見習い討伐者と狩り
宿の受付の前でマリーちゃんとカーナちゃんを待ちながら、リン姉との模擬戦を思いだす。
左右のコンビネーションは木刀一本に流され、フェイント、奇策は塞がれ、最後の抜刀術には腕を砕かれる始末。
前の世界からやってた模擬戦から・・・一度も勝ててない。
リーチ差はあるが、あっちは木刀一本。こっちは両腕両足。こっちに分があるはずなのに勝てない。
・・・悔しいなぁ。
ていうか、元々のスタイルの二刀流で、刃の付いた刀使って、魔法使い始めたら・・・。勝てる気が一切しないんだけどどうしよう。
色々考えていたら、奥の部屋からシャツに皮のベストにショートパンツ姿に皮のブーツ姿で腰に長さ50センチくらいの剣を腰にさして、やって来る。ボーイッシュって感じの服装で、元気なマリーちゃんに良く似合っている。可愛い。
「ジンさんお待たせしました」
「いや、俺も今来たところだから」
デートの待ち合わせみたい。
続けて入り口からカーナちゃんが入ってきた。
カーナちゃんもシャツに皮のベストを着て、ミニスカートに皮のブーツ。腰にはマリーちゃんの剣をさしていた。ミニスカートが気になるがまあ本人の自由か。可愛いし似合っている。・・・風で捲れてもいいんだよ?
「すみません、お待たせしました」
「俺達も今来たところだから。それじゃあ行こうか」
「はい、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
二人を連れて、一度ギルドに行き、奥の素材を売却する受付に行く。
「おはようございます。買い取りお願いします」
「おう、ジン奥に入れよ」
部屋の奥に入り、アイテムボックスで解体したワイルドボアと、ホーンバッファローを取り出す。どちらも3メートルを超していて、素材込みで売ったらワイルドボアが40万グラン、ホーンバッファローが50万グランで売れた。
「おうジン、どっちも新鮮で皮や角にほとんど傷もなくて、助かるぜまたよろしくな」
「ええ、また来ますよ」
まだアイテムボックスにはワイルドボア、ホーンバッファロー各々100頭を軽く超える量があるからな。90万グラン掛ける100頭ずつって簡単な計算でも、9000万グラン。日本円で9億円くらい・・・。1日でお金持ちになってしまったな。一気に売ったら確実に値崩れするだろうから一気には売れないから少しずつ売っていこう。すぐに念願の家が買えるぜ。
メイドさん雇ったりして、あんなことやこんなこと、そんなことまでしちゃったりして・・・ゴクリ。ゆ、夢が膨らむな。
絶対にデカい家買って、『こりゃメイドさん居ないと管理出来ないわー。困ったなー。雇うしかないなー』みたいな流れにもっていく。
金貨9枚で露店で使いにくいので、金貨を8枚と銀貨を90枚と銅貨10枚にしてもらった。
金貨は帰ったら即リン姉に渡して、銀貨は食材買って余ったのを渡そう。銅貨はそのまま買い食いに使おうかね。
ギルドを出て露店に向かう。
「凄いですね、ジンさんワイルドボアとホーンバッファローを狩ってたんですね」
「まだまだあるけどね」
「まだあるんですね・・・私達にも出来るでしょうか?」
「大丈夫、すぐに狩れるようになるよ」
露店で食材や水、調味料を買い込み、銀貨30枚ほど使い、近くの森にやってきた。
決して無駄遣いではないからな?料理の為に多めに買っただけだから。本当ですよ。
森の入り口で止まり二人に言う。
「まずは、俺が倒すから二人は付いてきてくれる?」
「「はい」」
「じゃあ行くよ」
索敵スキルを全開にし、森の中に入って行く。
スキルもレベルアップしてるのか、すぐに草を食べているホーンラビットの群れを見つけた。
5羽ほどで固まっている。
二人にここで待つように言い、ホーンラビットの群れに飛び出した。
