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二つの村とスタンピード2

遅くなって申し訳ありません。

ジン視点に戻ります。

 

  「ぜぇ……ぜぇ……ごくっごくっ!……ふぅ……」


  リン姉のポーションを呷る。すっきりとした味わいが身体に広がり染み渡り、身体中の痛みが引いていく。

  ファンタジー御用達のポーションは効くね。擦り傷や打撲傷が完全に消えて無くなるのを何度も見ると、生傷の絶えなかった前の世界でも欲しかった。

  ただこのポーションどこで買ったんだろう?露店とかエルザード商店に有ったのかね?そうだったら食材だけ探すんじゃなくもっと他のものも探せば良かった。このスタンピードをちゃっちゃと納めて、皆と買い物に行こう。そんで、ただの買い物なのにデート勘違いしてニヤニヤしよう。「あれ買って」「これ買って」とおねだりしてくるのを「しょうがないな~」と買ってあげて好感度アップ………そしてあわよくば………怖い!この計算しつくされた計画を練ってしまう自分の頭が怖い!

  財布もといアイテムボックスの中にはまだまだ余裕があるし、最悪素材を売って稼げばいい。


  「ぐふふふふふふふふ……ぐへへへへへへへ……おっと、いけね、よだれが」


  口を拭いながら前を見る。

  それにしても戦い始めて何時間経ったんだ?時間の感覚が分からん。

  十分?一時間?十時間………はないか、まだ明るいし。

 

  ぼろ雑巾の様になってしまったコートを脱ぎ捨て、黒色のYシャツの袖を捲る。脱ぎ捨てた鮮やかな朱色のコートは原型がなんとか分かるくらいに破れたり焦げて、黒いYシャツとズボンは土や魔物の血で汚れていた。予備そんなに無いのに…。

  それに顔も血や泥で折角のイケメンが台無しだ。

  ………自分で言っててなんだけど、まだ冗談言えるくらいには大丈夫みたいだ。



  開幕はリン姉から渡された新しい魔導銃をぶっ放した。以前のとは比べものにならないほどの威力で、キャノンは敵に当たると大爆発を起こし、その爆風は奥に向かって広がり広範囲を焼いていった。

  ラピッドは相変わらずの高速連射だったが、威力は初期のキャノン並みにあり、何匹も同時に貫いていった。

  それを魔力が切れるまで撃ち続け、かなりの数の魔物を瞬殺した。

  魔導銃の魔力が無くなった後は、魔物が密集していたら『龍撃』でまとめて吹き飛ばし、後は体力を温存する為に一撃で確実に魔物を仕止めていった。

  だけど、多勢に無勢……いや、四面楚歌ってのが正しいか。四方八方からの同時攻撃に流石の俺も対処出来ずに少しずつダメージを蓄積していき、先ほど最後のポーションを飲み切ってしまった。


  このスタンピードはいつになったら終わるのだろう。

  ギルドで聞いた話ではエルザードが四千、クレントが八千と言っていたが、今までで倒した数は軽く一万は超えている………はずだ。

  魔物の数が減ってる様に見えない。寧ろ数は変わらないけど、魔物が強くなっている様に感じる。

  例えばゴブリン。初めは武器も持たない腰みのの個体だったのが今は多分鉄製のショートソードにバックラーを持ち、鎧まで身に付けている。更に体つきも一回り大きくなっていた。

  もうこれだけでもお腹いっぱいなのに、他の魔物も一回り大きくなったものや色が変わりスキルや魔法を使ってくるようになってきた。特にクロに似た狼は厄介で影から飛び出してきて爪で攻撃してきたり、影の爪を飛ばしてきたりと初見殺しもいいとこだった。それが四方八方からいきなりだと避けられずに直撃してしまったりした。

  他にも羽の一つ一つが刃になっていて高速で飛び、スレ違い様に切り刻んでくる鳥や体長二メートルくらいで腕が異常に太く見た目以上に俊敏な熊に以前戦ったアーマーアントにメタルクラブ等開幕とは比べものにならないほど強い魔物が絶えず襲ってくるようになった。

  手が届かない高速で飛ぶ鳥や影から飛び出してくる狼共はクロとキーに任せた。メイは回復魔法が使えるのでクロの頭に乗せ、二体をカバーする様に指示し、俺はまた魔物の大群に飛び込んだ。



  大量の鳥と狼を倒しまくったクロ、メイ、キーを村の方に下がらせて休ませつつ、取り逃した魔物を頼んだ。俺は熊に飛びかかり膝蹴りを当てて吹き飛ばしてその後ろの魔物を巻き込ませる。更に着地した瞬間にしゃがみゴブリンの突き刺してきたショートソードを避けつつ回し蹴りでゴブリンを転がし、すぐに立ち上がりサッカーボールを蹴る様に蹴り飛ばしてゴブリンの後ろの魔物を巻き込ませた。更に斜め上から振り下ろしてくるメタルクラブのハサミを手甲で受けそのまま両手で掴み回転していく。


  「…よっと!……おらおらおらおらおらぁああああ!!」


  ぐるぐるとハンマー投げの様に回るメタルクラブを周りの魔物に当てながら更に速度を上げる。そして、充分速度がついてから敵が密集してる方にぶん投げた。

  かなり勢いのついたメタルクラブはまるで大砲の様に周りの魔物を蹴散らしながらかなり遠くまで吹き飛んでいった。

  数百匹を巻き添えにし、直線に魔物がいない部分が出来たが、すぐに空いた隙間を埋める様に魔物が湧いていた。


 



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