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英雄の卵とスタンピード3

お待たせしました。

  森から出てくる魔物はまるで黒い波の様に押し寄せてくる。

  こんな状況でゆっくり数なんて数えてられないが、本当に四千体くらいなのかと疑いたくなる。……決してビビってる訳じゃない。

  ………今更ビビってもしょうがないと言うのが本音だが。


  一番早いところでは魔物とハンター達の戦いが始まっていて、オレ達の方も直ぐそこまでやってきた。


  「じゃあ、少しでも数を減らすよ『ファイアランス』」

  「わ、私も『エアーカッター』」


  ミミーとエミーナのチームのキャリーは魔物に向かってそれぞれ魔法を放つ。

  ミミーが放った『ファイアランス』は炎の槍が数本頭上に現れ、持っていた槍を振り下ろすと、炎の槍は高速で飛んでいき、先頭の魔物に当たった瞬間……ドン!!っと言う爆発音と共にその周辺もろとも吹き飛ばしていった。

  キャリーの放った『エアーカッター』は目には見え無かったが、ミミーと同じようにショートソードを振り下ろすと広範囲の魔物が切り刻まれていった。

  殺傷能力の高い火の魔法に隠密性能に優れた風の魔法か……どちらも当たったら無事じゃすまねぇな。

  ……とりあえずこの二人が味方で良かった。

  そう思いながらスレ違い様に紫電を抜き、ゴブリンを斬り伏せた。


  「これ切れ味ヤバいな……もうただの鉄の剣には戻れ無いわ」


  刀身を見ながらそう呟く。軽く振っただけで力も技もなく、雑魚とは言えゴブリンを文字通り一刀両断するこの刀は一体いくらするんだろうか………。


  「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

  「あ、テメェ、ルーベンス待ちやがれ!!!」

  「あ!お前らオレが先だろうが!!」

  まあ、今はそんな事考えてる場合じゃない。隣から大盾(タワーシールド)を構えながら魔物の群れに突っ込んでいく馬鹿(ルーベンス)とそれに便乗して付いていく馬鹿(サージ)の二人を追ってオレも魔物の群れに突っ込んで行った。


  「あ…んの三馬鹿が!!!キャリー魔法で援護、エミーナとトートはあの三馬鹿のフォロー!!ルールーはここで私達のフォロー!!あんたまでなにやってんのよ…『ファイアバレット』!!」

  「は、はい!『エアーバレット』」

  「オッケー行くよトート」

  「う、うん」

  「はーい」


  ミミーの指示にキャリーにエミーナ、トートにルールーが答え、早速範囲魔法を使っていたのをオレ達への誤射を少なくするため命中精度が高く貫通力が高いリンさんオリジナルの魔法を放ってくる。

  オレ達魔物の群れに突っ込んだ後は少し離れ独楽の様に回りながら魔物を斬っていく。


  「ダリウスどういうわけ?いきなり群れに突っ込んでいくなんて」

  「このスタンピードは長期戦になることも分かっている。けど下手に守って頼みの綱の魔法使いがやられたら回復はポーションしか無くなる。そうなったら後はじり貧なんだよ。魔法の効果は精神状態に左右されやすいらしいからな。少しでも数を減らし、優勢だと、オレ達が押してると思わせて、また何時ものバカやってると思わせねぇといけねぇんだよ!」

  「バカやんのも楽じゃねぇよな?」

  「本当ですよ」

  「あんた達………」

  「死ぬ気で守って、守ってそうやって時間を稼いだらもしかしたらクレント村のスタンピードを抑えたジンさんが駆け付けてきてくれるかも知れない。結界の維持に余裕が出来たリンさんが助けてくれるかも知れない………」


  「―――――本当にそれでいいのか?」

  「………」


  突っ込んでくるホーンラビットの角を刀の腹で受け流しつつ体を変えて振り向き様に斬りながらエミーナと話す。

  更に向かってくるアーマーアントを地面すれすれから斬り上げた。


  「とりあえず、今はまだ余裕がある。本当にヤバくなったら撤退するし、いずれは動けなくなるだろうからそれまでは少しでも、己の糧としようや………いずれ守ってもらわなくても大丈夫なように…さ!!ええい、人がいい感じの事話してんのに…よ!!」


  ゴブリンとオークを連続で斬っていく。一ヶ月前はあんなに苦戦してたオークを一太刀か………オレも強くなってきたんじゃないか?


  「……そうだよね。分かった。うん、分かったよ。私だって強くなりたいからね、負けないよ」

  「お、おう」


  宣戦布告?されたことだし、オレもガンガン行くぞ!



  それから一時間。魔物を狩り続けた。今のところ脅威となる魔物は現れておらず順調に狩れている。途中何度か交代しながら相当数の魔物を狩ったが、まだ終わりが見えない。少し離れたところに居るハンター達も相当数狩っているはずだが、森からは続々と飛び出してくる。

  このままじゃあヤバいかもしれない。休憩を取ってはいるが、皆の顔からは疲労の色が濃くなっていく。……一旦引くか?


  そう考えていると皆が森の方を見ているのに気付き森へ視線を向けると森の中から血のように赤いドラゴン(絶望)が顔を出した。



 

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