一番近くのホーンラビットを飛び蹴りで仕留め、横のやつを回し蹴りで仕留める。これで2羽。一番離れていたホーンラビットがこちらに気付いたので、アイテムボックスからナイフを取り出し投擲し、すぐに近くのホーンラビット2羽を拳で仕留めた。
ホーンラビットを回収して、ナイフに付いた血を払い、アイテムボックスに収納して二人のところに戻る。
投擲いいな。今度の模擬戦、投擲も使っていくか。
「お待たせ」
「凄いですよジンさん!」
「ジンさん凄い!」
「いやーそんな事ないよ」
可愛い女の子達に褒められてニヤニヤが止まらない。
「まだ近くに来てるから、今度は二人も狩ってみようか」
「「はい!」」
固いなー。
「ほらリラックスして、来たよ」
フォースコッコが3羽こちらに歩いて来る。
「3羽か。1人1羽倒そう。俺は真ん中、マリーちゃんは右側、カーナちゃんは左側、いいね」
「「はい!」」
俺は飛び出し、飛び蹴りで一撃で仕留める。
フォースコッコを収納し、二人の戦いを見守る。危なくなったらいつでも対処出来る様にナイフを持つ。
マリーちゃんはフォースコッコに一気に近付き、思い切り剣を振っていて、フォースコッコが嘴や脚で反撃すると、避けてから攻撃を再開している。
カーナちゃんは徐々に近付き、攻撃して、フォースコッコの反撃は剣で弾き、攻撃を再開する。
回避と防御で見事に分かれたな。
多少危ないところもあったが二人共無事にフォースコッコを倒せた。
「やったー!」
「やったねマリーちゃん」
「二人共良く頑張ったね、お疲れ様」
露店で買った果実水を二人に渡す。
「「ありがとうございます」」
二人は果実水を一気に飲み干した。
「さて、二人の戦いを見させてもらったんだけど、マリーちゃん回避出来そうにないときは必ず防御することを忘れないこと。今は全部回避出来ているけど、いずれ、自分より早いやつと戦うこともあるからね。防御も完全に受けるんじゃなくて、剣の側面で流すようにして、自分に当たらないようにして、空振りさせて隙を作るようにするといい。もちろん回避出来るときはした方がいいからね、後もうちょい重たい剣でもいいかもしれないね。意外にマリーちゃん力があるから、重すぎなければ大丈夫かな。素早く動いて、攻撃の際近付いて、一撃を放って、またすぐに離れて、攻撃する機会を作るそんな戦い方でもいいと思うよ」
「はい、分かりました」
「次にカーナちゃん。防御はしっかり出来ているけど、剣だけでまともに防御すると直ぐに刃こぼれを起こすよ。回避出来る時は回避した方がいいからね。防御重視でいくなら、盾を持って攻撃と防御を分けるのがいいかな。慣れてくると剣で受けても刃こぼれさせずに出来るようになるよ。そうしたら剣で受けて盾で攻撃とか変則的な動きが出来て、出来ることの幅が広がるよ。まずは軽いものからでも使ってみるといいよ」
「はい、ありがとうございます」
「まあ参考程度で、一番大事なのは臨機応変に動くことだからね、それじゃあどんどん狩っていこう。二人が狩ったのはアイテムボックスに入れておいて村に帰ったら渡すから気にしないでいいからね」
「ありがとうございます。頑張ろ、カーナちゃん」
「ありがとうございます。頑張ろうね、マリーちゃん」
それから十数分毎に見つける、フォースコッコやホーンラビットを狩っていく。
二人はレベルが上がっているのか、慣れてきたのかは分からないけど、倒す速度がどんどん上がって行く。
俺も体術だけではなく、大剣を取り出し、使用していく。
最初この大剣を出したとき、二人は目を丸くし、次にこれを使ったところでも、目を丸くして驚いていた。
「リン姉ならこうゆうのも作れるから、色々相談してみるといいよ」
リン姉鍛治店を宣伝しておいた。
2時間ほど狩り続け、一度10分ほど休憩して、更に1時間ほど狩ると流石に2人は疲れたのだろう、ほとんど会話もなくなってしまった。
