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スライサーと定期連絡会

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

 

  買い物を終え帰り着いた俺達は早速買ってきた食材を今日使う分だけ残してマジックボックスに移した。二人は着替えてくると言うので、ついでに二人が持っていたマジックポーチを預り三人分を移し替えた。結構量が多くて少し面倒くさかった。


  移し替えが終わったので、今日買ってきた野菜で、野菜炒めを作っておこうと思い鍋やまな板を準備していると、着替えてきたらしいロザリーに声をかけられた。

  ロザリーの着てるメイド服変わって無いように見えるのは気のせいかな?あれか、少しだけ髪を切った彼女に「あれ?髪切った?似合っているよ」と言うかなりハードな間違い探しの様な事をしないといけないのか。因みに間違うと好感度が駄々下がりするし、好感度が低い人に同じ事をしても「え?ジロジロ人の事見て…怖い」ってなるから注意だ。………彼女なんて居た事無いのになんで知ってるかって?それはうちのお姉様が髪を切って帰ってきた時に気付かないとめちゃくちゃ落ち込むからね。逆に気付くとめちゃくちゃ喜ぶから当てたくなるよね。

  ああ、いつか彼女に言って「嬉しいありがとう」って笑顔で言われたい。


  「ジンさんは何を作るのですか?」

  「折角、ロザリー達にいい野菜の見極め方習ったし、シンプルに野菜炒めを作ろうかなと、今日食べなくても、アイテムボックスに入れとけばいつか食べるし」

  「なるほど、ではジンさんの野菜炒めを作ってください、私達は煮物と汁物を作りますので」

  「分かった、野菜炒め作ったら米炊いとくわ」

  「お願いします」


  ワイルドボアのブロック肉を取り出して、小間切れ肉を量産し、醤油っぽい調味料等を使って漬けておく、次にさっき買ってきた野菜を一口大に切り分けておく。もちろんまな板と包丁は肉を切った物とは別にするのを忘れない様に、ジンさんとの約束だよ。

  トトトトトトトトトトトトトトとキャベツ、ニンジン、タマネギの様な野菜をそれぞれ高速で切り刻んでいく。

  チートステータスを存分に使用した今の俺は業務用のスライサーを凌駕していると思う。


  業務スライサージンとなった俺は十分程度で今日買ってきた野菜の半分近くを一口大に切り分けてしまった。見事な包丁捌きと言って過言では無いだろう。

  野菜を切り終えた後、大きなフライパンをコンロに置き火に掛ける油を引き、下味を付けた肉を投入し炒める、ある程度したらニンジン、タマネギを投入し炒め、軽く火が通ったらキャベツを投入し、コンロの火力を上げ、塩、胡椒を振った後、一気に炒める。しっかり火が通ったのを確認し、火を止め、一摘まみ口に運ぶ。野菜の甘さと肉の旨さが、しっかりと出ていて、かつ、シャッキリとした歯ごたえはそのままで、水っぽさはなく、いい感じに出来たと思う。

  出来上がったモノは皿にのせ、アイテムボックスに仕舞う。

  出来立てを保存しときたいのはもちろんだが、一番の理由はいつの間にかキッチンの入り口に腹ペコモンスターズが揃っていて、こちらを見ていたからだ。

  そんな腹ペコモンスターズのトーテムポールを華麗にスルーして、先ほど切った肉と野菜を次々と炒めていく。きっと、多分、絶対足りなくなるのは分かってしまったので、日が暮れるまでひたすら炒めていった。


  その日夕食で作った野菜炒めの大半が無くなってしまったと追記する。



 =============================


  とある一室に円卓と椅子だけが置かれ、その椅子には数名が座っていた。

  その中の一人が徐に口を開く。


  「それでは定期連絡会を始めます、まずはおね…私から、先日のスタンピードでは人的、物的被害が限りなく少なかったそうです。一重に皆の頑張りのお陰です。次に生活面ですが、この家と、隣の家への上下水道が出来ましたので、衛生面ではかなり良くなったと思いますが、村全体を見れば先は遠いと感じてしまいます。まずはクレント村から集中的に拡げていく予定です。私からは以上です」


  「では次は私達から。公正な抽選(じゃんけん)の結果、今日ジンさんと買い物に行きましたが、必要な食材の一部が購入出来ませんでした」

  「それは?」

  「コメです。このコメは無くてはならないものだと伺っていましたので、最優先で探しましたが、クレント、エルザードどちらにもありませんでした」

  「そうですか…確か貴方が提供してくれたんでしたよね?」

  「はい、私も定期的に購入していたもので、販売している村はわかりますので購入に問題はないかと」

  「なるほど、在庫はどれくらい残っていますか?」

  「それが……後三日持てばいいくらいの量しか残っていません」

  「………仕方ない、今度皆で買い物に行きましょう。家で栽培出来る様にしましょう。最悪土地を広げますので」

  「分かりました、私達からは以上になります」


  「では次は私達から。本日ジンさんのペットのクロ、メイ、キーの三体と守備隊で訓練を行いましたが軽く圧倒されていました」

  「守備隊には是非とも強くなってもらわなければいけませんが、それほどですか?」

  「はい、あの三体は少し反則な気もします………また、あの三体も成長途中ですので、差が縮まるのは厳しいかもしれませんが、少しずつは強くなっていってはいます。私達からは以上になります」


  「では私から、屋台の件ですが、クレント村とエルザード村の村長から正式に許可を戴きましたので、後はいつでも商売が可能になります。現在は食材等の在庫を確保している状態ですので、近日中に営業出来るかと、私からは以上になります」

  「他に何かありますか?…………無いようですね、最後に私から、本日夜、久々に行います。体調が優れない方は早めに連絡してください。ヒールやポーションで治療しますので、それでは定期連絡会を終わります」


  背中が開いたセーターを着た女性がそう告げると、メイド服や、執事服を着た少女や女性が立ち上がり、部屋から退出して行った。



お読みいただきありがとうございます。

この作品も三年目になりました。ここまで続けれたのも皆様に支えられたからです。

これからも頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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