朝の運動と車入手
遅くなって申し訳ありません。
「………はぁ……はぁ」
結局あれから眠れず、庭でシャドーを行っている。
拳一つ振る度に夢で見た俺の威力、速度共に遠く及ばないと理解してしまう。手打ちで高速で連打してみたが、ダメだった。これでは夢の俺にも勝てないし、ましてやリン姉には絶対に勝てない。あんな高速で斬擊を飛ばされたら今の俺では手も足も出ず最後に見た光景になってしまうだろう。
「………はぁ~やれやれ、ちょっとは強くなった思えばあんな夢見せやがって、余裕ぶっこいて楽なんか出来ねぇじゃん、嫌になるぜ」
最後に正拳突きを放ち腕の汗が吹き飛ばす。
起きてから何時間打ち続けたか分からないが、空は明るくなっていた。
一息ついた後、汗を流してリビングへ向かうともう既に皆集まっていた。皆今日早いな。
「皆おはよう、早いね」
「おはよう、うん早く起きちゃってね、ジン君も大分早くから起きてたんじゃない?」
「あ、うん。ちょっと寝つきが悪くてね」
「そっか、昨日寝れなかったんなら、今日は部屋でゆっくりする?」
「特に予定もないし、それもいいかもね、リン姉達は何かするの?」
「ティナからもらったお米が無いからユッコとティナに買いに行ってもらおうかと思ってるよ」
「ああ、じゃあ俺も着いていくよ、バイクで買いに行くんでしょ?」
「うん、じゃあお姉ちゃんも行くからジン君の後ろに乗せ「「リンさんちょっと!!」」」
リン姉が最後まで言い終える前にアイナ達がリン姉の肩を掴み廊下に出て行った。それから少ししてじゃんけんのかけ声が聞こえた後、溢れんばかりの笑みを見せるアイナとそれに劣らない笑みを見せるティナ。明らかに落ち込むリン姉達が部屋に戻ってきた。
「……結局行くのは誰?」
「ユッコとアイナとティナだよ…」
消えそうな声で言うリン姉、ツーリングに行きたかったのかね?今度ツーリングにでも誘ってみようかね。
「じゃあアイナとティナは、ちょっと休憩して一時間後くらいでいい?」
「はい大丈夫です」
「大丈夫だよ」
「分かったじゃあまた後で、ユッコは……」
「じゃあ私が伝えておきます」
「本当、じゃあよろしく」
そう言って食べた食器を流しに置きウキウキ気分で玄関に向かい、外に停めてあるバイクを鼻歌を歌いながら濡れた布で拭いていく。デートに行く時はバイクとか洗車するのは大事だよね。………デートしたことないけど。
バイクを磨き終え、皆を待っていると、隣の屋敷からユッコがやってきた。
「ユッコおはよう」
「ジンさん、おはようございます」
軽くユッコに挨拶した後、ユッコがマジックボックスからバイクを取り出して二人で待っているとにっこりしたリン姉とそのリン姉をジーと見つめるアイナとティナの三人がやってきた。
「?あれ?リン姉どうしたの?」
「んふふふ~ジン君に良いもの持ってきたよ」
そう言ってアイテムボックスから車を取り出した。
「……これ」
「いいでしょう、頑張って作ったよ」
その車は元々ラリーで活躍していたもので、現在も製造されていて、珍しいボクサーエンジンと呼ばれる水平対向エンジンを載せた車両で、通常縦に動くピストンが横に動き、重心が下がり安定する素敵仕様だ。いつか欲しいと思っていた車の一つだ。高卒の新入社員で買えるものじゃなかったから、欲しいな~と思いながら動画等を見ていたが、異世界で手に入るとは思わなかった。
青いカラーが多いこの車種なのだが、目の前の車は黒色でとてもアリだと思います。
ボンネットを開けてみたが、中身は巨大な魔結晶が固定されていてそこから配管がそれぞれのタイヤに向かっているようで、ファンタジー感はなく、どちらかと言えばSF感が溢れた感じだな。
ホイールも中心から外側に枝分かれしている形でとてもセンスが良い。
興奮を抑えられずに運転席に座る。うつもながらどうやって作っているのか分からないが、材質は分からないが座り心地が良い。
次にハンドルやメーター類も見てみるが、動画で見たのとほぼ同じ物が付いていて、ハンドルも特徴的な星のエンブレムが無駄に芸が細かい。
色々と堪能した後、エンジンをかけてみたが、ほとんど音がしなかった。そこは残念だったが、本物では無いからそこは諦める。実際前の世界では車すら持ってなかったから素直に嬉しい。
「リン姉ありがとう」
横に乗ってきたリン姉にお礼を言い、後ろにアイナとティナとユッコが乗るのを確認して、シートベルトモドキを着けて、ゆっくりと走り出した。
ヤッフー!!車最高!!
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