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二つの村とスタンピード1

遅くなって申し訳ありません。

今回短めです。

  門から出てクレント村を歩いていると後ろからクレント村の兵が走って追い抜いて行った。

  少し大通りになって、エルザード村に比べれば少ないが、生活に無くてはならない食糧や雑貨がところ狭しと並び、店主達の活気に溢れた声が聞こえる。

  豊富な種類の野菜を取り扱っている八百屋のおばちゃんに新鮮な肉を取り扱っている肉屋のおっちゃん、瑞々しい果物を取り扱っている果物屋のお姉さんに塩や胡椒等の調味料を専門に取り扱っている調味料屋のお兄さん、包丁や鍋と言った調理器具に灯り魔石等の消耗品を取り扱っている道具屋のじいさんに、香ばしい香りのパンを売っているパン屋のおばちゃんに焼いた肉やスープ等を売っている飯屋のおっちゃん。それ等の屋台を横目に通り抜け、門を出て少し歩き、村から少し離れた場所でトランスポーターを取り出してシートに跨がりエンジンを点け、スロットルを回そうとしたところで後ろから視線を感じ振り向くとクロ、メイ、キーの三体が直ぐ後ろに居た。


  「はぁ・・・おまえら・・・」

  「くぅ~ん」

  「おまえら付いてくる気か?」

  「わふ!!」


  付いていくのが当たり前と言った表情の三体を見る。


  「しゃーねーな・・・じゃあ付いてこい、けど絶対に死ぬなよ分かったか?」

  「わふ!!」


  頬を軽く掻いた後ハンドルを握り、今度こそスロットルを回した。


  十分ほど走り森の近くでバイクを停めエンジンを切り、アイテムボックスへ収納し、追いかけてきたクロの頭を撫でながら遠くに小さく見える村を一目見た後、クロ達に顔を向ける。


  「クロはメイを乗せて広範囲に暴れてくれ、メイはクロの上から魔法でサポートしてくれ、そして一番負担を掛けるが、キーは俺達が取り零した魔物を仕留めてくれ」

  「わふ!!」

  「・・・おまえら絶対に死ぬんじゃねぇぞ・・・何があっても生き残れ」


  メイとキーの頭も撫でた後、ホルスターからキャノンとラピッドを抜き放ち森に向かって構える。

  木々の隙間から徐々に魔物の姿が目に入ると、脳裏にクレント村で魔物に家族を殺され、泣き崩れていた遺族達の姿がフラッシュバックした。


  ーーーあんなのをまた見るのか?


  娘が殺され、泣いていた両親。母親が殺されて涙を流す父親に、母親は何処なのかと問う子供。両親が殺され、天涯孤独で泣いていた子供。

  何も出来ず理不尽に奪われ泣き崩れる姿を黙って見るのか?


  ・・・否だ。断じて否だ!!

  あんなトラウマもんの光景二度と見て堪るか、二度と起こしてなるものか。


  「ここで俺が負ければ、あの趣味が悪く、おまけに胸くそ悪りぃ三流悲劇の様な光景が拡がるだろう・・・反吐が出る。俺の物語にそんな三流悲劇は要らねぇ、そんな脚本俺が書き換えてやる!!可愛い女の子達とイチャイチャするハーレムにな!!」


  森から飛び出してきた魔物に向けて構えていたキャノンとラピッドの引き金を引いた。


お読みいただきありがとうございます。

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