が付いた二階建ての一軒家が建っていた。


お読みいただきありがとうございます。

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