「そろそろ昼頃かな?1時間ほど休憩しようか」
「「はい」」
二人から少し離れ、お馴染みの、まな板代わりの台と竃を取り出し、俺が狩ったフォースコッコをアイテムボックスで解体し、肉だけ取り出す。
一口大に切り分けて、ボールに先ほど買った調味料を味見しながら混ぜ、焼き鳥のたれに近い甘辛いソースを作る。調味料が足りず、あの想像が出来る、甘辛い焼き鳥のたれは出来なかったが、今はこれがいっぱいいっぱいだ。醤油とか手に入れたら必ず、完璧な焼き鳥のたれを作ろう。焼肉のたれやお好み焼きのソースとかも。
ある程度焼けた鶏肉を、一度ソースに付けもう一度焼いていく。
ソースが焼ける匂いが辺りに拡がっていく。
焼けた肉を頬張る。
ジューシーな鶏肉と甘辛いソースの味が口の中に拡がる。
これはこれで旨いな。
流石に気になった二人が近付いてきたので、焼きたてを皿にのせ、フォークと一緒に渡す。
受け取った二人は、一口で口に入れ、咀嚼して呑み込む。
「美味しい!」
「美味しいです!」
「そりゃ良かったまだあるからどんどん食べてな」
「いんですか?」
「もちろん。二人共頑張ったし、気にしないで」
「「ありがとうございます」」
喜ぶ二人を見ながら肉を焼いていく。
肉を焼きながら更にソースを作っていく。
半分を二人に食べさせ、もう半分をつまみながら、リン姉と腹ペコペット用に、更に塩胡椒のみの焼き鳥を焼いていく。
クロのは若干味を薄める。薄めても美味しくなるように、希釈加減に気を使った。
俺が狩った、フォースコッコは全部焼きあげたので、次はホーンラビットを焼いていく。
肉自体に若干甘みがあるので、少しだけ甘くなる調味料を減らしたソースを作り同じように焼いていく。
焼き上げて、食べてみると、フォースコッコより味わい深くなり、美味しかった。
更に焼き上げ、二人の皿にのせていく。
「ジンさんこれも美味しいよ!」
「とても美味しいです!」
「これもどんどん焼くから食べてね」
「「はい」」
20分ほどで、俺の持っているフォースコッコを焼き上げた。
・・・最近焼いてばっかりな気がする。
まだ時間あるし、ワイルドボアとホーンバッファローも焼いておくか。アイテムボックスに入れておけば、出来立てがいつでも食べれるし。
ホント、アイテムボックスはチートだな。
塩と胡椒のみで、ワイルドボアとホーンバッファローを焼きつつ、出来上がったものはすぐにアイテムボックスに収納する作業を繰り返す。
もちろん、味付けミスってないか、たまに味見する。
「ありがとうございました。とても美味しかったです。今度この作り方教えてくださいね」
「ありがとうございました。ジンさんって料理も出来るんですね」
「まあ簡単なものだけどね、じゃあ二人はこのまま休憩してて、俺はもう少し焼いてるから」
「分かりました」
「はーい」
ひたすら焼き続け、休憩時間の1時間くらいたったので、片付けをして休憩を終わらした。
二人を連れ、更に奥に向かう。
予定では匂いに釣れられて、出てくるはずだったんだけど、そう甘くは無いらしい。
奥に1時間ほど進むと、少し離れたところに見慣れない魔物を見かけた。
緑色の肌に子供ほどの身長の、ファンタジーでは有名なあのゴブリンを彷彿とさせる容姿に、剣や槍、皮の鎧といった装備を付けている。
防具だけ見ればうちのパーティーメンバーの誰よりもいいもの付けてるな。なんてったってこっちは、皮のベストやブーツに、ただの布の服だからな。
ゴブリン達が居るところは若干村のようになっており、一軒一軒の形は物凄く歪で、崩れないのが不思議なくらいだ。そんな小屋がいくつも建っていた。
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