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転移者と勇者の卵

  リン姉に教えられた方を見ると、良く見た顔が居た。

  勿論この異世界でじゃない、前の世界の叔父さんの道場でだ。

  リン姉を除けば唯一、お話していた女の子だ。

  「すみませんあの子で」

  「あの娘ですか?言いにくいのですが厳しいかと」

  「どうゆうことですか?」

  「実はあの娘ともう一人居るのですが、二人が居た村が盗賊に襲われまして、逃げ延びた二人を捕らえたものが居まして・・・勿論違法なのですが、その時に奴隷落ちさせられてまして、捕らえた者達は捕まって、その奴隷達は競売にかけられうちが引き取ったのですが、二人一緒でなければ絶対に嫌だと申してまして・・・」

  「いくらだ?」

  「え?」

  「その二人分の値段だよ」

  「は、はい。少々お待ちください」

  「リン姉今いくらある?」

  「200万だね」

  「足りなかったら。ギルドに行ってくるよ」

  「分かった」

  「お待たせしました。二人で250万になります」

  「リン姉後は、任せた」

  「うん。待ってるね」

  俺は直ぐに部屋を出て階段を上がり、店を出て、ギルドに向かって走った。


  ギルドの中に入り、奥の受付のおっちゃんに話しかける。

  「まだ買い取りは可能ですか?」

  「すまない、貯蔵庫が一杯で買い取れん。明日なら貯蔵庫空くから買い取れるんだが・・・その様子だと、かなり急ぎか?」

  「ええ・・・因みに肉じゃない素材の買い取りは?」

  「勿論やってるぞ」

  「分かりました。また来ます」

  そう言って、出ようとした時、呼び止められた。

  「お前さんが明日持って来れるなら先払いしてやるぜ。勿論担保として、値段は下げさせてもらうが」

  「是非お願いします」

  俺は頭を下げた。

  「分かった、何を売るんだ?」

  「ワイルドボアとホーンバッファロー一頭ずつで、50万以上になればいくらでも構いません」

  「・・・分かった」

  小袋に金を入れ渡してくる。

  「80万入ってる。明日必ず持って来てくれ。じゃないとお前を犯罪者として捕まえないといけなくなる」

  「ありがとうございます。明日の朝、必ず来ます」

  「ああ、また新鮮なのを頼むぜ」

  「はい、それではまた明日」

  頭を下げ、急いで店に戻る。

  あのおっちゃんには借りが出来たな。明日は早くギルドに行こう。

  店に着き、また階段を降りて、先ほどの部屋に入ると。リン姉に商人さん。女性の商人さん。奴隷の二人が居た。

  そしてリン姉は何か紙を記入している。

  「リン姉」

  「お帰りジン君」

  「これどうゆう状況?」

  「実はこっちの子片腕動かないらしいんだよ。でも隠してたらしくて、お店の人も知らなかったみたいだったから、値段を下げてもらって200万にしてもらったんだよ。後、これジン君の名前も書いて」

  紙を受け取る。奴隷譲渡契約書と書かれてあって、譲渡する者の欄に商店の名前が、譲渡される者にリン姉と、空きがある。ここに書けばいいのか。

  てかこうゆう契約書とかあるんだ・・・。家のときは書いてないけどって思っていたら。横からスライドされてきた。

  不動産契約書と書かれているこの書類にも記入した。


  これで家も、奴隷も手に入ったな。

  奴隷の二人の方に向く。

  「ユッコ久しぶりだな」

  「ジンさん」

  「そっちの子ははじめましてだな。俺はジンって言うんだ。これからよろしくな」

  「私はノラン。よろしくなのです」

  「ああ、よろしくな」

  「でも私は片腕が動かない・・・役に立てないです」

  「まあ大丈夫だろ。ね?リン姉」

  「うん」

  「ここって服も扱ってますよね?」

  「はい、扱っております」

  「じゃあリン姉これ。二人と服買ってきて。俺は先に宿に戻って部屋取っとくから」

  金貨8枚を渡しながら言う。

  「うん。お願いね」

  今度は商人さんの方に向き。

  「家の清掃ってどのくらいで終わりますか?」

  「一週間もいただければ引き渡し出来ますよ」

  「そうですかじゃあ一週間後また来ますね」

  「はい、お待ちしております。この度はエルザード商店をご利用いただきありがとうございました」

  俺は店を出て、宿屋に向かう。


  まさか、前の世界の知り合いが居るとは思わなかった。

  いや、俺やリン姉が転移しているんだから、他の人が転移していてもおかしくはないのか?

  宿屋に着き、受付で話しをマリーちゃんとカーナちゃんに話しかける。

  「こんにちは二人共」

  「こんにちはジンさん」

  「こんにちはジンさん。ケガは大丈夫ですか?」

  「ああ、この通りなんともないよ」

  「良かった~心配だったんですよ」

  「だから来てくれたの?」

  「はい、ジンさんが無事で安心しました」

  ニコッと笑うカーナちゃん。笑顔がとてもキュートです。

  「マリーちゃん宿の二人部屋を二部屋、一週間お願い出来る?」

  「大丈夫ですよ」

  「じゃあこれで」

  金貨を払い、お釣りをもらい、しまう。

  「それにしても二部屋って奴隷の人でも買ったの?」

  「まさか、ジンさんがそんなこと・・・」

  「買ったよ」

  「「え?」」

  「家買うことになってね。大きい家だから管理してくれる子が欲しくてね」

  やましい気持ちはなかったと伝える。・・・最後は本当になくなっていたから嘘ではない。

  「家買ったんですね」

  「今度遊びに行っていいですか?」

  「ああ、いいよ。是非来てよ。そうだ二人が狩った獲物どうする?」

  「じゃあこっちで出してもらえますか」

  「分かった」

  マリーちゃんに付いていき、解体部屋みたいなところに連れられ、そこで二人が狩った、フォースコッコと、ホーンラビット、ゴブリンを出してあげると、二人はとても喜んでいた。

  お礼を言われまた今度狩りに行く約束をして部屋に戻った。


  部屋でのんびりしていると扉が開き、三人と一頭が入ってくる。

  「お帰り」

  「ただいま」

  「お邪魔します」

  「お邪魔するのです」

  ノランの腕はちゃんと動く様になっていた。流石リン姉。

  二人の服はどちらも可愛くコーディネートされていた。

  ユッコの服はボーイッシュって感じで、Tシャツにホットパンツで、元気なユッコにぴったりだと思うし、ノランの服はTシャツにミニスカとシンプルだけど、とても似合っている。

  とりあえず言えるのは見えそうで見えない。何がとは言わないが。

  「じゃあとりあえずもう一度自己紹介をしようか。私はリン。転移者で、ジン君のお姉ちゃんです」

  「俺はジン。転移者で、リン姉の弟だ」

  「私は優子。皆からはユッコって言われていました。元々リンさんやジンさんと同じ道場に通っていた、転移者で、1ヶ月くらい前に道で倒れていたところ、ノランに助けられまして、一緒に居ます」

  「私はノラン。ユッコを拾ってお世話したのです。けど村が盗賊に襲われて、二人で逃げたのですが、捕まって奴隷商に売られていたところを二人に助けてもらい、リンさんには腕を治してもらったのです」

 

  ユッコと俺達が転移して来たのは1ヶ月くらい差があるのか。


  これからの事を話し合って、とりあえず、ユッコとノランも討伐者(ハンター)になってもらい、家の管理の合間に狩りをしてもらう予定だ。特にノランは襲われた村の復興をしたいそうなので、尚更討伐者(ハンター)になって稼げばいいと伝えた。

  明日は久々にユッコと組み手するか。

  「ユッコとノラン二人のステータス見せてもらっていい?」

  「はい大丈夫ですよ」

  「大丈夫なのです」

  「じゃあ、はい」


 =============================


 名前 佐田 優子

 年齢 16歳

 レベル 3

 第一職業 メイド


 HP 280/280

 MP 100/100

 力 75 『150』

 耐久 55 『110』

 魔力 30

 器用 25 『50』

 俊敏 43 『86』

 運 50


 スキル

 武術LV4 刀剣術LV2 肉体強化LV3 練気LV1

 アイテムボックスLV1 精神強化LV1


 称号

 異世界を渡った者 大器晩成 早熟 天性の才 気を操りし者 不器用 元奴隷 メイド


 =============================


  自分のステータスが如何に人間辞めてるか良く分かった。

  多分ユッコのステータスが正しいんだろうな・・・。色々見ていくと物凄く気になるものを見つけた。スキルの練気と称号の気を操りし者ってやつ。

  何?ユッコ気なんて操れるの?

  「ユッコ練気って何?」

  「あれ?ジンさん使ってないの?」

  「持ってないしな、明日組み手する時教えてもらえるか?」

  「ジンさんに教える時がくるなんて!」

  いやいや俺アホだから結構教えてもらってるぞ?

  何故か感動してるユッコはおいといて、次はノランか。



 =============================


 名前 ノラン

 年齢 16歳

 レベル 4

 第一職業 メイド


 HP 310/310

 MP 200/200

 力 55

 耐久 50

 魔力 50

 器用 48

 俊敏 49

 運 30


 スキル

 剣術LV2 肉体強化LV1 家事LV1


 称号

 勇者の器 大器晩成 早熟 元奴隷 メイド

 =============================


  ユッコに比べて、尖って高い能力はないけど、平均的に高いな。

  そして気になる称号。勇者の器!

  なんかこう中二心くすぐられる感じがするな。ちょっと欲しい。


  これから先この二人が強くなっていくのが楽しみだな。


お読みいただきありがとうございます。

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